速報!アジア映画で初受賞の快挙!鈴木清順監督『殺しの烙印』4Kデジタル復元版が、第79回ヴェネツィア国際映画祭クラシック部門 最優秀復元映画賞受賞!!
2022.09.11(日曜日)

現地日程2022年8月31日から9月10 日、イタリアのヴェネツィアで開催された第79回ヴェネツィア国際映画祭クラシック部門(ヴェニス・クラシックス)にて鈴木清順監督の『殺しの烙印』4Kデジタル復元版が最優秀復元映画賞をアジア映画として初めて受賞しました。


©日活

9月5日に行われたワールドプレミア上映は、クラシック作品としては珍しく満席となる大盛況で、上映中は、宍戸錠さんが炊飯器から炊きたての米の匂いをかぐ名場面などいくつのもシーンで笑いが起こり、上映後は拍手喝采と上々の反響でした。

本作を鑑賞した、フランスで日本映画のクラシック作品を多数手掛ける、カルロッタフィルムズ代表ヴィンセント・ポール=ボンクール氏は「エンターテインメント作品にもかかわらず、大胆不敵。炊きたての米の匂いをかぐことにとらわれた主人公に象徴されるフェティシズムと、スリラー、ノワール、スパイ、エロティシズムー。様々なジャンルが縦横無尽に行き来している。そしてすべてのタランティーノ的スタイルの映画に影響を与えてきた本作は、復元によってその素晴らしさが蘇った。4K復元版でこそ再発見されるべき名作だ」とコメント。

現地の学生の観客は「すべてのショットが普通の映画監督には真似できないようなレベルのスタイリッシュさで完成されている。観る喜びをとても感じた」と絶賛。来年生誕100年を迎える鈴木清順監督節目の年に、異国の地で新たなファンを獲得しています。

また、世界中にファンを持つ鈴木清順監督の代表作の1つとして、イタリアやアメリカなど、現在も数十カ国で配給されている本作ですが、この上映を機に、ヨーロッパ諸国の配給会社から更なる問い合わせが相次いでいます。

授賞式は9月10日にコンペティション部門出品作品の公式上映の会場であるSala Grandeにて開催されました。奇しくも日活110年目の創立記念日でもあるこの日に、ジャン・ルノワール、ピエル・パオロ・パゾリーニ、エドワード・ヤン、小津安二郎ら名監督たちの作品の中から見事本作が受賞しました。

ワールドプレミア上映に際して、会場で挨拶した日活株式会社執行役員の林宏之は「当社創立110周年を迎えるまさにその日に、アジア映画初の最優秀復元映画賞受賞という栄誉に浴し、これ以上の喜びはありません」と語りました。

「ヴェニス・クラシックス」は2012年に設立されたヴェネツィア国際映画祭の1部門で、過去1年間に復元されたクラシック作品の中から、特に優れた作品が選出されます。日本映画はこれまでに『七人の侍』(黒澤明監督)、『お茶漬の味』(小津安二郎監督)、『山椒大夫』(溝口健二監督)、『無法松の一生』(稲垣浩監督)など、名だたる巨匠の作品の復元版が選ばれていますが、日本映画としての受賞は本作が初となりました。

『殺しの烙印』(1967年)は、宍戸錠さんがクールな殺し屋を演じるスタイリッシュなハードボイルド作品。鈴木清順監督は、クエンティン・タランティーノ、ジム・ジャームッシュ、デイミアン・チャゼル、ポン・ジュノ、ウォン・カーウァイら多くの海外の監督からも熱く支持されており、その異才ぶりでは、もっともワールドワイドな日本人監督といえます。

またヴェネツィアを沸かせた本作が11月3日よりシネスイッチ銀座にて凱旋。日活110周年記念特集上映の『Nikkatsu World Selection』の1作として上映されます。この機会に世界が認めた本作をスクリーンにてご堪能ください。

