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1918年2月4日、青森県下北郡田名部町(現・むつ市)生まれ。
明治大学在学中は映画研究部に在籍。卒業後、初の助監督公募で
2000人中8人の採用に選ばれ、松竹大船撮影所に入社。小津安二郎、
渋谷実、木下恵介、吉村公三郎ら、ほとんどの監督に助監督として付く。
作家の織田作之助と交わり、その原作･脚本の｢還って来た男｣(44年)で監督デビュー。
軽妙なタッチの喜劇を得意とし“新大船調の復活”と評される。
54年に松竹を去ってからは、日活、東宝系、大映と場を移し、日本軽佻派を名乗り、
独自の喜劇･風俗映画を中心に、露悪的で含羞に富み、卑俗にしてハイセンスな人間味溢れる
数々の名作･怪作･傑作を発表。63年6月11日、東京･芝の自宅にて急逝。享年45才。
故郷に建つ記念碑には生前好んだ言葉「花に嵐のたとえもあるぞ、サヨナラだけが人生だ」
の碑文が刻まれている。

　川島雄三が『続・飢える魂』に続いて演出した日活での最後の作品。川島雄三の世界に心酔したフランキー堺のコメディアンぶり、徹底した戯作精神の主である川島雄三監督。映画史上最も素晴らしいコンビの一つである二人が江戸落語の世界をビジュアル化した映画史上に燦然と輝く傑作喜劇。落語の「居残り」をベースに「品川心中」「三枚起請」を巧みに織り込んだシナリオは、助監督だった今村昌平、田中啓一（山内久）、川島の三人で執筆。来る売春防止法の施行（昭和33年４月1 日）を前に、江戸時代以来連綿と続いてきた遊郭とそこに集う人々への哀惜をこめた風俗映画でもあり、江戸落語の世界を見事にフィルムに置き換えることにも成功している。
　フランキー堺が演じた佐平次は、労咳の静養のために、観ず知らずの連中を引き連れ、品川遊郭の相模屋に登楼する。さんざん遊んだあげく、文無しを開き直って、そのまま居残りに。ところがこの佐平次、万事そつなくこなす才人であり、相模屋では女郎たちからも男衆からも、客からも「居残りさん」「イノさん」と親しまれ、なくてはならさない存在となる。
　幕末の品川遊郭に集う勤王の志士たちと胸を煩い厭世気分の町人・佐平次の様々な騒動を狂想曲的に描いている。フランキー堺がふわりと羽織を身につける仕草の軽妙さ。キビキビとした動きの爽快さ。その動きにはコメディアン、フランキー堺の最高のパフォーマンスが堪能できる。
　労咳を背負いながら佐平次は「首が飛んでも動いてみせまサァ」とうそぶくニヒリスト。死の影におびえつつ、すべてを洒落のめす。すべて金づくで動くドライな男は、昭和30年代という時代に相応しいキャラクターでもあった、
　石原裕次郎が高杉晋作、小林旭が久坂玄瑞、二谷英明らと幕末の太陽族に扮して、フレッシュな魅力をふりまいた。また女優陣も充実している。左幸子と南田洋子の女郎の壮絶なバトル。芦川いづみの可憐で気丈な女中・おひさは、川島映画の清純ヒロインの典型でもある。フランキー堺の芸達者と川島雄三の戯作精神に溢れた日活映画の質の高さを証明する一本。

佐藤利明（娯楽映画研究）

■作品情報
　*昭和３2年作品
　* 監督：川島雄三
　* 脚本：田中啓一／川島雄三／今村昌平
　* 撮影：高村倉太郎
　* 音楽：黛敏郎
　* 助監督：今村昌平
　* 出演：フランキー堺／石原裕次郎／左幸子／南田洋子／芦川いづみ
　　　　／小沢昭一／小林旭　他

　
■DVD情報
　・高画質･高音質デジタル･リマスター版
　・／DVNS‐５／モノクロ／110分／片面一層／スタンダードサイズ／ドルビーデジタル　モノラル
　　￥6，30０(税込)
　
《DVD特典》
　・南田洋子、小沢昭一、橋本文雄（録音）、白井佳夫（映画評論家）による
　　オーディオコメンタリー
　・【豪華ブックレット】
　　芦川いづみ、立川志らく、中村公彦（美術）、オーディオコメンタリー収録後の座談会
　　川島晋一(川島監督の甥っ子による全15回連載＜1＞＜2＞)他、
　　貴重資料＆写真等を収録。
　・【撮影資料復刻版（約70P）】
　　当時のスタッフが使用していた貴重な“川島組”撮影資料の復刻版を初蔵出し！
　　撮影監督の高村倉太郎氏の解説付きで、あなたも“川島組”のスタッフの一員に！
　・撮影スナップによるフォトギャラリー他、作品データ満載。豪華外箱使用。

