映画『Cloud クラウド』で主演・菅⽥将暉さん演じる吉井にバイトとして雇われる謎のアシスタント“佐野”を演じた奥平⼤兼さんが、聞き⼿に映画感想 TikToker しんのすけさんを迎えて深堀するトークイベントを開催しました。
奥平⼤兼さんが演じる「佐野」は、菅⽥将暉さんが演じる転売屋の吉井に雇われたアルバイトの⻘年。劇中でそれ以上の詳しい説明はされませんが、本作が公開されるや、佐野の謎めいた佇まいや⾔動に関して「佐野くん⼀体何者︖」「佐野の正体が謎過ぎる」「奥平⼤兼が⿊沢清の世界観のメフィスト的なキャラクターを完璧に演じている」などと話題に。
そんな声に応えるため、佐野を演じた奥平さん本⼈と共に佐野について考察するというイベントが開催︕発売開始後わずか10分で完売した本イベントに奥平さんが姿を⾒せると、映画を観終えたばかりの観客が熱烈な拍⼿で迎えました。
本作に参加するにあたって、俳優陣には助監督が作成した各登場⼈物の裏設定が書かれた資料が配布されたといいます。通常、⿊沢監督はこうした資料をつくることはなく、今回の資料に関しても「読むかどうかは役者に委ねる」というスタンスの上で、作成・配布にOKを出したそうですが、奥平さんは⿊沢監督から「できるだけ読まないで」と直接⾔われたと振り返りました。
「佐野は謎だらけの役で『何を基準に演じればいいんだろう︖』という疑問が台本を最初に読んだ時からずっとありました。⿊沢さんに初めてお会いする時は、役柄についてたくさん聞こうと思っていたんですけど『設定資料はできるだけ読まないで』と⾔われて、⿃肌が⽌まらなかったです(笑)。僕は出演陣の中でも⼀番若⼿で『頑張らなきゃ︕』という気持ちもある中、不安しかなかったです」と当時の⼼境を明かすも、現場で奥平さんから役柄について⿊沢監督に細かく質問をすることもなかったといいます。
「今回の⿊沢監督の演出は、いままでと全然違って、すごく楽しかったんです。⿊沢監督に現場で何を⾔われるのか︖楽しみに待っていたところがあって、たしかに現場でこちらから役について質問したことはなかったかもしれません」と、役者から愛される⿊沢清監督の演出について話しました。
⿊沢監督から「菅⽥将暉を超えてください」と“指⽰”されたというシーンについても⾔及。佐野が菅⽥さん演じる吉井のパソコンを勝⼿に触ったことが露⾒するというシーンで、⻑回しで撮影されましたが、奥平さんは「前⽇に⿊沢さんから『菅⽥将暉を超えてください』と…。芝居を始めてまだ4年⽬の⼈間が、世界の⿊沢清監督に⾔われる――あれは⼀⽣忘れないと思います…。ビビり散らかしていましたね(苦笑)」と述懐しました。
⿊沢監督が、そのように⾔った理由について、奥平さんは「あの辺りから、佐野の存在がより謎になってくるんですよね。最初はただのバイトだったのに『なんだこいつ︖』いう感じが、際⽴っていくんです」と佐野の謎がどんどん深まっていく重要なシーンだったからではないかと考察しました。そして、海外の映画祭でもどっと笑いが起きていたという、吉井と佐野のやりとりで、佐野が「アシスタントですから」と回答するセリフについて「あの回答⾃体が、聞かれた質問の答えにはなってないんですよね(笑)。でも、佐野は真⾯⽬に⾔っているんです。そこに不気味さがあるし、『何考えてるんだ︖』というのが引き⽴てられるセリフだと思います」と語りました。
そして、この⽇の観客に対し奥平さんは、本作を⾒て「怖さ」と「笑い」のどちらを強く感じたかを質問。客席は「怖い」と感じたという⼈が多数を占めつつ、「笑い」を感じたという観客も⼀定数⾒られました。奥平さんは「この結果がすごいなと思います。なんで全く違うこの要素で、こんなふうに⼆分化されるのか︖そこがこの映画の⾯⽩さでもあると思います」と⿊沢監督がつくりだした独特の奇妙な世界観、鑑賞後感に⾔及していました。
ちなみに、⿊沢監督は海外メディアからの取材に対し、佐野について「悪魔(メフィスト)のような存在だと思ってもらっていい」と⾔明しています。奥平さんはそのことについて「(現場で⿊沢監督から)直接、そう⾔われたかは覚えてない」と語りつつも「でも、演出や台本、物語の進⾏を⾒ていて、悪魔的な⽴ち位置というか、吉井を、(地獄の)渦の中に連れこもうとしている節があるのは感じていました。でも(吉井の)味⽅でもあって……」と回答、演じる上で“悪魔”ということを意識したかを尋ねられると「全くなかったです。もちろん、佐野がどう⾒られるかは⼤事なんですけど、正直なところそれどころじゃなかったです。佐野が何をしたいのか︖吉井をどのように導くのか――︖ 佐野としての⽬的しか考えてなかったですし、⿊沢監督の演出もあって、それが結果的に悪魔の象徴のような役になったのかなと思います」とふり返っていました。
