映画『ロストケア』前田哲監督との<2夜連続スペシャルトークイベント>に、ずんのやす、綾戸智恵、キャイ~ン ウド鈴木も急遽登壇!?
2023.03.31(金曜日)

松山ケンイチさんと長澤まさみさん、初共演の二人が入魂の演技で激突した社会派エンターテインメント、映画『ロストケア』が3/24(金)より全国公開中です。このたび、前田哲監督との<2夜連続スペシャルトークイベント>が3/29(水)、28(木)シネ・リーブル池袋で行われ、出演者のやす(ずん)さん、綾戸智恵さん、原作者の葉真中顕氏が登壇しました。

日本では、65歳以上の高齢者が人口の3割近くを占め、介護を巡る事件は後を絶ちません。この問題に鋭く切り込んだ葉真中顕さんの第16回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作を、『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』『そして、バトンは渡された』の前田哲監督が映画化。

介護士でありながら42人を殺めた殺人犯・斯波宗典役を松山ケンイチさん、その彼を裁こうとする検事・大友秀美役を長澤まさみさんが演じ、社会に絶望し自らの信念に従って犯行を重ねる斯波と、法の名のもとに斯波を追い詰める大友の “互いの正義をかけた緊迫のバトル” が繰り広げられます。

他に鈴鹿央士さん、坂井真紀さん、戸田菜穂さん、藤田弓子さん、柄本明さんといった実力派俳優が出演。現代社会に、家族のあり方と人の尊厳の意味を問いかける、衝撃の感動作です。


©2023「ロストケア」製作委員会


トークイベント一夜目 3/29(水)は、春山登を演じたやす(ずん)さん、原作「ロスト・ケア」の著者である葉真中顕氏、そして前田哲監督が上映後に登壇。

どんな反響があったか聞かれると「両親が観てくれて身につまされる思いだったと言っていて、すごく良い感想も届いてます。あと、映画をきっかけに原作に興味をもってくれる方が多くなった」と葉真中氏。

やすさんは「Twitterで映画みましたというツイートが届いていて、両親も観てくれて感動してすごく良かったと、周りの人からも褒めていただいて、ここ何年間で一番褒められたんじゃないかという感じです」と話しました。

前田監督は「試写の時から反応が今までで一番多かったですね。お一人お一人の感想がすごく長くて有難くて、嬉しいですし、励みになります。」と、公開前から反響を呼んでいたそう。そして葉真中氏が、直木賞作家の小川哲さんから「映画観たよ」と連絡をもらったことを明かすと、「熱心ですね!それはすごい!小川さんの作品狙ってるんで(笑)」と前田監督が反応し、笑いを誘いました。

本作で、自宅で懸命に母親を介護する羽村洋子(坂井真紀)を支える役柄を演じたやすさん。今回のキャスティングについて前田監督は「坂井真紀さんは早めに決まっていて、物語のなかで洋子が幸せになってほしくて相手役を探してたんです。実はこの二人のシーンはこの映画のテーマが集約されてるくらいなんで、すごく(キャスティングに)悩んでいたんです。面接も何回かしましたし。そしてようやく、見た瞬間に優しいし、坂井さんを幸せにしてくれる、ちょっと不器用で真面目で悪いことしなさそうな方を見つけたんですよ」と裏話を話すと、やすさんは「えっ、僕面接してないですよ。よく決りましたね!ありがとうございます。」と驚いていました。

今回の撮影についてやすさんは、「坂井さんが優しい方で、劇中の羽村洋子さんのキャラクター通りの方で、柔らかく受け止めてくれると言う感じで」と坂井さんとの共演を振り返りました。

そして、羽村と春山のシーンについて葉真中氏は「やすさんの笑顔で救われるっていう反応が多いんですよ。介護の厳しいところを画で見せられると、すごいきつい所があるんですよね。柄本明さんの演技も凄まじくて涙する人も暗い気持ちになる人もいると思うんですよね。絆は呪縛なのかというテーマも描かれているんですけど、やすさんのあの笑顔で、信じられる繋がりがあるんだなと改めてそう感じました。」と絶賛しました。

本作の出演についてやすさんが「実はキャイ~ンのウド鈴木が試写で観てくれて、最高でしたと絶賛してくれていて」と話すと、トークイベントにも駆けつけていたご本人が急遽サプライズ登壇!

