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サンダンスドリームを叶えた!映画『ウィーアーリトルゾンビーズ』日本外国特派員協会記者会見で長久允監督は「自分が信じるものを死ぬ気で作っただけ」と力強く語る!
2019年06月06日(木曜日)

6/14(金)に公開を控える映画『ウィーアーリトルゾンビーズ』の記者会見が6/5(水)日本外国特派員協会で行われ、世界から熱視線を浴びる本作のメガホンをとった長久允監督が、高橋信一プロデューサーとともに登壇しました。

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『ウィーアーリトルゾンビーズ』は、2017年に第33回サンダンス映画祭【ショートフィルム部門】で、日本映画初のグランプリを獲得した長久允監督の長編デビュー作。

本年度は、第35回サンダンス映画祭から招待を受け、見事日本人初の快挙となる審査員特別賞オリジナリティ賞を受賞。さらに2月には第69回ベルリン国際映画祭の【ジェネレーション14plus部門】オープニング作品に選出され、準グランプリにあたるスペシャル・メンション賞を日本映画で初めて受賞しました。

海外映画祭で立て続けに二冠に輝いた本作は、第43回香港国際映画祭への正式招待を経て、北米・サンダンス、ヨーロッパ・ベルリンからアジア大陸までを席巻し、海外映画祭からのオファーが後を絶たない快進撃をみせています。

会見では、大きな拍手で迎えられたお二人に、まずはMCがカット数について質問すると「120分で180シーンほどあったので、合計1800カットくらいありました」と、海外記者に向けて長久監督がゆっくりと回答。

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続いて「劇中では様々なものや方法でコミュニケーションをとるシーンがあったが、ゾンビは直接コミュニケーションが取れなくなった人間のモチーフとして描いているのか?」と、作品の中身について掘り下げられた質問。

これには「ゾンビはいろいろな側面で描いています。一つはおっしゃる通り、コミュニケーションができない存在としての側面を大きく描いています。そして人間もゾンビの気持ちは分からない、という点をキーポイントとしています。一方ゾンビの方にも感情がある可能性がありますが、人間の気持ちが分からない。それは決してゾンビが悪いわけではなく、この人間世界で"私とあなた"にも発生しうることで、この作品の中においては"子供と大人"の間に発生していることだと思っています。そして年齢設定ですが、観客の共感を得ようとはあまり思っておらず、子供ならではの視点のフラットさを描きたかったんです」と回答しました。

「日本では昔から"無感動"無関心"なことに対して批判的な風潮が特有で、それを描いた本作の海外映画祭での反応はいかがでしたか?」という日本と海外の反応の違いに関する質問には、「あくまで傾向ですが、日本では無関心さを責められる経験が誰しもあるため、共感していただく人が多かったです。一方海外では、共感ももちろんありますが、その考え方をだんだん理解していく、という物語として観ていただく方も多かったと思います。このサバイブスタイルこそ日本的でクールだ、という意見までいただけました」と、長久監督が海外映画祭で実際に肌で体感した感触を述べました。

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続いて高橋プロデューサーへ、日活が本作のプロジェクトへ参画した時期などについて質問がなされ、「プロジェクトが始まる最初からです。制作が進むにつれ、前作のサンダンス映画祭グランプリからの初長編作品であり、もう一度サンダンスでの受賞を目標に、監督の才能を最大限に引き出すのがプロデューサーの仕事だ!と思って動き出したのが始まりでした」と、企画の始まりを語りました。

質問は長久監督に戻り、本作における音楽の位置づけについて「僕は本当はミュージシャンになりたくて、音楽をずっとやっていました。その経験を通して、音楽というものは成り行きで始めたとしても、自分で気づかなかった感情だったり衝動が形にならざるを得なくて、それを自分で確かめることが出来たりとか、他者から見て取れたり証明になったりするものではないかなと思っていますので、この物語の真ん中の部分にバンドを始めるという要素を入れています。もちろんその他の要素もあるのですが。あと音に関しては、僕はこの物語のセリフやSEも全て音として捉えていて、120分のオペラや組曲を作る気持ちでシナリオを書きました。音が一番絵よりもスピード感が早く人のエモーショナルな部分を刺激するのではないかなと考えています」と、物語の重要な"音楽"についての想いを語りました。