　松竹で28本の作品を手掛けた川島雄三が、製作再開一年目の日活撮影所でメガホンをとった日活での第一作目。川島喜劇を支えた脚本家／監督の柳沢類寿と供に、アンドレ・ルッサンの「赤んぼ頌」を換骨奪胎。産児制限＝バースコントロールをテーマに、「セックスと妊娠」をめぐる、様々な世代の登場人物たちの右往左往を描く艶笑喜劇に仕上がっている。ポンポンと飛び出す小気味良いダイヤローグの応酬は、新生日活に相応しい斬新なものだった。
　当時の日活は「信用ある日活映画」をキャッチフレーズに、文芸映画や風俗喜劇を得意としていた。『愛のお荷物』も、いわゆるプログラムピクチャーとは一線を画した大作映画として作られている。
　人口増加を食い止めるための「受胎調節相談所設置法案」をめぐる国会での攻防戦。そのキーマンである厚生大臣である新木錠三郎（山村聰）の妻・蘭子（轟夕起子）も四十代半ばにしてご懐妊してしまう。その道楽息子・錠太郎（三橋達也）は、父の秘書で名家のお嬢さん・五代冴子（北原三枝）から妊娠を告げられる。
　登場人物たちが、適度にカリカチュアされ、狂騒曲が繰り広げられる。北原三枝のコメディエンヌぶりとしての才覚が堪能できる。また、オープニングのナレーションは加藤武、出羽小路亀之助役のフランキー堺、鳥井秘書官の小沢昭一といった川島組常連俳優たちが、出番は少ないが、作品のアクセントとして登場する。ジャズ・ドラマーとして一世を風靡したフランキー堺の抜群のコメディ演技に注目。
　箱根に住むおじいちゃん・新木錠造に扮したのがベテラン東野英治郎。最新型のポラロイドキャメラを首から下げ、キャメラ道楽を楽しみ、茶飲み友達とアツアツぶりを見せつける。こちらにも愛のお荷物が出来そうな勢いがある。
　本作を皮切りに、川島雄三は『幕末太陽伝』まで９本の作品を日活で手掛け、それまでのプログラムピクチャーの時代から、映画作家としての黄金時代をを迎えることになる。

佐藤利明（娯楽映画研究）

■作品情報
　*昭和３0年作品
　* 監督：川島雄三
　* 脚本：柳沢類寿／川島雄三
　* 音楽：黛敏郎
　* 撮影：峰重義
　* 助監督：今村昌平
　* 出演：三橋達也／北原三枝／轟夕起子／山村聡／山田五十鈴
　　　　　／小沢昭一／フランキー堺　他

■DVD情報
　・高画質デジタル･ニューマスター版
　・DVN‐118／モノクロ／111分／片面一層　スタンダードサイズ／ドルビーデジタル　モノラル
　　￥4,935(税込)
　
《DVD特典》
　・【解説書(20P)】武田一成監督(本作品の助監督)
　　川島晋一(川島監督の甥っ子による全15回連載＜3＞＜4＞)他、
　　カラープレス資料を収録。
　・劇場予告篇
　・撮影スナップによるフォトギャラリー他、作品データ満載。

　『あした来る人』は昭和30(1955)年5月29日、前作『愛のお荷物』からわずか二ヶ月後に公開された日活時代の二作目となる。原作は井上靖が、朝日新聞に昭和29年に連載した同名の新聞小説。脚色はメロドラマから男性ドラマまで幅広いジャンルで活躍した菊島隆三が執筆。前作のカリカチュアされた喜劇から一変、堂々たる文芸メロドラマとして作られている。
　登山に夢中の夫・克平（三橋達也）に不満を抱いている妻・八千代（月丘夢路）が、魚の研究に熱中している青年・曽根（三國連太郎）と出会い、夫にはない男性的魅力を感じてしまう。一方の克平は、美貌の洋裁家・杏子（新珠三千代）との不倫に苦悩する。それぞれが、それぞれの形で「昨日の人」である梶大介（山村總）の庇護を受け、「あした」を探している。
　戦後十年、若者たちが自分たちのアイデンティティを探し、苦悩しながら、自由に生きる道を選ぶ。「あした来る人」である若者たちと、「昨日の人」の初老の実業家の交流を描く原作は、井上靖らしい人間洞察の深さと、軽妙な文体で、数多くの読者に支持された。
　井上はヒロイン。八千代を美貌の女優・月丘夢路をイメージして当て書きしたという。井上原作、川島監督、月丘では、松竹時代の昭和29（1954）年、『昨日と明日の間』でもトリオ作品がある。本作が月丘にとっての日活入社第一作となる。山村總扮する梶大介と、彼が面倒を見ている新珠三千代とのプラトニックなパトロン関係は、セックスだけではない男女の愛情のあり方が提示されている。しかし、『女は二度生まれる』での山村總は、嫉妬深い「男の本音」をむき出しにしたパトロンを演じているのが興味深い。
　カラコルム登頂への夢を実現させようとする克平も、カジカの研究に没頭している曽根も、周囲を顧みない頑さがある。川島喜劇にしばしば登場する奇妙な男たちと基本的には共通している。この二人の男たちと、杏子と八千代、二人の異なるヒロインたち。川島映画ならではの人物造形が楽しめる一本。　