また劇中の松重豊さんと奥平さんの共演シーンに関しても、先述の菅⽥さんとのシーンと同様に⿊沢監督から奥平さんに「松重豊と対等の存在感を出すように」という“圧”(︕)が掛けられたというエピソードも。奥平さんは「どうしたら松重さんの貫禄に抗えるんだろう︖ とすごく考えましたが、リラックスして『3⽇に⼀度くらい、こういうことってあるよな』という感覚でなんとか乗りきました」と独特の対処法を明かしました。
銃撃シーンも⾮常に印象的な本作。⿊沢監督は、あえて銃撃戦を「カッコよく描かないよう」に腐⼼しており、奥平さんも「カッコつけないでください」と⾔われたといいます。その⼀⽅で、佐野はノールックで相⼿を撃つなど、銃の扱いにも慣れた様⼦を⾒せなくてはならなかったと苦労を語り、「スマートに銃が扱えるようにということで、とりあえず⼿に慣れたほうがいいなと思い、家の中でずっと持っていました。本当は、外でも隠して持っていたかったんですけど、さすがにそれは良くないなと(笑)」「家の中だけでずっと持っていて、おかげで、⽚⼿でいろんな動きができるようになりました。ライフルも弾を押し出す動作があって、それはかなり練習して⾃信もありましたし⿊沢監督からも『うまくできていましたよ』と⾔ってもらいました」と笑顔で報告しました。
銃の扱いや描き⽅に関して、こだわりが強いことで知られる⿊沢監督。奥平さんはそんな⿊沢監督の気質や好みをよく知る現場の制作スタッフから「現場でコソコソっと『ちょっと(銃を)斜めに持ったら、⿊沢監督が喜ぶと思うよ』と教えていただきました。完成した映像を⾒て、何気ないけれど良く映っていることが確認できて嬉しかったです」と満⾜そうに語る場⾯も。
ちなみに、佐野のセリフやシーンを尋ねられた奥平さんは、クライマックスシーンでの佐野の「吉井さん、凄いですね︕」を挙げ「佐野史上⼀番嬉しかったんじゃないかってくらい、嬉しそうに演じました」と語り、その後、佐野や吉井が繰り広げる会話についても「こういった極限状況では、⼈間ってこうなるのかもしれないと考えさせられました」と語っていました。
そしてトークイベントの最後に奥平さんは「僕⾃⾝、佐野のバックグランドについて知らないまま演じましたが、映画的な役割や⽬の前の⽬的にフォーカスをあてることで、役ってこんなに⾯⽩くなるんだと教えてもらったのがこの映画でした。佐野以外にも、荒川良々さんが演じた役とか、めちゃくちゃ⾯⽩かったし、細部まで魅⼒的で、⾯⽩さを⾒出せるところがたくさんある映画だと思います。何年か後、10年後でもいいですし、2回、3回、4回と何回も⾒ていただけると嬉しいです」と本作への思いを熱く語り、会場は温かい拍⼿に包まれました。
『Cloud クラウド』は TOHO シネマズ⽇⽐⾕ほか全国公開中です。
映画『Cloud クラウド』TOHO シネマズ日比谷ほか全国公開中!
©2024「Cloud」製作委員会
<映画『Cloud クラウド』ストーリー>
<ストーリー>
吉井良介(菅⽥将暉)は、町⼯場に勤めながら“ラーテル”というハンドルネームを使い転売で⽇銭を稼いでいた。医療機器、バッグにフィギュア……売れるものなら何でもいい。安く仕⼊れて、⾼く売る、ただそれだけのこと。転売の仕事を教わった⾼専の先輩・村岡(窪⽥正孝)からの“デカい”儲け話にも⽿を傾けず、真⾯⽬にコツコツと悪事を働いていく。吉井にとって、増えていく預⾦残⾼だけが信じられる存在だった。そんな折、勤務先の社⻑・滝本(荒川良々)から管理職への昇進を打診された吉井は、「3年も働いたんだ。もう⼗分だろう」と固辞し、その⾜で辞職。郊外の湖畔に事務所兼⾃宅を借り、恋⼈・秋⼦(古川琴⾳)との新しい⽣活をスタートする。地元の若者・佐野(奥平⼤兼)を雇い、転売業が軌道に乗ってきた⽮先、吉井の周りで不審な出来事が重なり始める。徘徊する怪しげな⾞、割られた窓ガラス、付きまとう影、インターネット上の悪意――。負のスパイラルによって増⻑された憎悪はやがて実体を獲得し、狂気を宿した不特定多数の集団へと変貌。その標的となった吉井の「⽇常」は急速に破壊されていく……。
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映画『Cloud クラウド』
監督・脚本:黒沢 清
主演:菅田将暉
出演:古川琴音 奥平大兼 岡山天音 荒川良々 窪田正孝
赤堀雅秋 吉岡睦雄 三河悠冴 山田真歩 矢柴俊博 森下能幸 千葉哲也 松重豊
製作幹事:日活 東京テアトル
配給:東京テアトル 日活
©2024「Cloud」製作委員会
公式X/Instagram @cloudmovie2024
公式ハッシュタグ #映画クラウド
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*メインキャスト発表
*製作&公開決定
★現在公開中のその他の日活ラインナップもご期待下さい★
『Cloud クラウド』
★2024年9月27日(金)全国公開★
“気がつけば標的”匿名の集団による“狩りゲーム”がはじまる——
製作幹事:日活 東京テアトル
配給:日活