スタッフコラム「フォーカス」へ、ようこそ!当コラムでは、日活作品や当社が関連する事業などに従業員目線で"焦点(フォーカス)を当て" 様々な切り口でその魅力をお伝えします。vol.6は、夏休みに観てほしい<おすすめ配信作品(一般映画限定)>日活ランキングをご紹介。この季節ならでは、まとまった時間のあるときに、疲れ気味の今こそ...などなど様々な理由で人気の高かったベスト10とは?
地域差はあれど、例年であれば日本の学校では、7月下旬から8月下旬にかけて夏休みのところが多いですね。お勤めの方はお盆一斉休暇や交代制、自営業の方の中には夏休みなんてない!という方もいらっしゃったり。
今年は新型コロナウイルスによって、休校、休業、時差出勤、テレワーク、自粛...など、私たちの暮らしに様々な影響が出ています。学生さんの夏休みは短縮され、親子の時間が減った方、あるいは働き方の変化によって家族の時間が増えた方、健康や日常を支えるお仕事で疲労がたまっている方、在宅勤務で仕事とプライベートをうまく切り替えられずにストレスをためている方など、例年とは違う日常に戸惑いながら過ごしている方が多くいらっしゃることと思います。
今回私たちのオススメする映画が、心の緊張を解きほぐすきっかけになったり、何かを考えるヒントになったり、笑顔に繋がる出会いの1本になれば、幸いです。たまには、いろいろなことを忘れて、映画で至福のひとときを。
夏休みに観てほしい<おすすめ配信作品>は、"興味を持った作品をご覧いただく"ことを前提とし、2020年6月現在配信している一般映画を対象に社内アンケート(20代~60代)をとったランキング結果です。日活公式サイトに入っている全作品を対象としたアンケートではないこと、お間違いないようにお願いします。
では、さっそく発表です!
映画好き日活社員が選んだ<ベスト10>はこれだ!
第1位 きっと、うまくいく(2013年公開)
第2位 幕末太陽傳(1957年公開)
第3位 ブタがいた教室(2008年公開)
第4位 うた魂♪(2008年公開)
第4位 ひとよ(2019年公開)
第6位 ビルマの竪琴 総集編(1956年公開)
第6位 カッパの三平(1993年公開)
第6位 百万円と苦虫女(2008年公開)
第6位 レスラー(2009年公開)
第6位 大洗にも星はふるなり(2009年公開)
皆さんがご覧になったことのある作品、お気に入りの作品は、ベスト10に入っていましたか?
ここからは、それぞれの作品のおすすめ理由をご紹介していきます。
なお、配信サービス情報は、各作品の映画詳細ページに記載しています。一部BD/DVD発売作品もありますが、お取り扱いの最新情報はリンク先のオンラインショップなどでご確認ください。
<第1位>きっと、うまくいく
学歴競争が過熱するインドの教育問題に一石を投じ、世界中で大ヒット。大学時代の親友3人が織りなす、珠玉の感動エンターテインメント。
【公開】2013.5.18
【監督】ラージクマール・ヒラニ
【出演】アーミル・カーン R・マーダヴァン シャルマン・ジョーシー カリーナー・カプール
(製作国:インド/2009年製作/原題:3idiots/170分)
おすすめ理由
・「本当に自分が好きなこと、やりたいことをすべきだ」と応援してくれる、前向きになれる映画。3人の悪戯は学生ならではのもので、青春を感じることができる。
・主演のアーミル・カーンの役者としての演技力のすばらしさと、これでもかと伏線回収を繰り返す、映画としての出来の良さ。人生にとって大切なことを投げかけてくれる作品。
・長さに躊躇しているなら、時間のある夏休みにこそ観てほしい。ユーモア、社会への提言、悲しみ、怒り、許し、希望など様々な要素の中に自然と歌や踊りが差し込まれ、私たちを色々な感情に導いてくれる。
・夏休みとは言わず何度でも観たくなる、笑って泣けて歌って踊れる傑作。
・幸せな気分になれるし、インド映画界の懐の深さが良くわかる。
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<第2位>幕末太陽傳
キネ旬「オールタイムベスト 映画遺産200」日本映画篇 第4位!落語をモチーフにした、川島雄三監督による痛快エンターテイメント時代劇。日活創立100周年にデジタル修復を実施。
【公開】1957.7.14(デジタル修復版は2011.12.23)
【監督】川島雄三
【出演】フランキー堺 南田洋子 左幸子 石原裕次郎 芦川いづみ
(製作国:日本/製作:日活/110分)
おすすめ理由
・日本映画の歴史を知る上でも観ておかなければならない、今も色あせぬ魅力を放つ不朽の名作。
・役者もスタッフもエネルギッシュだった時代の名作で、そのパワーに圧倒される。
・旧作の印象が変わり、旧作を観たいと思うきっかけになった作品。
・一文無しの佐平次が、アイデアを駆使してピンチを切り抜ける様が痛快。
・自分がおかれた環境の中で持てる力を発揮し、生き抜くバイタリティに勇気づけられる。そんな佐平次を演じたフランキー堺が愛おしく、観たあと元気になれる。
