“魂のピアニスト”フジコ・ヘミング、その生き様と美しい音色が刻まれた最後のドキュメンタリー映画『フジコ・ヘミング 永遠の音色』プレミア上映会舞台挨拶に菅野美穂が登壇!
2025.10.07(火曜日)

10/24(金)公開映画『フジコ・ヘミング 永遠の音色』プレミア上映が東京・ヒューマントラストシネマ渋谷で10/7(火)に行われ、上映後の舞台挨拶に本作のナレーションを務めた菅野美穂さんと、12年間フジコさんを追い続けた小松莊一良監督が登壇しました。

映画上映後、大きな拍手に迎えられてステージに登壇した小松監督は「この映画は、フジコさんやフジコさんをずっと大好きでいてくれた方に向けてつくろうという気持ちでやってきたので、今日、映画を観終わった後の皆さんのお顔を見るのは本当にうれしいこと。どこかでフジコさんも見てくれてるんじゃないかなと、先ほど菅野さんとも話していました」とご挨拶。
 
続いて菅野さんが「わたしは、かつてフジコさんの人生を描いたドラマで主演をさせていただいたことがございまして。フジコさんの人生に触れて、本当に唯一無二の素晴らしい方だなと思っていたんですけれども、こうしてナレーションという形でまた作品に関わらせていただけたこと、本当にうれしく思っています」と切り出すと、「ナレーション録音の当日は、偶然にも渋谷でフジコさんの衣装展示をやっていたんです。なので、そこでフジコさんの衣装を拝見してから、スタジオでナレーションを録りました。またこの渋谷の映画館で皆さんに観ていただけることが、なんだか運命のようにうれしく思います」としみじみと語りました。


 
さらに完成した映画について菅野さんは「フジコさんの人生は、すごく困難もあったと思いますが、それでもピアノに向き合うことをやめずに続けられました。それはやはり、ひとつの芸にまい進する方だからこそ到達できる境地で、だからこそ本当に優しく、柔らかな音色だと思うんです。こうして映画でまたフジコさんの演奏に触れられるというのは、本当に素晴らしいこと。わたしも改めてフジコさんのピアノの素晴らしさに元気をいただきました」と語りました。

そして、そんなフジコさんの人柄については「少女のようでありながら、気難しい一面もお持ちで。つかみどころがないようでいて、ハッキリと断言するようなところもある。相反するものを内面に抱えているからこそ、あの玉虫色のような音色が生まれるのかもしれません」と分析してみました。


©2025「フジコ・ヘミング 永遠の音色」フィルムパートナーズ
 
本作は、小松監督が約12年間にわたってフジコ・ヘミングさんを追い続けたからこそ撮れた、彼女の素顔に迫ったドキュメンタリー映画。

最初の出会いを「最初は廊下の向こうから、キャッ、と顔を隠されるような、少女のような方でした。」と振り返ります。また撮影に際しては「本音の部分を残したかった」とのことで、そのため、なるべく自然体であることや、日常の暮らし、日常の何気ない会話を映し出すことに注力したそう。

「撮影の日は出会ってから別れるまでカメラを回しっぱなしにしていました。そうすると素材はどんどん増えてしまうんですけれども、その中に真実があるような気がしたので。結果的に12年間フジコさんを見つめることができて、たくさんの素晴らしいシーンや、フジコさんの本音の言葉が撮影ができたかなと思います」と振り返りました。


 
そんなふたりの関係性に菅野さんも「映画を拝見して、フジコさんの小松監督に対する信頼をすごく感じました。やはりたくさんの人に囲まれていたからこそ、人の本質を見つけたんじゃないかなと思うんです。傷ついたこともおありだったと思いますが、そんな中でも小松監督の前では本音を語られていて。こういう出会いがあったのはフジコさんにとってもすてきなことだったと思うし、やはり芸を極めてらっしゃる方のお言葉は、広く私たちにも『ああ、そうだな』と思えるものがあるし、ハッとさせられました。(苦難を)乗り越えていらしたからこその先輩の言葉に、私も学びをいただきましたし、きっと他の方ではその言葉を引き出せなかったんじゃないかなと思いました」と感心した様子。
 
今回はアーティストのドキュメンタリーであるため、ナレーションによる余計な説明は極力排除し、フジコさんの言葉と日記、そして彼女の演奏で映画を語ることを目指したという小松監督。

「少し説明不足なところも、お客さまの中で余白として感じてほしいなと。『きっとこうなんじゃないの』『わたしもこういうことがあったわ』みたいに感じてほしいなと思ってつくりました。だから何度も観てほしいですし、今回菅野さんに絵日記を読んでいただけたということが僕にとってはすごく重要でした。何十年も前に書いた、特に40代の苦しい時期の、その時のつらい思いなどを彼女なりのエンターテインメント、ファンタジーの中に閉じ込めているんです。すごく寂しい、ひとりぼっちのクリスマスなのに、絵本を見るかのような、おとぎ話のような情景で描ける。これを何十年もたった今、菅野さんに読んでいただいたことで、言葉の息遣いやフジコさんの思いが伝わってきて、スウェーデンの雪景色が頭に浮かんだのですが、そういったことが本当に感謝でした」。 
 
