松山ケンイチさんと長澤まさみさん、初共演の二人が入魂の演技で激突する社会派エンターテインメント、映画『ロストケア』が全国公開中です。作品の問いかける「家族のあり方と尊厳の意味」に多くの観客が共鳴し、話題を集める本作。公開から10日が経った4/3(月)熱い反響に応えるべく、テアトル新宿にて鈴鹿央士さんと前田哲監督が登壇する、スペシャルトークイベントが開催されました。
日本では、65歳以上の高齢者が人口の3割近くを占め、介護を巡る事件は後を絶ちません。この問題に鋭く切り込んだ葉真中顕さんの第16回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作を、『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』『そして、バトンは渡された』の前田哲監督が映画化。
介護士でありながら42人を殺めた殺人犯・斯波宗典役を松山ケンイチさん、その彼を裁こうとする検事・大友秀美役を長澤まさみさんが演じ、社会に絶望し自らの信念に従って犯行を重ねる斯波と、法の名のもとに斯波を追い詰める大友の “互いの正義をかけた緊迫のバトル” が繰り広げられます。
他に鈴鹿央士さん、坂井真紀さん、戸田菜穂さん、藤田弓子さん、柄本明さんといった実力派俳優が出演。現代社会に、家族のあり方と人の尊厳の意味を問いかける、衝撃の感動作です。
©2023「ロストケア」製作委員会
上映後の熱い空気のなか、鈴鹿さんと前田監督が登場すると、割れんばかりの拍手が鳴り響きました。
周りからの反響について、公開前日に開催された前夜祭イベントに自身の母と兄が参加していたという鈴鹿さんは「3人で話しました。介護が必要になったときのお母さんの意見を聞いたのですが、『何も気にせずそのまま生きててね』と言ってくれました。それもそれで愛だなと思いました。介護は先の事と考えていたのですが、いつ何が起こるかわからないですね。明日元気に生きている保証はどこにもないからこそ、ちゃんと考えておきたいなと、松山さんとも話してました。」と、家族で介護について考えるきっかけになったことを明かしました。
さらに、「若い人たちの力は強いと思うので、そういう人たちに是非観て考えてほしいと思います。」と、同世代の若者にこそ観てほしいと訴えました。
前田監督は「僕の両親は老人ホームに入っていますが、元気です。車イスで映画館に行ったようなのですが、父は寝てしまったようで、母が怒りながら観てたと聞きました(笑)。相変わらずだなと思いました。」と、両親のエピソードを語りました。
本作の出演は、オーディションで決定したという鈴鹿さん。前田監督は「19歳の時でしたかね、3~4年前。役の年齢より若いのですが、どうしても鈴鹿君に会いたくて、事務所さんにお願いしたんです。会うと思った以上の方でした。年齢を超えてこの役は彼にやってほしいと思いました。こんなに素敵な人を選ばずして誰を選ぶと(笑)。松山さんも長澤さんもスタッフも全員、央士くんのことが大好きなんですよ。」と、オーディションを行ってから撮影までの日々を振り返りました。
鈴鹿さんも「役が25~26歳の役なので、今の自分ではできないのかなと思いました。でもオーディションの最後に、『何をしゃべってもいいよ』と言われて、泣きながら思ったことを話したのを覚えてます」と、一緒に振り返ります。
そしてオーディションで獲得したのは、検察事務官という役どころ。服装や眼鏡といった衣装のこだわりの他にも、新聞の切り抜きや介護殺人のドキュメンタリーなどを資料として見ながら、役作りに励んだという。
さらに話題は、昨年鈴鹿さんが出演し、日本中で大きな反響を呼んだドラマ「silent」に。実はドラマの監督である風間太樹氏は、前田監督のゼミの教え子であり、実の息子のように可愛がっている存在だといいます。