日活株式会社 執行役員 林宏之のコメント全文

昨年の『㊙色情めす市場』4Kデジタル復元版に続いて今年のヴェニス・クラシックスには本作と今村昌平監督『神々の深き欲望』4Kデジタル復元版の2作品が選出されておりましたが、当社創立110周年を迎えるまさにその日に、アジア映画初の最優秀復元映画賞受賞という栄誉に浴し、これ以上の喜びはありません。

現地での上映は大変盛り上がり、作品の内容はもちろんのこと、その高い修復技術にも注目が集まりました。

また今回新たにデザインしたポスターや配布したリーフレットも高い評価をいただきました。

鈴木清順監督や主演の宍戸錠さんをはじめ、本作に関わった偉大な先輩たちに改めて敬意を表したいと思います。

殺しの烙印 (ころしのらくいん)

©日活

<清順美学>が全編に緊張感と笑いを孕む異色のハードボイルド。
異才・鈴木清順監督の唯一無二の問題作!

プロの殺し屋ランキングNO.3の花田は、組織の幹部を護送する途中でNO.2とNO.4の殺し屋たちに襲撃されながらも任務を終え、殺し屋NO.2へランクを上げる。さらに上を目指す花田だったが、次の仕事で失敗すると、組織は美女・美沙子を差し向ける。惹かれ合う二人―。一方、花田は殺し屋NO.1・大類ともトップの座を賭けて対決することになり…。
宍戸錠が、炊飯器から炊き立ての米の匂いをかいで恍惚となるシーンはあまりにも有名。クエンティン・タランティーノ、ジム・ジャームッシュ、デイミアン・チャゼル、ニコラス・ウィンディング・レフン、ポン・ジュノ、パク・チャヌク、ウォン・カーウァイ…、多くの海外の監督からもリスペクトされる鈴木清順のスタイリッシュな魅力にあふれる異色のアクション映画。

監督:鈴木清順 脚本:具流八郎 撮影:永塚一栄 照明:三尾三郎 録音:秋野能伸 
編集:鈴木晄 美術:川原資三 音楽:山本直純 助監督:葛生雅美
出演:宍戸錠 南原宏治 真理アンヌ 玉川伊佐男 小川万里子 南廣 大和屋竺
1967年/91分/モノクロ   ©日活
https://www.nikkatsu.com/movie/20996.html

<その他の主な映画祭>
・第22回釜山国際映画祭(2017年)

監督プロフィール
鈴木清順(1923-2017 享年93歳)
東京生まれ。43年に学徒出陣で応召。46年に復員し、48年に松竹大船撮影所の助監督試験に合格。中村登、岩間鶴夫などの助監督を経て、54年に製作を再開した日活に移籍し、野口博志に師事する。56年、『港の乾杯 勝利をわが手に』で監督デビュー。『野獣の青春』(63年)、『刺青一代』(65年)、『東京流れ者』(66年)、『殺しの烙印』(67年)など、独自の作風を確立すると、そのスタイルは<清順美学>と評されるようになった。『ツィゴイネルワイゼン』(80年)で日本アカデミー賞最優秀作品賞、ベルリン国際映画審査員特別賞を受賞し、国内外にその名を轟かせた。

『 Nikkatsu World Selection』2022年11月3日(木・祝)~11月10日(木)シネスイッチ銀座にて上映! ※全国順次公開
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『 Nikkatsu World Selection』
■日時
:2022年11月3日(木・祝)~11月10日(木)
■会場:シネスイッチ銀座 (東京都中央区銀座4-4-5 簱ビル)※全国順次公開
■上映作品:丹下左膳余話 百万両の壺/河内山宗俊/月は上りぬ/乳房よ永遠なれ/幕末太陽傳/殺しの烙印/神々の深き欲望/㊙色情めす市場

■公式HP: https://www.nikkatsu.com/110thfilms/
■公式Twitterhttps://twitter.com/110thfilms
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