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<第3位>ブタがいた教室
"いのち"の長さは誰が決めるの?卒業までの一年間「食べる約束」でブタを飼いはじめた新任教師と26人の小学生。真剣に"いのち"と向き合った感動の実話。
【公開】2008.11.1
【監督】前田哲
【出演】妻夫木聡 大杉漣 田畑智子 池田成志 原田美枝子
(製作国:日本/製作:「ブタがいた教室」製作委員会/109分)
おすすめ理由
・自分だったらどう考え、どのような選択をするだろう、と観終わった後も深く考えられる映画。ぜひお子さんと一緒に観てほしい。
・小学生のころヒヨコから飼って大きくなったニワトリが産んだ卵は頂いていたが、そのニワトリを食べるという発想は、当時の私にはなかった。個人的な体験と重ね合わせ、考えさせられた印象的な映画で、命を頂くということを大人になっても改めて考えさせられる作品。
・生き物を食べて生きているという事実を実感する、感動的な映画。特に台本の無い子供たちのディベートシーンには心打たれる。
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<同率第4位>うた魂♪
山田耕作「待ちぼうけ」、尾崎豊「15の夜」、MONGOL800「あなたに」などなど、クラシックからポップスまで名曲がいっぱい。様々なスタイルで繰り広げられる"合唱シーン"に、あなたもきっと歌いだす!
【公開】2008.4.5
【監督】田中誠
【出演】夏帆 ゴリ(ガレッジセール) 石黒英雄 薬師丸ひろ子
(製作国:日本/製作:「うた魂♪」製作委員会/120分)
おすすめ理由
・誰もが一度は合唱をしたことがあるはず。歌いたくなる「青い鳥」!青春を思い出すフレッシュさ。
・歌って笑って恋して、本当に楽しい青春映画。コロナの影響で学校生活や部活動がままならない今、子供たちはこの作品を観て元気を得て欲しい。
・どことなく先が見えない世の中だが、ピュアな高校生たちを見ていると本当に元気が出る。大人も是非。
・薬師丸ひろ子の見どころシーンは必見。主人公の夏帆は当時16歳。この夏帆が12年後、『Red』に主演。女優キャリアのターニングポイントになっている2作を見比べてみるのもおすすめ。
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<同率第4位>ひとよ
ある家族に起きた一夜の事件は、母と子どもたち三兄妹の運命を大きく狂わせた。心の傷を抱え別々の人生を歩んだ家族は、15年後に再会。崩壊した家族の絆を取り戻そうともがき続けた先に訪れる結末とは―。
【公開】2019.11.8
【監督】白石和彌
【出演】佐藤健 鈴木亮平 松岡茉優・田中裕子
(製作国:日本/製作:「ひとよ」製作委員会/123分)
おすすめ理由
・重すぎる過去に苦しみながら大人になった子供たち、そのきっかけとなる事件を起こした母親、メインの家族を演じる4人が全員主役級の俳優で、全員の演技が素晴らしいため物語に説得力があり、それぞれの愛憎入り混じった心境が胸に突き刺さる。観終わったあと、親というものは?など、色々と考えてしまう。
・主人公一家だけでなく、佐々木蔵之介や筒井真理子が抱える家族の問題もサイドストーリーとして描かれており、自分が当事者になるかもしれない家族の問題について考えさせられる。
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<同率第6位>ビルマの竪琴 総集編
熾烈を極めたビルマ戦線。終戦を迎え、抵抗する部隊の説得に行ったまま消息を絶った井上部隊の水島上等兵。ある日、井上部隊は水島に似た僧とすれちがう。その憂愁の横顔。彼が語り得ぬ悩みとは―。
【公開】1956.2.12
【監督】市川崑
【出演】三国連太郎 安井昌二 浜村純 西村晃 北林谷栄 三橋達也
(製作国:日本/製作:日活/116分)
おすすめ理由
・コロナ禍で、改めて観て欲しい人間ドラマだと思う。
・ビルマ戦線で命を落とした兵士を弔うため、僧侶となり現地に残る決意をした一人の日本兵の苦悩、葛藤、仲間への気持ちが、全篇にわたって効果的に使われている合唱や竪琴の美しい音色により一層際立つ、市川崑監督による不朽の名作。夏と言えば、やはり終戦記念日は意識せずにはいられない。戦争を知る世代が描いた本作を、戦後75年を機に観てほしい。
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<同率第6位>カッパの三平
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原作「河童の三平」は、水木しげるが兄一家と暮らしていた時、甥っ子にせがまれて寝物語に面白おかしく話してきかせたのが原点。物語には自身の少年時代の出来事が織り込まれている。
【公開】1993.3.13
【監督】平田敏夫/(演出)棚野一徳
【声の出演】河原三平:田中真弓 ガータロー:堀絢子
(製作国:日本/製作:にっかつ児童映画 ロマン企画 にっかつビデオ/90分)
おすすめ理由
・アマビエは出てこないが、日本の妖怪がゾクゾク登場!