「silent」と『ロストケア』で、その両監督の現場を体感した鈴鹿さんは「前田監督は撮影中ずっとカメラの横に立たれるのですが、風間監督もたまに立たれるんです。お芝居をしていると、その瞬間だけ生まれるものがあるのですが、そういった小さいところまで、近くで見ていてくださるのが似ているのかと思います。」と話すと、「役者と向き合うことが大事だと思っています。役者が演じることが全てなので。」と、撮影へのこだわりを明かした前田監督。「silent」との意外な関係性が明らかになりました。
そして、本イベントにあわせて、検察事務官の椎名(鈴鹿央士)と検事の大友(長澤まさみ)が、斯波(松山ケンイチ)が起こした事件を通じて今まで目を瞑ってきた「介護」の問題に直面し語り合う、本編映像(見たいモノと見たくないモノ編)も解禁されました。
実はこのシーンの台詞には、エピソードがあるという前田監督。
「オーディションの時に聞いた言葉を活かしました。央士くん自身の言葉であり、(央士くんが)思っていたことなんです。とてもいいシーンになりました。」と語るように、実際に鈴鹿さんのオーディションの際に話した言葉を、本編のシーンの台詞として活かしたのだといいます。
鈴鹿さんの本音が垣間見えると言っても過言ではないその本編映像も、ぜひご覧ください。
イベントの最後に行われたのは、お客様から生の感想を聞くコーナー。たまたま来場していたという前田監督の高校の同級生からの熱いメッセージが贈られるなど、イベントは終始温かい空気に満ちた様子で、幕を閉じました。
社会問題に深く切り込んだテーマに前田監督が挑み、俳優陣の鬼気迫る演技で我々に問いかける映画『ロストケア』。ぜひ劇場でご覧いただき、ご家族で介護や尊厳について語り合っていただけたら幸いです。
映画『ロストケア』全国公開中!
ストーリー
早朝の民家で老人と介護センター所長の死体が発見された。犯人として捜査線上に浮かんだのは死んだ所長が務める訪問介護センターに勤める斯波宗典(松山ケンイチ)。彼は献身的な介護士として介護家族に慕われる心優しい青年だった。検事の大友秀美(長澤まさみ)は斯波が務める訪問介護センターで老人の死亡率が異常に高いことを突き止める。この介護センターでいったい何が起きているのか?大友は真実を明らかにするべく取り調べ室で斯波と対峙する。「私は救いました」。斯波は犯行を認めたものの、自分がした行為は「殺人」ではなく「救い」だと主張する。斯波の言う「救い」とは一体何を意味するのか。なぜ、心優しい青年が未曽有の連続殺人犯となったのか。斯波の揺るぎない信念に向き合い、事件の真相に迫る時、大友の心は激しく揺さぶられる。
「救いとは?」「正義とは?」「家族の幸せとは?」現在の日本が抱える社会と家族の問題に正面から切り込む、社会派エンターテインメント映画が、今幕を開ける!
©2023「ロストケア」製作委員会
<映画「ロストケア」主題歌>
森山直太朗
配信シングル「さもありなん」(ユニバーサルミュージック)
絶賛発売中
https://lnk.to/samoari
映画『ロストケア』関連ニュース
*緊迫の対峙シーン解禁
*2夜連続スペシャルトークイベントの模様
*鈴鹿央士の場面写真解禁
*前夜祭の模様
*日本福祉大学×『ロストケア』公開特別授業の模様
*サントラ盤発売決定
*Special Screeningの模様
*場面写真一挙解禁
*完成披露舞台挨拶の模様
*公開日決定&本予告解禁
*特報解禁&主題歌決定
*第二弾キャスト解禁
*映画化決定
★2023年3月24日(金)全国公開★
殺人犯 VS 検事 運命の激突—。
監督:前田哲 脚本:龍居由佳里 前田哲
原作:葉真中 顕「ロスト・ケア」(光文社文庫刊)
出演:松山ケンイチ 長澤まさみ 鈴鹿央士 坂井真紀 戸田菜穂 峯村リエ 加藤菜津 やす(ずん) 岩谷健司 井上肇 綾戸智恵 梶原善 藤田弓子 / 柄本 明
配給:日活 東京テアトル