イベントレポート

<最新一覧へ戻る

黒沢清監督が松田龍平さんとの再タッグを熱望!?『散歩する侵略者』カンヌ国際映画祭から撮影裏話まで今こそ話せる貴重なエピソードの数々!
2017年10月10日(火曜日)

国内外で常に注目を集める黒沢清監督が、劇作家・前川知大氏率いる劇団イキウメの人気舞台を映画化した『散歩する侵略者』が全国劇場にて大ヒット上映中です。10/8(日)には新宿ピカデリーにて、松田龍平さんと黒沢清監督が語り合うスペシャルトークイベントを実施。撮影の裏側からカンヌ国際映画祭のお話など、今だから話せる"とっておきのエピソード"満載のイベントとなりました。

171008_sanpo00.jpg


本作は、数日間の行方不明の後、夫が"侵略者"に乗っ取られて帰ってくるという大胆なアイディアをもとに、日常が異変に巻き込まれていく世界を描く、誰も見たことがない新たなエンターテインメント。

夫の異変に戸惑いながらも夫婦の再生のために奔走する主人公・加瀬鳴海を長澤まさみさん、侵略者に乗っ取られた夫・加瀬真治を松田龍平さん、一家惨殺事件の取材中に侵略者と出会うジャーナリスト・桜井を長谷川博己さん、そして桜井が密着取材を申し入れる若き侵略者たち-天野を高杉真宙さん、立花あきらを恒松祐里さんが演じるほか、前田敦子さん、満島真之介さん、児嶋一哉さん、光石研さん、東出昌大さん、小泉今日子さん、笹野高史さんら豪華オールスターキャストが顔を揃えています。

公開から1ヵ月が経ってもなお、ストーリーや設定について様々な論争を巻き起こし、リピーターが続出している本作。上映後の会場に松田さんと黒沢監督が登場すると、お客様から大きな拍手が沸き起こりました。

はじめに松田さんが「今日はありがとうございます」と挨拶し、続いて黒沢監督が「公開してしばらく経ちますが、こうやって皆さんにお越しいただき嬉しいです。中には2回、3回と観た方もいるということで、僕は出来上がった作品を何回も観ていないので、僕が気づかなかった事に気づいている方もいるかもしれませんね。何かの機会に聞かせていただけると嬉しいです」と語りました。

公開後、松田さんの周りでも様々な反響があったようで「映画を観た友達からは、おもしろいって言われます。公開して1ヵ月経っても皆さんが観にきてくれて嬉しいです」と喜びを語り、黒沢監督は「これからも上映されたり、のちにはDVD等になったりと、今後作品が色んな形で残っていってくれるんだろうなと思うと感慨深いですね」としみじみとコメントしました。

171008_sanpo1.jpg


さらに、公開後何度も鑑賞しているリピーターの方からの質問に、黒沢監督が驚いたというエピソードを披露。「映画の後半、混乱する病院のロビーを長澤まさみさんと松田さんが動き回る長回しのワンカットのシーンがあるのですが、長澤さん演じる鳴海にそっくりの銅像が置いてあった意図は何でしょうか?と聞かれたのですが、全く覚えていなくて...」と、黒沢監督。その銅像は、ロケ場所の病院に元から置いてあったもので黒沢監督も全く気がついておらず、想定外の指摘に思わず動揺したと語りました。

松田さんと黒沢監督は、今年5月に開催されたカンヌ国際映画祭での公式上映に参加。改めてカンヌの感想を問われると、黒沢監督は「現地の方は温かく受け入れてくれましたね。こちらは冗談のつもりでやっているところも、すごく真剣に観てくれて。一般の方というよりはジャーナリストが多いので、日本の現状を象徴しているのかとか、物語の意味を一つ一つ聞かれました。複雑で色んな要素のつまった作品なので、色んな解釈をして観てくれて嬉しかったですし、とても楽しかったです」とコメント。