・こういうアニメもあるよってお知らせしたい。
・水木しげる先生の原作マンガのちょっとシュールな描写は控えめにしつつも、水木先生が作品でテーマとして伝えたかった(と思われる)自然への愛情と畏敬を平田敏夫監督が丁寧にアニメーション化している。7月~8月の暑い夏休みの時期に、家族、特に子供といっしょに観る作品としては、うってつけの一本。日活が製作したこともあり、宍戸錠、松原智恵子といった日活のスターたちが客演で声の吹き替えをしているのも注目ポイント。
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<同率第6位>百万円と苦虫女
百万円貯めて、誰も知らない場所 ― 海へ、山へ、そして地方の町へ。くすっと笑って、ほろり涙、人生が愛しくなる、ちょっとビターで憎めない女の子の旅物語。
【公開】2008.7.19
【監督】タナダユキ
【出演】蒼井優 森山未來
(製作国:日本/製作:「百万円と苦虫女」製作委員会/121分)
おすすめ理由
・海や山のシーンなど夏を感じられて、本作のために書き下ろした原田郁子の主題歌もグッとくる。蒼井優がとにかく魅力的!何度観ても最高。
・映画のポスターなどビジュアルが可愛い。観る時の自分の状況によって映画の感想が違ってくる気がして、また見返したくなる作品。
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<同率第6位>レスラー
不器用なまでに"自分の生き場所"を求め続けた男の姿に、世界中から共感と賞賛の声!ミッキー・ロークが奇跡の復活を果たした傑作ヒューマン・ドラマ。
【公開】2009.6.13
【監督】ダーレン・アロノフスキー
【出演】ミッキー・ローク マリサ・トメイ エヴァン・レイチェル・ウッド
(製作国:アメリカ・フランス/2008年製作/原題:THE WRESTLER/109分)
おすすめ理由
・表舞台から離れていた往年のスター俳優ミッキー・ロークを見事カムバックさせた人生ドラマの金字塔。
・そこでしか輝けない唯一の場所を病によって奪われた、どこまでも不器用な男の"生き場所"を求める姿に感動。誰もが思い通りの人生を送れるわけじゃない。もがき苦しみながら生きている。その姿は、無様かもしれない。本作では、不器用な男の生き様を丁寧に描いているのが素晴らしい。なんか頑張ろうって思える。
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<同率第6位>大洗にも星はふるなり
海の家に集まった、妄想中毒の男7人。実力派俳優×曲者個性派俳優が奏でる極上のアンサンブルと、異才・福田雄一監督が生み出すオリジナルな映像世界。予想外の展開・衝撃の結末とは?!
【公開】2009.11.7
【監督】福田雄一
【出演】山田孝之 山本裕典 ムロツヨシ 小柳友 白石隼也 / 安田顕 佐藤二朗 戸田恵梨香
(製作国:日本/製作:「大洗にも星はふるなり」製作委員会/103分)
おすすめ理由
・今月公開の『今日から俺は!! 劇場版』や7月期連ドラなど話題作を手掛ける福田雄一監督の映画監督デビュー作は必見!
・今年12月公開映画『新解釈・三国志』も含めて絶好調の福田雄一監督の基本中の基本作品を、コロナ禍で体験できない夏物語を、ぜひ観てほしい。
・今ではトップスターの仲間入りをした山田孝之、安田顕、ムロツヨシ、佐藤二朗などの福田組が集結。ハマったら最高に面白いエンターテインメント。
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<ベスト10>いかがでしたか?