佐藤利明（娯楽映画研究）

■作品情報
　*昭和３0年作品
　* 監督：川島雄三
　* 脚本：斉藤耕一／倉本聰
　* 原作：井上靖
　* 音楽：黛敏郎
　* 脚本：田中啓一／川島雄三／今村昌平
　* 撮影：高村倉太郎
　* 音楽：黛敏郎
　* 助監督：今村昌平
　* 出演：山村聡／月丘夢路／三橋達也／新珠三千代／三國連太郎
　　　　／小沢昭一／金子信雄　他

■DVD情報
　・高画質デジタル･ニューマスター版
　・DVN‐119／モノクロ／115分／片面一層　スタンダードサイズ／ドルビーデジタル　モノラル
　　￥4,935(税込)
　
《DVD特典》
　・【解説書(15P)】月丘夢路、中村公彦（美術）
　　川島晋一(川島監督の甥っ子による全15回連載＜5＞)他、
　　カラープレス資料を収録。
　・劇場予告篇、川島雄三監督の撮影風景が映された貴重な特報を収録
　・撮影スナップによるフォトギャラリー他、作品データ満載。

名優・森繁久彌のムービージョッキーも楽しい都会派ドラマ

G・Mの署名のある肖像画を描いた画家をさがす美貌の夫人をめぐって、銀座を中心にくりひろげられる都会派ドラマ。「週刊朝日」全読者を湧かせた井上友一郎の評判小説の映画化。封入特典の解説書には、森繁久彌氏のコメントを掲載！

■作品情報
・昭和３0年作品
・原作：井上友一郎
・脚本：柳沢類寿
・撮影：横山実
・音楽：仁木他喜雄
・美術：中村公彦

・出演：月丘夢路／三橋達也／北原三枝／大坂志郎／浅丘ルリ子／
　　　　森繁久彌(歌とジョッキー)

■DVD情報
・高画質デジタル･ニューマスター版
・DVN‐120／モノクロ／117分／片面一層　スタンダードサイズ／
　ドルビーデジタル　モノラル　￥4,935(税込)
　
《DVD特典》
【解説書(20P)】
・森繁久彌氏による川島監督に宛てたコメント
・宮尾與男氏(「幕末太陽傳」の時代考証を担当した
　宮尾しげを氏の親族)による昭和30年代の銀座風俗紹介
・川島晋一氏(川島監督の甥っ子による全15回連載<6><7>)他、
　カラープレス資料、オリジナルポスターを掲載。

●撮影スナップによる解説つきフォトギャラリー他、作品データ



	豪華4人の人気女優が夢の競演。川島雄三の演出が冴える文芸大作！かつて天才画家だった実業家、人生を計算で割切るその息子、小児マヒの娘、風船のようにたよりなく行動する歌手などの姿をかりて、戦後日本人のモラルを追及した毎日新聞連載、大仏次郎原作の映画化。封入特典の解説書には、ファッションデザイナー・森英恵さんのインタビューを掲載。 ■作品情報・昭和３1年作品・原作：大仏次郎・脚本：川島雄三、今村昌平・撮影：高村倉太郎・衣装デザイン：森英恵・出演：森雅之／三橋達也／北原三枝／左幸子／芦川いづみ／新珠三千代 ■DVD情報・高画質デジタル･ニューマスター版・DVN‐121／モノクロ／110分／片面一層　スタンダードサイズ／　ドルビーデジタル　モノラル　￥4,935(税込) 　《DVD特典》【解説書(20P)】・ファッションデザイナー森英恵氏のインタビュー・川島晋一氏(川島監督の甥っ子による全15回連載<8><9>)他、　　カラープレス資料を掲載。 ●撮影スナップによる解説つきフォトギャラリー他、作品データ



