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映画『まく子』公開直前トークイベントに原作者・西加奈子さんと鶴岡慧子監督が登壇!原作から引き継いだ想いや映画オリジナルの演出とは?
2019年03月07日(木曜日)

幅広い世代から愛される、西加奈子さんの世界観を感動作として見事に昇華させた映画『まく子』が、いよいよ今月3/15(金)テアトル新宿ほか全国公開されます。公開を間近に控えた3/4(月)紀伊國屋書店新宿本店にて、文庫刊行と映画公開を記念し、原作者・西加奈子さんと鶴岡慧子監督によるトークイベントが行われました。

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本作は、西加奈子さんが第152回直木賞受賞後の第一作目として書き下ろし、児童小説では異例の累計55,000部の売り上げを記録した同名小説が原作で、思春期の主人公・サトシの葛藤と、不思議な魅力をもつ美少女コズエとのせつない初恋を軸に描く《再生と感動》の物語です。

2/12には、映画公開を記念して文庫が刊行。表紙イラストは、主人公サトシが心惹かれる風変りな転入生・美少女コズエが撒く"葉っぱ"をモチーフに、原作者・西さんが新たに描き下ろしました。映画公開を目前に控え、原作者・西さんと本作のメガホンをとった鶴岡監督それぞれの想いとは?


― 映画を鑑賞して

映画を観た感想を聞かれた西さんは「素晴らしかったです。原作者ということを忘れてましたね。没頭して観ました」と語り、その感想を聞いた鶴岡監督は「原作者の方に、このように手放しで祝福していただくことはそんなにないことなので、うれしいです!こんなに幸せな映画はないと思います」と安心感と喜びを爆発させ、なごやかなムードでトークがスタートしました。


― 西さんが小説「まく子」を執筆したきっかけとは?

絵本で有名な出版社、福音館書店からの出版が決まっていた「まく子」。西さんは「小中学生が読めるものを書こうと思って書き始めましたが、自分自身で出来が気に入らなくて少し執筆をお休みして、その間に直木賞を頂いたりして。その後しばらくしてから執筆を再開したときに、色々難しく考えすぎていたんだなと思い直し、いまの私自身が思っていること、正直な気持ちを、サトシくんという小学6年生の男の子の体を借りて書きました。『まく子』には悪い人が出てこないんです。それは作品として優れてないかもしれないですが、悪い人が出てこない、こんな美しい集落はないだろうと、個人的には疑うことはあっても、作家としてはこういう集落を作ろうよ、という想いがあって。『まく子』は、こういう人がいてくれたらいい、という私の理想を書いた作品ですね」と述懐。

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― 鶴岡監督が引き継いだ西さんの「想い」

西さんの話を聞いた鶴岡監督は「"全員良い人"というところは引き継ぎたい、変に裏切りたくない。そこは大事にしましたね。全員悪人という映画もありますが、その対極にある映画ですね(笑)」と、西さんが原作に込めた想いを映画にリレーしたことを明かしました。

― 小説を読んだとき、印象的に残ったセリフは?

小説「まく子」への想いを語る鶴岡監督は「コズエがサトシにいうセリフ『小さな永遠は終わらないといけない、大きな永遠に変えないと』ですね。そのセリフの前のシーンが、小説と映画とでは違うんです」と回答。

それを受けた西さんは「永遠は人間がつくるものじゃない気がして、期せずして永遠になっていくものが私にとって永遠だと思ったんです。自分の命に固執することを、自分できちんと考えたかった。サトシくんみたいに成長するんじゃなく、わたしは自分が老いていく過程での"永遠"を考えたんだと思います」と、セリフに込めた想いを明かしました。

― 小説にはない、映画オリジナルの部分は?

鶴岡監督は「原作は夏休みの設定だったんです。だけど主役の山﨑くんが思春期でどんどん成長していってしまうので、夏だと間に合わないので春休みに書き換えました。もともとの設定にあった夏休みのプールの場面を、温泉街のお風呂のシーンに置き換えるなどしましたね」と回答。

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それを聞いた西さんは「原作者としては、そんな設定をしていたことや重要なキャラクターがいないことなども気づかなくて、すっかり忘れて見入ってました!時折『あれ、このセリフ知っているな』って思ったりして。映像と小説は全然違って、そこがすごく新鮮で、楽しかったですね」と感想を述べました。