一方、『御法度』以来17年ぶりのカンヌ国際映画祭への参加となった松田さんは「17年ぶりということで色んな期待を胸に映画祭に行ったのですが、お酒を飲んでまったりしてしまって、天気もすごく良かったし、黒沢さんとゆっくり一緒にいることも撮影の現場ではなかったので、ああ、もう楽しんじゃおう!と思って。ビーチにも行きましたね」と述懐。黒沢監督も「撮影の現場ではなかなか松田さんと話す時間もなかったので、カンヌでゆっくりお話しできて楽しみました」と、映画祭を存分に楽しんだことを明かしました。

171008_sanpo2.jpg


ここから話題は『散歩する侵略者』の制作秘話に。侵略者に乗っ取られた男・加瀬真治役を松田さんにオファーした理由について話が及ぶと、黒沢監督は「『御法度』以来、松田さんの出演している色んな作品を観させていていただいていますが、すごくピュアというか、世俗的なものに毒されていない方だなと思いました。経験は豊かな方ですが、ピュアな部分が残っていて。侵略者の役は"作りたての人間"というゼロの状態からキャラクターを作り上げていく役なので、最初から変な癖のある人やしがらみを背負ってしまっている人だと難しくて。30歳くらいの年齢でピュアな要素を持っている、というと松田さんしかいませんでした!」と、その理由を明かしました。

黒沢監督の絶賛コメントに対し、松田さんは「うれしいですね。僕も演じている時に、まっさらであるという、概念を一つも持っていない、縛られていない役のイメージを持っていたので、本当にそういう気持ちでいたいと思っていました。ただ、実際の撮影現場で"ただそこにいる"というのは難しくて不安もあったので、現場では黒沢さんの顔をいつも窺っていました。難しい役でしたね」と苦労を語りつつも、「概念を奪うことによる真治の変化は、最初は少し考えてみたんですけど、あまりわかりづらい芝居をするのも違うかなと思って。結局は自分なりにその"概念"を想像してみるということに留まりました。普段、一つ一つの概念について考える機会はないので、そういったことを想像してみるというのは面白かったです」と難しい役どころにも、楽しんで取り組んでいた様子。

また、侵略者が人間から概念を奪う印象的なポーズの誕生秘話を黒沢監督が明かす場面も。「概念を奪う時にわかりやすいアクションをやるべきかどうか僕も悩んでいたのですが、一番最初に撮影したのが、真治が前田敦子さん演じる鳴海の妹・明日美から概念を奪うシーンで、その時、試しに松田さんに人差し指を突き出すポーズをやってもらったところ、すごくお手軽なことなのですが、決定的に何かが失われたように見えるなと確信して、他もあのポーズでやることに決めました」と明かし、松田さんは「面白いなって思いました。スタッフも聞かされてなくて、黒沢さんが撮影当日にこういう風にやってみてと仰ることが何度かあって。想像が広がるというか、そういう瞬発力というのが大事なんだなと思いました」と、初となる黒沢組の撮影現場を振り返りました。

sanpo_1843.jpg
©2017『散歩する侵略者』製作委員会


真治がテレビの気象予報士の動きを真似るシーンについて聞かれると、黒沢監督は「気象予報士役の方には、あの方はすごくうまくやってくれたのですが、かなりしつこく演出しました(笑)。でも、松田さんにはほとんど演出しませんでした。画面を見せてこんな感じで!と」。それを聞いた松田さんは「気象予報士役の方づてに演出されたんですね(笑)。あの時、肩が痛かったんですけど、あの動きをしたら見違えるように治ったので、家でもやろうと思って」と意外なエピソードを明かし、会場の笑いを誘いました。

今後、松田さんと一緒に作品を作ることになったとしたら、どのような作品で松田さんにどんな役をお願いしたいかという問いかけに関し、黒沢監督は「何でもやってみたいですが、今回は人類とかけ離れたところからスタートする役だったので、逆に国会議員とか、スパイとか。松田さんは犬派か猫派かといったら犬派だと思うので、まずは忠実に動いてみる、大きな組織にまずは属していることからスタートするような人がものすごく合う気がしますね」と期待を寄せました。