夏休みということで、夏らしい景色(海、山など)が登場したり、青春を感じられる作品、親子や家族で楽しんだり、一緒に考えることのできる作品、また新型コロナウイルスで落ち込みがちな気分をあげてくれるような作品、人との絆を考えさせられる作品という、今年ならではの傾向があるような気がします。
さて、ここからは<ベスト10>圏外となってしまったものの年代別(20代/30代/40代/50代/60代)によっては上位にランクインした3作品も、ご紹介します。
洲崎パラダイス 赤信号
東京・洲崎遊郭の飲み屋を中心に、歓楽街に出入りする切っても切れぬ男女のくされ縁を描いた、川島雄三監督の代表作。
【公開】1956.7.31
【監督】川島雄三
【出演】新珠三千代 三橋達也 轟夕起子 芦川いづみ
(製作国:日本/製作:日活/81分)
おすすめ理由
・川島雄三監督が表現する昭和の世界観にノスタルジーを感じることができ、仲が良かった恋人の距離が段々と広がっていく描写が巧み。さらに白黒時代の映画とは思えないほど、物語やジェンダーの観点からみても色あせていないと思う。
・数年前に劇場で再見して、好きになった。男と女のグズグズぶりの面白さが、新珠三千代の艶っぽさがわかるようになって理解できたんだな。同じ作品でも、学生時代にはわからなかったというところがオススメ理由。
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彼女がその名を知らない鳥たち
ラブストーリーに夢を見られなくなった大人の女性たちに"究極の愛とは何か"と突きつけ、読者を虜にした沼田まほかるの人気ミステリー小説を映画化。
【公開】2017.10.28
【監督】白石和彌
【出演】蒼井優 阿部サダヲ 松坂桃李 竹野内豊
(製作国:日本/製作:映画「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会/123分)
おすすめ理由
・人のおぞましい暗部を描いた重厚なサスペンス・ミステリー。この愛の形の是非は、観た上で語ってもらいたい。
・『百万円と苦虫女』から約10年後、そして本作の3年後の『ロマンスドール』、それぞれ違って、蒼井優の演技力の高さを改めて実感する。ぜひ、すべて見比べてほしい。
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海を駆ける
自然は時に豊かに美しく、時に脅威となり人を飲み込み、また人間の生活は自然と共にあるという様を、インドネシアの美しい海、そして国籍や宗教を越えて育まれる若者たちの友情を通して描き出す。
【公開】2018.5.26
【監督】深田晃司
【出演】ディーン・フジオカ 太賀 阿部純子 アディパティ・ドルケン セカール・サリ 鶴田真由
(製作国:日本・フランス・インドネシア/製作:"The Man from the Sea"FILM PARTNERS/107分)
おすすめ理由
・今年はなかなか海水浴にも行けないと思うので、映画から海を感じられる本作はおすすめ。「生命」について考えさせられ、心が震える。
・個人的に夏らしいと感じる一作。ディーン・フジオカの印象が強いが、少年少女の淡い恋愛模様がとにかく可愛くて好き。ロメール好きの深田監督がインドネシアで恋愛模様を描くとこうなるのか、というのも最初観たときに面白いと感じたポイント。
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以上が、日活ランキングベスト10+αですが、フォーカスvol.6公開日である本日7/24(金)は、本来であれば東京2020オリンピックの開会式だったはず...ということで、最後にもう1作品ご紹介します。
東京五輪音頭
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【監督】小杉勇
【出演】三波春夫 山内賢 十朱幸代 和田浩治 山本陽子 沢本忠雄 古賀雅男
(製作国:日本/製作:日活/94分)
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前回の東京オリンピック開幕を約1か月後に控えた1964/9/9公開作。当時の日本にとって自国でのオリンピック開催がどれだけ重要な意味を持つもので、国民がどれだけ楽しみにしていたかが、映画全篇を通して伝わってくる。競技場、選手村なども映っており、オリンピックに向けて街が整備され、変わっていく様など、当時の東京の風景が楽しめるのも見どころのひとつ。水泳のオリンピック代表として期待される女学生を取り巻くエピソード、古き良き日本を感じられる町の人々との関係も楽しい。そして一人二役の三波春夫さんの素晴らしすぎる歌声に魅了されるのは言うまでもなく、切れの良い江戸っ子口調も最高!爽やかな若者たち、プールの水の音、川辺、浴衣姿など、見た目にも夏らしい本作。ラストは、オリンピックへの気持ち高まる三波春夫さんが歌う「東京五輪音頭」を存分に堪能できる、最初から最後まで飽きることのない贅沢な一本。楽しい気分になれること、間違いなし!
フォーカスvol.6では計14本の作品を紹介しましたが、社内アンケートでは、まだまだたくさんの作品が選出されました。
次回vol.7では、多くの票を集めたわけではないけれども、個人的に"アツくおすすめされた作品たち"を引き続きご紹介します。夏休みのお供に、ぜひ映画をお楽しみください。
(vol.6 社内アンケート参加者一同)