映画『スイート・マイホーム』ネタバレOKティーチイン付きトークイベントに齊藤工監督と笠井信輔さんが登壇 !「“クリント・イーストウッドへの道” 恐れ多いです」と齊藤監督。
2023.09.17(日曜日)

映画やドラマで俳優として活躍する一方、監督やプロデュース業でも多彩な才能を発揮する齊藤工さんが監督した映画『スイート・マイホーム』が絶賛公開中。9/17(土)には、齊藤監督登壇のネダバレOKティーチイン付きトークイベントがTOHOシネマズ 六本木ヒルズで行われ、齊藤監督とは長い付き合いとなるフリーアナウンサーの笠井信輔さんが司会進行として参加しました。
*本トークイベントの内容にはネタバレがございます。ご鑑賞前の方はご注意ください。

原作は、2018年に「第13回小説現代新人賞」を受賞した注目の作家・神津凛子氏のデビュー作で、1台のエアコンで家全体を暖められるという「まほうの家」と呼ばれる念願のマイホームに引っ越した直後から、次々と奇妙で不可解な現象に襲われる一家の姿を描く予測不能のホラー・ミステリー。

主演に窪田正孝さんを迎え、蓮佛美沙子さん、奈緒さん、窪塚洋介さんら実力派俳優たちが顔を揃え、幸せな一家が新居に移り住んだことを起点に巻き込まれていく恐怖の連鎖が描かれます。


©2023『スイート・マイホーム』製作委員会 ©神津凛子/講談社

3週目に突入してもなお満席の客席を目の当たりにした齊藤監督は、冒頭の挨拶で「この作品を心から応援して寄り添ってくださっている身内だと思っています」と感謝の言葉を述べました。実際、来場されたお客様に挙手のアンケートを実施すると、初めて観たお客様と2回以上観ているお客様が半々の結果に。しかも、それ以上観ているリピーターの方が多く、本作にハマっているお客様が多いことが改めて証明されました。

笠井さんは齊藤監督について「『blank13』も良かったし、俳優さんの作る映画って個性的で、自分はこういう映画が撮りたいんだと表現する監督が多いし、齊藤監督がそこに進んだというのは、本格的な監督の道を歩み始めたんだと強く感じました。“クリント・イーストウッドへの道”ですね」と褒め称えると、齊藤監督は「恐れ多いです」と恐縮。

さらに本作の核心部分に踏み込んだ笠井さんは「(住宅会社社員で主人公・賢二の新居「まほうの家」の営業担当を演じた)ある秘密を抱える奈緒さんが怖いと思いながらも、霊的なものを感じながら客観的な事実を提示されると、安心するんです。さらにそれで終わらないのがこの映画で、もう一回ひっくり返して(主人公の妻を演じた)蓮佛美沙子さんの異様な展開になっていく。蓮佛さんの役名 “ひとみ” がキーワードで、瞳の表現がとても多い。子供が瞳を覆ったり、(主人公を演じた)窪田正孝さんや赤ちゃんの瞳のアップがあったり。子供には見えているという感じ。奈緒さんに何か悪魔的なものが取り憑いて、それが蓮佛さんに最終的に乗り移ってしまい、悪魔が自分を認識されたくないから恐怖のラストにつながっていくという、その描写が記憶に残るからぞわっと怖さも残ります。奈緒さんで終わらないところが、この映画の見事なところかなと思います」と大絶賛。

齊藤監督もその見事な解説に「ありがとうございます。今の言葉がすべてだったと思います」とこれまた恐縮しきり。

「この原作を読んだときに、単なる犯人は誰だっていう物語ではないと思いました。鬼子母神という言葉が、僕はすごくこの作品の真髄にあるんじゃないかなと思ったんです。日本人の母性の深さの成れの果て、西洋でいうと悪魔的な何かっていうものが、肉体を媒介して伝承される物語だと思っていました。この物語を見つめる瞳で始まり、この物語を見届けた瞳で終わるということに意味を込めたつもりです。最初に『これがあるから家があったかい』と説明があるんですけど、今回は家自体を人体として描きたかったんです。その血管みたいなものが温度の循環という、そこに宿るものを子供や赤ちゃんは感じているんじゃないかなと思って」と述懐。