対して松田さんは「でも、どっちかというと猫派ですが...(笑)」と。それについて黒沢監督が「最初は犬派なんだけど、だんだん猫派だって気づいていくみたいな」と提案すると、松田さんは「それはワクワクしますね!ぜひお願いします」と、次回作に意欲を見せました。

また、現在WOWOWで放送中のスピンオフドラマ「予兆 散歩する侵略者」が、『予兆 散歩する侵略者 劇場版』として11/11(土)から劇場公開することが決定。黒沢監督は「映画版『散歩する侵略者』の松田さんと東出さんの教会でのやり取りは、僕自身いつも笑ってしまうのですが、あの東出さんが何者なのかが明かされます。映画版の事件が起こっているときとほぼ同じ時間軸の中で、別の街では何が起こっていたのかという発想で作ってみました。ぜひご覧ください」と、見どころを語りました。

171008_sanpo3.jpg


最後に「今日は本当にありがとうございました。まだまだ上映しているので、何回でも観てください」(松田さん)、「今日は久しぶりに松田さんと会えて、楽しい時間を過ごせました。何度も映画を観てくださった方もいて感激しています。色んな要素がつまった映画ですが、最終的にはわかりやすいメッセージを込めたつもりです。公開が終わっても皆さんの心の中に、この映画の記憶と、そのメッセージが少しでも長く残り続けてくれたら、作ったかいがあったというものです。本日はありがとうございました」(黒沢監督)と、それぞれコメントし、イベントは幕を閉じました。


映画 『散歩する侵略者』 大ヒット上映中!


黒沢監督さえも気づかなかった、リピーターの方だからこそ気づいたシーンなどにも注目しながら、ぜひまた本作をお楽しみください!

ストーリー
数日間の行方不明の後、不仲だった夫がまるで別人のようになって帰ってきた。急に穏やかで優しくなった夫に戸惑う加瀬鳴海。夫・真治は会社を辞め、毎日散歩に出かけていく。一体何をしているのか...?その頃、町では一家惨殺事件が発生し、奇妙な現象が頻発する。ジャーナリストの桜井は取材中、天野という謎の若者に出会い、二人は事件の鍵を握る女子高校生・立花あきらの行方を探し始める。やがて町は静かに不穏な世界へと姿を変え、事態は思わぬ方向へと動く。「地球を侵略しに来た」真治から衝撃の告白を受ける鳴海。当たり前の日常は、ある日突然終わりを告げる。

sanpo_movie_P1.jpg
©2017『散歩する侵略者』製作委員会


『散歩する侵略者』その他のイベントレポート

黒沢監督トークイベント
黒沢監督×前川知大さんトークイベント
黒沢監督×長澤まさみさんトークイベント
スピンオフドラマ「予兆 散歩する侵略者」完成披露
初日舞台挨拶
公開直前トークショー
特別試写会
完成披露上映会
新米宣伝マンのカンヌ生レポート
カンヌ国際映画祭


★★日活公式TwitterとFacebookもやってます★★

twitter-bird-light-bgs.jpg asset_f_logo_lg.jpg

『散歩する侵略者』

★2017/9/9(土)公開★

世界は終わるのかもしれない。それでも、一緒に生きたい。

監督:黒沢清

出演:長澤まさみ 松田龍平 高杉真宙 恒松祐里
前田敦子 満島真之介 児嶋一哉 光石研 東出昌大
小泉今日子 笹野高史 長谷川博己 ほか

©2017『散歩する侵略者』製作委員会



sanpo_main.jpg



★現在公開中の日活ラインナップもご期待下さい★

過去のイベントレポート

新着イベントレポート

PRESENT STAFF
INTERVIEW