さらに質問は続き、「監督がこの映画にかける思い、なぜこの映画を製作しようと思ったのか?」については「物語を書いたきっかけは2年前の育休中、ロシアに「青い鯨」という集団がいて、SNSやゲームでティーンエイジャーを自殺に追い込んでしまうというニュースを知り、僕はそれにショックを受けました。何か絶望を感じた時に視野を狭く持ってしまったりするけど、それから逃げるために...例えば僕の経験でいうとユーモアだったりニヒリズムだったり、客観的な視点だったりシュルレアリスムだったり、そういうものが絶望から逃避させてくれるんじゃないかなと思っていたので、何か絶望的な状態に追い込まれても、そういうものを持ち続けている者たちの物語を作りたいなと思ったのが始まりです」と、本作のきっかけとなったセンセーショナルな事件について赤裸々に語りました。

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最後は、高橋プロデューサーへ「元々海外の観客にも観せることを想定して製作されたのか?想定していたのであれば、それを意識して工夫した点などあれば教えて下さい」という質問。

「(2017年にサンダンス映画祭日本映画初グランプリを獲得した)長久監督のフューチャー・フィルム第1作として、"もう一度サンダンスで賞を目指す"ことを前提として作っています。前作『そうして私たちはプールに金魚を、』に僕は関わっていないのですが、サンダンスでグランプリを受賞した時の評価の中で、"これは私たちの物語でもある"とアメリカの学生から共感を持たれていたと聞きました。これはある意味、長久さんが描くテーマが普遍的なテーマであるのかなと思いました。

今回の作品でも、子どもから見た大人との距離感のようなことを含めて海外の映画祭から評価され、テーマへの共感性も非常に高かったので、長久監督の作家性が出るような形で、監督がやりたいことを出来る限り詰め込むことがプロデューサーサイドの仕事かなと思っていました。それが評価されて受賞したのかなと、サンダンスドリームってこういうことなんだなと思えるくらい、大きなスタジオやプロダクションなどから問い合わせをいただいています。1本の作品が次の作品へ繋がっていくような予感も感じさせる出来事になり、監督の個性が一つ世界に通じるための作品になったんじゃないかなという気がします」と回答。

長久監督は「評価されるために何か工夫したということはなくて、前作『そうして私たちはプールに金魚を、』の時に、僕が信じているものをそのまま全力で手を抜かずにやったものが評価されたので、同じように自分が信じるものを手を抜かずに死ぬ気で作った、というだけです」と力強く述べ、会見は終了しました。

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長久監督と高橋プロデューサー、二人の考えの同調の深さが作品のクオリティの高さに繋がり、世界から評価されていることを感じさせた本会見。日本公開をいよいよ来週に控える本作のさらなる躍進をお楽しみに!


映画『ウィーアーリトルゾンビーズ』 2019/6/14(金)全国公開!


両親が死んだ。悲しいはずなのに泣けなかった。
彼らはゴミ捨て場でとびきりのバンドを組むと決めた。こころをとりもどすために。

火葬場で出会ったヒカリ(二宮慶多)、イシ(水野哲志)、タケムラ(奥村門土)、イクコ(中島セナ)は両親を亡くしても泣けなかった。ゾンビのように感情を失った少年少女たちはこころを取り戻すために、もう誰もいなくなってしまったそれぞれの家を巡リ始める。冒険の中でたどり着いたゴミ捨て場で、結成したとびきりのバンド、その名も"LITTLE ZOMBIES"。そこで撮影した映像が話題となり、社会現象となるまでに大ヒット。しかし、小さなゾンビたちは予想もしない運命に翻弄されていく。嵐のような日々の中で、4人が最後に見つけたのはー?

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©2019"WE ARE LITTLE ZOMBIES"FILM PARTNERS


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『ウィーアリトルゾンビーズ』

★2019年6月全国公開★

サンダンス映画祭グランプリ監督と、感情をなくした4人の13歳。2019年、新時代の才能による、映画革命。

脚本・監督:長久允

出演:二宮慶多 水野哲志 奥村門土 中島セナ
佐々木蔵之介 工藤夕貴 池松壮亮 初音映莉子 村上淳 西田尚美 佐野史郎 菊地凛子 永瀬正敏

©2019"WE ARE LITTLE ZOMBIES"FILM PARTNERS



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