さらに奈緒さんについて笠井さんが「こういうミステリーの物語の場合は、どこか匂わせたいと監督や俳優たちが考えるのですが、奈緒さんにおいて匂わせる芝居はないと感じました」と語ると、齊藤監督は「仰る通りですね。キャスティングのネームバリューで、この人は普通の役のわけはないとか、そういういやらしい見方を普段してしまうのですが、奈緒さんが素晴らしかったのが、出ていないシーンでも存在感を薄められるんです。奈緒さんの地肩の強さというか、素晴らしさです。そこにいるんだけど、何かに潜んでいるというか」と振り返りました。

今回のトークイベントは、ネタバレOKのティーチイン付きということで、お客様からの質問も。中でも映像の中に隠されている十字架について質問が及ぶと、齊藤監督は「過去に罪を背負ったキャラクターには、背後に十字架を背負わせています。(ディズニーランドの隠れミッキーのような)隠れ十字が6つ、3人のキャラクターにあります」と6つすべてのネタバレを敢行。

それに対してお客様から「救急箱の十字は?」と問われると、齊藤監督は「あ!救急箱!それ足しましょう!それもらいましょう!足して7つにしたいくらいです(笑)。ただ救急箱、どこにありましたっけ?」とタジタジに。

さらに12回観たというお客様から「賢二とひとみの結婚指輪が、ラストに近づくにつれて主張が強くなって怖く感じました」と聞かれると、齊藤監督は「結婚指輪にはひとつ鎖のような意味合いを持たせています。血縁と地縁のような、人間が選べない鎖もひとつテーマなので、そういう意味合いで撮っていました」と答えつつ、「12回!1回くらい同じ “家モノ” の『ホーンテッドマンション』とかも(笑)」とお薦めしていました。


©2023『スイート・マイホーム』製作委員会 ©神津凛子/講談社

最後に齊藤監督は「今日いらっしゃっている皆さんの数だけ、もっと質問があったと思います。僕は、映画は賞味期限がないと思っていますし、そう思って作りました。例えばSNSを使って、今日皆さんから聞き取り切れなかった質問や、あそこはどうなんだってことに積極的に答えていけたらと心から思っています。これからセカンドラン、サードランと全国のローカルのミニシアターにも、フィルムの時代のように手渡しで僕が行けたら、全部順番に回りたいくらいです。それは作った者の責任もありますが、これだけ多くの皆さんがこの作品に寄り添ってくれるってことが何より自信になっています」と心からの感謝の言葉でトークイベントを締めくくりました。

マイホーム購入をきかっけに主人公家族が遭遇していく恐怖の連鎖を、ぜひ劇場でご体感ください!

映画『スイート・マイホーム』絶賛公開中!

ストーリー
極寒の地・長野県に住むスポーツインストラクターの清沢賢二は、愛する妻と幼い娘のために念願の一軒家を購入する。“まほうの家”と謳われたその住宅の地下には、巨大な暖房設備があり、家全体を温めてくれるという。理想のマイホームを手に入れ、充実を噛みしめながら新居生活をスタートさせた清沢一家。だが、その温かい幸せは、ある不可解な出来事をきっかけに身の毛立つ恐怖へと転じていく。
差出人不明の脅迫メール、地下に魅せられる娘、赤ん坊の瞳に映り込んだ「何か」に戦慄する妻、監視の目に怯えて暮らす実家の兄、周囲で起きる関係者たちの変死事件。そして蘇る、賢二の隠された記憶。その「家」には何があるのか、それとも何者かの思惑なのか。最後に一家が辿り着いた驚愕の真相とは?


©2023『スイート・マイホーム』製作委員会 ©神津凛子/講談社

『スイート・マイホーム』関連ニュース
大ヒット御礼舞台挨拶の模様
公開記念舞台挨拶の模様
『福山雅治 福のラジオ』に齊藤監督出演
前夜祭イベントの模様
大阪先行上映の模様
ジャパンプレミアの模様
上海国際映画祭舞台挨拶の模様
予告&本ビジュアル完成
主題歌決定
上海国際映画祭出品決定&新場面写真解禁
場面写真解禁&公開日決定
特報&ティザービジュアル解禁
第2弾出演俳優解禁
映画化決定

 

『スイート・マイホーム』

★2023年9月1日(金)全国公開★

第13回小説現代新人賞に輝いた神津凛子の衝撃デビュー作、待望の映像化。

監督:齊藤工 脚本:倉持裕

原作:神津凛子「スイート・マイホーム」(講談社文庫)

出演:窪田正孝 蓮佛美沙子 奈緒 中島 歩 里々佳 吉田健悟 磯村アメリ 松角洋平 岩谷健司 根岸季衣 窪塚洋介

製作幹事・配給:日活 東京テアトル