そんな菅野さんのナレーションは、フジコさん自身の思いもあったといいます。

「実は制作中に『ここの日記はナレーションにしようと思っています』とフジコさんと話していて、『菅野さんがいいんじゃない?』というんです。『でもお忙しいから』という話はずっとしていたんですが、今回それがかなったことで、喜んでいただけたかなと思います」と明かした小松監督。


©2025「フジコ・ヘミング 永遠の音色」フィルムパートナーズ
 
菅野さんもフジコさんに何度か会ったことがあったといいます。

「本当に数少ない機会ではあったんですけれども、ドラマの撮影中に、ベルリンのフジコさんのご自宅にごあいさつに伺ったことがありました。映画の中でも何度もフジコさんのおうちが出てきてますが、本当に絵本の中のおうちのようで。緑に囲まれていて、猫がいて、フジコさんの好きなものがたくさんあって。本当に少ない、気を許した人が近くにいてというようなところで、ごあいさつさせていただきました」という菅野さんの思い出話に、小松監督も「ベルリンで会うのは本当に珍しいですよ。」と言い添えていました。
 
ピアニストとして第一線で輝いた生き方をしてきたフジコさん同様に、女優としてキャリアを積み、輝いた生き方をしている菅野さんに「輝くために大切にしている秘訣は?」という質問が。

それには「フジコさんを拝見して、行きたいと思ったところに行ったり、遠くに行くことは大事なんだなと思いました。今いる自分の場所も大事なんですけれど、価値観をリフレッシュしてくれるというか、自分の中の風通しが良くなる気がします。今はまだ子供に手がかかる時期なので思うように旅行ができないんですが、旅するように生きて、旅するように演奏していたフジコさんのように、私も時が来たら旅を再開したいなと思います」コメント。

ちなみに今、行きたいところのひとつはウユニ塩湖とのことで、「ペルーのマチュピチュに行った時には、高山病があるよと言われて心して行ったんですけど、その時は短い滞在だったこともあって万全な体調では臨めなかったので、そういった意味も込めて、次はウユニ塩湖に。元気なうちに行きたいなと思います」と決意を語りました。 
 
そんなイベントもいよいよ終盤。最後のメッセージを求められた菅野さんは「フジコさんの演奏をスクリーンで見ることができる機会なので、ぜひいい椅子の劇場でご覧いただければと。フジコさんの『ラ・カンパネラ』や『月の光』といった代表的な演奏を堪能できる映画です」と。

小松監督は「映画は昔から100年残ると言われていて、この映画を撮っている時もフジコさんと『これを未来に残したいね』といって、一緒につくってきました。これで皆さんがいつでもフジコさんに会えるような形にできたかなと思っています。それともうひとつ、実はフジコさんは1930年代の音色を目指している方だったので、それを今の時代の映像と音響で聴けるというのは、なかなかないことで奇跡だと思います。そのあたりも楽しんでいただけたらなと思ってます。さらにパンフレットも頑張ってつくりました。フジコさんの思いも入れているので、また劇場で再会していただけたら」と会場に呼びかけました。


フジコさん、最後のドキュメンタリーは、いよいよ今月公開。心揺さぶる唯一無二の演奏を、映画館のスクリーンでご堪能ください。

映画『フジコ・ヘミング 永遠の音色』2025年10月24日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー!

作品紹介
スクリーンに蘇る唯一無二の演奏、心揺さぶる魂の音色は永遠に 12年間追い続けたからこそ迫れたフジコ・ヘミング。 その生き様と美しい音色が刻まれた最後のドキュメンタリー映画 2024年4月21日に92歳で旅立ったフジコ・ヘミング。情感あふれるダイナミックな演奏は国内外多くの人の心をとらえ、“魂のピアニスト”と呼ばれていた。その唯一無二の演奏を再び聴きたい、聴いてみたかったという熱い声が高まっている。本作では、圧巻の“ラ・カンパネラ”、名曲クラシックの数々、貴重なオリジナル曲など初公開を含むフジコの演奏を映画館のスクリーンで最大限に体感してほしい。そして、初公開のインタビュー映像・絵日記、本作で存在が明らかになった異母妹エヴァと俳優の弟ウルフら家族が語る新たな真実とは?スウェーデン人の父と幼少時の別れ、母の厳しいレッスン、無国籍の生き辛さ、貧しい留学生活、忘れられない恋、聴力の喪失などの苦難を乗り越え、60代で認められ人気ピアニストになった波乱万丈の人生。パリ、ベルリン、ストックホルム、LA、横浜……2018年に劇場公開しロングランヒットした、初のドキュメンタリー映画『フジコ・ヘミングの時間』を含め、小松莊一良監督が約12年間追い続けたからこそ迫れたフジコの素顔。輝き続けた彼女の生き様は、私たちに勇気を与えてくれる。


©2025「フジコ・ヘミング 永遠の音色」フィルムパートナーズ

『フジコ・ヘミング 永遠の音色』関連ニュース
本予告&本ビジュアル解禁
公開決定

 

『フジコ・ヘミング 永遠の音色』

★2025年10月24日(金)全国公開★

最後の映画で明かされるフジコの素顔、唯一無二の演奏に心震える―。
生前に託した夢とは?

フジコ・ヘミング
ナレーション:菅野美穂
監督・構成:小松莊一良
配給:日活