試写と今日のトークイベントの上映と2回観ていただいたそうで、おすすめのシーンを聞かれるとウド鈴木さんは「葬儀のシーンで、(羽村の娘役の)小さい女の子との接し方が一番難しいなと思っていたんですけど」と話すと、前田監督があのシーンはやすさんのアドリブだったことを明かしました。

映画化までに時間がかかった本作。前田監督は「原作と出会って映画化まで10年かかってしまったんですけど、葉真中先生が僕の熱意をかってくれて映画化まで待っていてくれてたんですよ。」と明かします。

すると葉真中氏は「この作品はデビュー作なんで、声をかけてもらえた時は嬉しかったです。ただ難しいだろうなって思ってたんです。難しくて切実なテーマですし、優生思想に接近しているお話なので、原作者としては誤解されたくないというのがあったんですよ。でも前田監督の今までの作品をみてこの監督ならそういう気持ちを分かってくれると思ったんです。時間がかかっても実現に向けて努力してくださってたと知って、そういう方だから原作をお預けすることができました。」と映画化に向けて、互いに真剣に向き合って作り上げた作品であることをアピールしました。

改めて映像化について葉真中氏は「原作はミステリーなのですが、映画では人間ドラマとして描いているので、それは大正解だと思っています。長澤さんの役は原作では男性なんですけど、すごく共感力があって最後のシーンで斯波と心が通じるんですよね。実はこれはすごく危険なことなんですけど、人間の繋がりを忘れちゃいけないんだとギリギリのバランスで映画化していただいたと思います。大変感動しております。」と語り、映画に太鼓判を押しました。

最後に「まだまだ上映しているので、こういう映画観たよと周りの方とぜひ話してほしいです」と前田監督が一日目のトークイベントを締めくくりました。


 

続く3/30(木)二夜目は、前田監督にエスコートされ、川内タエ役の綾戸智恵さんが登壇。

なぜ綾戸さんをキャスティングしたのか質問された前田監督が「2013年にこの原作を読んで映画にしたいと思った時に、ちょうど松山さんから電話がきて、一緒にやろうと言ったのがこの映画の始まりです。松山さんの次にキャスティングが決まっていたのが、原作にも登場するホームレスのおばちゃんに綾戸智恵さんだったんです。長澤さんより先に決まってたんですよ。」と得意げに語り掛けると、「なにがいいたいねん笑」と、綾戸さんから早速ツッコミが。

オファーをうけた綾戸さんは「『こんな夜更けにバナナかよ』に出していただいたんで、『相当、私に惚れてんやな、なんとか私を出したいんやな』と思って、『やったるで』と役も聞かずに引き受けました。」と笑いながら当時の様子を語りました。

そこからホームレスの役作りの研究のため、綾戸さんは実際にホームレスの女性に話しかけ、その人の仕草を観察したといいます。「音楽やってるもんやから、舞台にあがって歌うことはできても、台本の中で誰かを演じる経験は少ないので、一所懸命見ただけで分かるキャラクターづくりを頑張りました。」と演技について綾戸さんは話す一方で、演じている役柄が本当に憑依してしまったと思い、どうやって制御しようかと当時の撮影で悩んだそう。

そんな中、検事役の長澤まさみさんとの共演シーンで「若いのにすごい演技するから、ホンマに憎たらしい気分のおばちゃんになってしまい、終わった後に『あ、長澤さんや』と、そこで本人やと気づいたんですよ。」と語ると、長澤さんへ『若い頃の私に似てるなぁ」と話しかける綾戸さんを見ていた前田監督は「よく言うなぁ、このおばちゃん」と当時をいじりながら、それぞれ振り返りました。

実際に実母の介護を経験した綾戸さんは、映画について「介護中、まぁまぁ明るく健全に頑張ろうかとやっていったんですけど、24時間の動きに反して、72時間分を1日で済まそうとする日々が何年か続きますと、こんな私でも弱ります。徐々に精神が落ちていったので、仕事をお休みしたんです。中には経済的な事情で、そういう自由なことができない方もいると思います。そうなるとこの映画を観ていただきたい。この映画が危険信号にもなるじゃないかって私は思いました。」と感想を語りました。