	「幕末太陽傳」に並ぶ名作。ファン待望の初DVD化！東京・洲崎遊郭の入り口にある飲み屋にやってきた腐れ縁のワケあり男女のやるせない日々を見事に描ききった作品。川島監督自身も最も愛着をもっていた名作。特典映像として、東京国際映画祭でのトークショーを収録！ ■作品情報・昭和３1年作品・原作：芝木好子・脚本：井手俊郎、寺田信義・撮影：高村倉太郎・音楽：真鍋理一郎・録音：橋本文雄・出演：新珠三千代／三橋達也／芦川いづみ／轟夕起子／河津清三郎／小沢昭一 ■DVD情報・高画質デジタル･ニューマスター版・DVN‐122／モノクロ／81分／片面一層　スタンダードサイズ／　ドルビーデジタル　モノラル　￥4,935(税込) 　《DVD特典》 ●特典映像(約30分) ・第18回東京国際映画祭　川島雄三監督特集上映　“サヨナラだけが人生だ” 　小沢昭一トークショー、橋本文雄（録音）トークショー映像を収録 ●音声コメンタリー・白井佳夫氏と遠藤三郎（サード助監督として、川島監督の日活作品のほとんどに付く）による音声コメンタリー。遠藤氏は、今までの川島監督関連ではあまり発言をしていないので、ここで語られる内容は川島監督ファンも納得の多くの新情報が語られています。 ●解説書（24P）・スタジオ・ジブリ・プロデューサー　鈴木敏夫氏による解説・円尾敏郎氏による“撮影監督・高村倉太郎”について・川島晋一氏(川島監督の甥っ子による全15回連載<10><11>)他、　カラープレス資料、オリジナルポスターを掲載。 ●撮影スナップによる解説つきフォトギャラリー他、作品データ



	『わが町』　高画質デジタル･ニューマスター版 ★ファン待望の初パッケージ化！　 ■作品情報・昭和３1年作品・原作：織田作之助・脚本：八住利雄・撮影：高村倉太郎・音楽：真鍋理一郎・美術：中村公彦・出演：辰巳柳太郎／南田洋子／三橋達也／大坂志郎／小沢昭一／　　　　北林谷栄／殿山泰司 ■DVD情報・高画質デジタル･ニューマスター版・DVN‐123／モノクロ／98分／片面一層　スタンダードサイズ／　ドルビーデジタル　モノラル　￥4,935(税込) 　《DVD特典》 ●作品データ、撮影スナップによる解説つきフォトギャラリー他 ●【解説書(26P)】・当時のスタッフが使用した大阪ロケ地ＭＡＰを復刻！・佐藤利明氏（娯楽映画研究）の作品解説・斉藤守彦氏（映画ジャーナリスト/アナリスト）による当時の関係者の多くを取材し、　資料を検証し映画｢わが町｣製作を徹底的に解析した「『わが町』はこうして作られた」　また、織田作之助から、溝口健二、マキノ雅弘、川島雄三への受け継がれた｢わが町｣を　原作、脚本と徹底比較した「『わが町』から『わが町』に至るまで」・川島晋一氏(川島監督の甥っ子による全15回連載<12><13>)他、・カラープレス資料、オリジナルポスター、大阪ロケ写真等々を掲載。



	『飢える魂　完全版』　高画質デジタル･ニューマスター版 ★ファン待望の初パッケージ化！　 ■作品情報・昭和３1年作品・原作：丹羽文雄・脚本：柳沢類寿・撮影：高村倉太郎・音楽：真鍋理一郎・美術：中村公彦・出演：三橋達也／南田洋子／轟夕起子／大坂志郎／金子信雄／　　　　桑野みゆき／小林旭 ■DVD情報・高画質デジタル･ニューマスター版・DVN‐124／モノクロ／78分+97分／片面二層　スタンダードサイズ／　ドルビーデジタル　モノラル　￥5,755(税込) 　《DVD特典》 ●作品データ、撮影スナップによる解説つきフォトギャラリー他 ●【解説書(24P)】・佐藤利明氏（娯楽映画研究）の作品解説・川島組の助監督として活躍後、映画監督となった遠藤三郎氏(｢洲崎パラダイス赤信号｣DVDコメンタリー出演）のインタビューを掲載。コメンタリーだけでは語り尽せなかった川島監督の　真実が語られています。・斉藤守彦氏（映画ジャーナリスト/アナリスト）による川島監督作品の当時の新聞評価・川島晋一氏(川島監督の甥っ子による全15回連載<14><15>)他、・カラープレス資料、オリジナルポスターを掲載。

監督川島雄三ホームページ