映画『まく子』でも、とりわけユニークで印象的なシーンである、実写映画に砂絵のアニメーションを挟んだ演出について、鶴岡監督は「小説では、サトシとコズエがふたりで語りあう分量が多いんです。だけど会話しているだけでは伝わらない。それまで実写だけで映画を作ってきたので、別の要素を入れる発想はなかったのですが、友人でもあるアーティスト・佐藤さんの砂絵の作品のことがピーンと思い浮かんで。すごくいいんじゃないかと一人で興奮して、脚本に"砂絵"って書いて出したら、プロデューサーはじめみんなに『これなに?』と言われましたね(笑)。でも友人のアーティストも作品制作を快諾してくれて、話がスムーズに進んだんです。小説の中でも"粒"がキーワードになっているので、これを生かすためにも砂絵だな、と思ったんです」と、製作秘話を披露。

西さんは「あのシーンは素晴らしかったです!小説だけに留まってない、すごく好きなシーンですね」と喜びを伝えました。

― 映画『まく子』キャストについて

鶴岡監督は「主役の山﨑くんは、彼が出演した『真夏の方程式』がすごく好きで、初期の段階から候補だったんです。もちろんお芝居も上手なのですが、彼の佇まいがすごく普通で子供っぽい面があって、そこがよかったんです。新音さんの演じたコズエの役は、最初のオーディションではピンとこなくて、この役はこだわりたい、と意地になって深夜にネットサーフィンをしていたら、新音さんのページにぶち当たって『この子だ!』と思いました。ご本人にお会いした後、すぐ決めましたね。」とキャスティングの経緯を話しました。

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©2019「まく子」製作委員会/西加奈子(福音館書店)


西さんは「山﨑くんは成長の途上にある、ゆらぎのある顔をしているのが魅力的。新音さんは、人間離れした美しさに説得力があるなと思いました」と二人の印象を語りました。

サトシの父親を演じた草彅さんについて、鶴岡監督は「草彅さんはキャスティングの要でしたね。最初に草彅さんを起用したい、という話し合いをして、ダメ元で当たって砕けろ、聞いてみようという話になりました。いざOKを頂いたら、すごく嬉しい半面恐ろしい、怖いなっていう気持ちは正直ありました。草彅さんの衣裳合わせでは本当に緊張して...。でもお会いして色々伝えると、自然体でふっと受け入れてくれるんです。

現場でも、あんな大スターなのにギラギラな感じはまったくない。お芝居についても、とてもいい感じで力が抜けていて。でもその中で、お父さんとサトシの重要な見せ場があるのですが、そこではスクリーンの向こうにいるお客さんに向けてどうお芝居するか、その見せ方がエンターテイナーとして徹底している。そのバランスの良さはすごく勉強になりました」と、印象を振り返りました。

西さんは「もともと綺麗な顔なんですけど、こんなセクシーやったんや!とビックリするくらい、役者さんて凄いなと思いました」と、本作で新境地をみせる草彅さんへの感想を語りました。

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©2019「まく子」製作委員会/西加奈子(福音館書店)


― 最後に一言メッセージ

西さんは「私は映画が本当に好きなんです。一映画ファンとして作品を観て素晴らしかったので、同じ気持ちになって頂けるんじゃないかと思います」、鶴岡監督は「ちょうど一年前に撮影していた作品が、いよいよ公開を迎えドキドキしています。原作本にはまだたくさんの素敵な言葉がつまっています。ぜひ映画と一緒に楽しんで欲しいです!」と各々メッセージを送り、トークイベントは終始なごやかな雰囲気で終了しました。


映画『まく子』2019/3/15(金)テアトル新宿ほか全国公開!


かけがえのない"あの頃"に涙する-。
今を生きる大人たちへ贈る再生と感動の物語『まく子』に、ご期待ください!

物語
ひなびた温泉街の旅館の息子・サトシは、小学5年生。自分の体の変化に悩み、女好きの父親に反感を抱いていた。ある日、美しい少女コズエが転入してくる。言動がどこか不思議なコズエに最初は困惑していたサトシだったが、次第に彼女に魅せられていく。そして「ある星から来たの。」と信じがたい秘密を打ち明けられる。枯葉や紙の花を楽しそうにまくコズエが、やがて町の人々みんなにまいたものとは...。

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©2019「まく子」製作委員会/西加奈子(福音館書店)


映画『まく子』関連ニュース

特別番組配信決定
主題歌「若気の至り」ストーリーフィルム公開
鶴岡慧子監督×漫画家・羽賀翔一氏トークイベントの模様
完成披露上映会の模様
著名人たちから絶賛コメント到着
予告篇解禁
厚労省とコラボ
ポスタービジュアル解禁
主題歌決定
追加キャスト解禁
特報完成
第1弾チラシ&場面写真解禁
映画化決定


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『まく子』

★2019年3月15日(金)全国公開★

直木賞作家・西加奈子の傑作、ついに映画化

監督・脚本:鶴岡慧子

原作:西加奈子(「まく子」福音館書店刊)

出演:山﨑光 新音 須藤理彩/草彅 剛

©2019「まく子」製作委員会/西加奈子(福音館書店)



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