「お母さんを亡くされた後、一度歌うことも辞めるとおっしゃっていたのですが、最近時間が経って、また復活されたことはすごく嬉しかったです。」と、綾戸さんに直接伝えたかったという前田監督。

それを聞くと「また『Hana Uta』というアルバム出すんで、この映画も大事やけどアルバムも買ってね」とすぐさま宣伝する、綾戸さんのハイテンションぶりも。そして介護を通じて変わったことを聞かれると「人間は未来をみることも大事ですが、昨日をみることも大事です。過去あった出来事がHana Utaになり、映画になり、皆さんとおしゃべりできる自分になったと思うと、憎む過去でもなく、どれだけ未来に役立つか共有していくことが大事なんだと思います。」と話しました。

さらにイベントに来たお客様に向かって、「この映画を観終わって、『よかったなぁ、よかったなぁ』いうて感動して帰るだけではあきまへん。少なくとも5人には一人一人が感想を伝えなアカン。監督ここは言わなアカンねん。」と前田監督にも宣伝を後押しする場面も見られました。

最後に綾戸さんは「皆さんも今はツイートとかいろいろなもので情報をいっぱい流して、この映画を一人でも多くの人に観てもらえることが一番の感想だと思います。この映画は一個だけど皆さんの数だけ形を変えてささります!ささってからが、映画の本当の力が出るところです。皆さんあと3人、今度連れて来なはれ」 と綾戸さん流の宣伝を伝え、2日目のトークイベントは幕をおろしました。




社会問題に深く切り込んだテーマに前田監督が挑み、俳優陣の鬼気迫る演技で我々に問いかける映画『ロストケア』を、ぜひ劇場でご覧ください!

映画『ロストケア』全国公開中!

ストーリー
早朝の民家で老人と介護センター所長の死体が発見された。犯人として捜査線上に浮かんだのは死んだ所長が務める訪問介護センターに勤める斯波宗典(松山ケンイチ)。彼は献身的な介護士として介護家族に慕われる心優しい青年だった。検事の大友秀美(長澤まさみ)は斯波が務める訪問介護センターで老人の死亡率が異常に高いことを突き止める。この介護センターでいったい何が起きているのか?大友は真実を明らかにするべく取り調べ室で斯波と対峙する。「私は救いました」。斯波は犯行を認めたものの、自分がした行為は「殺人」ではなく「救い」だと主張する。斯波の言う「救い」とは一体何を意味するのか。なぜ、心優しい青年が未曽有の連続殺人犯となったのか。斯波の揺るぎない信念に向き合い、事件の真相に迫る時、大友の心は激しく揺さぶられる。
「救いとは?」「正義とは?」「家族の幸せとは?」現在の日本が抱える社会と家族の問題に正面から切り込む、社会派エンターテインメント映画が、今幕を開ける!


©2023「ロストケア」製作委員会


<映画「ロストケア」主題歌 リリース情報>
森山直太朗
配信シングル「さもありなん」(ユニバーサルミュージック)
2023年3月1日(水)リリース
https://lnk.to/samoari


映画『ロストケア』関連ニュース
鈴鹿央士の場面写真解禁
前夜祭の模様
日本福祉大学×『ロストケア』公開特別授業の模様
サントラ盤発売決定
Special Screeningの模様
場面写真一挙解禁
完成披露舞台挨拶の模様
公開日決定&本予告解禁
特報解禁&主題歌決定
第二弾キャスト解禁
映画化決定

 

『ロストケア』

★2023年3月24日(金)全国公開★

殺人犯 VS 検事 運命の激突—。

監督:前田哲 脚本:龍居由佳里 前田哲

原作:葉真中 顕「ロスト・ケア」(光文社文庫刊)

出演:松山ケンイチ 長澤まさみ 鈴鹿央士 坂井真紀 戸田菜穂 峯村リエ 加藤菜津 やす(ずん) 岩谷健司 井上肇 綾戸智恵 梶原善 藤田弓子 / 柄本 明

配給:日活 東京テアトル