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公開記念舞台挨拶でキャスト・監督が語った、自分にとって 『許されざる者』 とは?
2013年09月14日(土曜日)

ベネチア、トロントに続き、「釜山国際映画祭」 への出品も決定するなど、日本のみならず世界からも注目を集めている映画 『許されざる者』 が、昨日 9/13(金)に公開初日を迎え、翌 9/14(土)に監督・キャストによる公開記念舞台挨拶が行われました。

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第65回アカデミー賞で最優秀作品賞をはじめ4部門を受賞したクリント・イーストウッド監督・主演の映画史に残る最高傑作が、日本映画となってスクリーンに戻ってきました。『許されざる者』 公開記念舞台挨拶に登壇したのは、渡辺謙さん、佐藤浩市さん、柳楽優弥さん、忽那汐里さん、小池栄子さんと、メガホンをとった李相日監督の6名。昨年9月より撮影を開始し、極寒の北海道でオールロケを敢行。厳しい気候の中多くの苦労を重ね、キャスト・スタッフがまさに一体となって魂を込めて作り上げた本作は、キャストや監督の皆さんにとってどのような作品となったのでしょう?

― まずは、この世界をこだわって作り上げた李相日監督に、いま本作をどう捉えていらっしゃるのかうかがいたいのですが?

李監督 天気の良い三連休の初日にたくさんの方にお越しいただきまして、ありがとうございます。本作は、絶対的な根拠があってアカデミー賞作品をリメイクしようと思ったというよりは、『悪人』 という映画を経て、身の内から出た 「こういうことをやってみたい」 という衝動でここまで走ってきたような気がします。今までも何本か映画を作り、映画を通して圧力を投げかけているつもりでしたが、衝動を形にして皆さんの前に立った今は皆さんの圧力を感じ、非常に怖い気持ちです。「なぜこの時代に、こういう重い作品をやるのか?」 と思われる部分は当然あると思いますが、色々なことが早いスピードで通りすぎていく今、その中でも 「人として見落としてはいけないこと、失ってはいけないことがあるのではないか」 といった "気づき"へのキッカケが、この映画との出会いを通してあれば非常に嬉しく思います。

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MC 上映後にはお客様から大きな拍手をいただきましたが、ホッとしていらっしゃいますか?

李監督 本当にありがたいことですが、まだちょっと疑っている状態です。すみません(笑)。僕が10代の頃にオリジナルを初めて観た時も、単純に 「この映画おもしろいな」 とは思わなかったんですね。面白いか、面白くないかではなく、「何か真実を訴えようとしている」 という衝撃が強く残ったことを覚えていますので、ご覧になる方が若ければ若い方ほど、すべては分からなくても、脳裏にこびりつく何かを発見してくれると嬉しいですね。

― 小池栄子さん、お願いします。

小池 たくさんの方にお集まりいただきまして、ありがとうございます。とても感動しています。私の中では 「スタッフ、キャストは戦友だな」 と思いながら撮影中一緒に戦ってきましたが、とにかくお客様に観ていただかなくては意味がないと思っておりますので、こうして三連休の初日にわざわざ足をお運びいただき、無事公開することが出来て、本当に感謝しております。ありがとうございます。

MC ひとりの女性として、仕事を持つキャリアウーマンとして、この映画をどのように捉えていらっしゃいますか?

小池 難しい質問ですが・・・自分が演じたお梶という女性がとても強く、憧れの女性でもありました。特にこの時代は、女郎達は日々生きていくだけでもとても困難な時代だったと思うのですが、完成した映画を観た時に、自分の生き方として 「常に前を向いて強い意志を持ち、プライドを捨てずに生きていきたい」 という気持ちを再確認できたと思います。この役に出会えたこと、そしてこの映画に参加できたことがすごく光栄だなと思いました。

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MC 本作は、ご自身の人生の中でどのような位置にある作品でしょう?

小池 「自分は、お芝居がすごく好きなんだ」 ということをあらためて確認させていただけた作品です。李監督が求める役柄に、どれだけ自分が近づけているのか?そこまで自分の気持ちを持っていけるのか?そして、監督とどのように対峙して役者としてこの現場に立っていられるのか?が試される勝負の現場だったと思いますし、そういった監督とは中々出会うことはないと思います。緊張感がずっと続いているのですが、自分にとってはとても心地よく、役者としてはこんなに幸せな現場はないと思いました。

MC 小池さんの名シーンのひとつだと思うのですが、柄本さん演じる金吾とのお仕事を終えられた直後のしぐさが素晴らしいですね。

小池 監督、気づいてくださって嬉しいですね(笑)。あのシーンはオリジナルにもあるシーンでしたので、監督も自分もぜひ取り入れたいなと思い、やらせていただきました。

― 忽那汐里さんは、若い女優さんとしてこの作品をどのように捉えていますか?

忽那 まず皆様、本日はこんなに大勢の方にお越しいただきまして、ありがとうございます。私は個人的に上映後の舞台挨拶が初めてですので、映画を観終わった直後の皆さんと同じ空間を少しでも共有できて、嬉しく思います。考えれば考えるほど何と言ったら良いのかわからないのですが、撮影中は何か大きなものとずっと戦っていたような気がしています。妥協や限界というようなものが、これまでのどんな作品とも違う現場で、キャストの先輩方や監督、このチームの皆さん、そしてこの作品に出会えたことは、私にとって本当に大きな経験と財産になりました。

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MC それにしても、美しいお肌を傷つけられるのは痛々しいシーンでしたね?

忽那 作品ではわりと短い間の描写でしたが、事件のキッカケとなる相手の役者さんや監督と長い時間をかけて悩みながら前日に一日リハーサルをしまして、翌日また一日かけてあのシーンを撮影しました。

― つづいて、柳楽優弥さんお願いします。

柳楽 本日は、ありがとうございます。沢田五郎役を演じさせていただきました、柳楽優弥です。「柳楽くん、どこに出てたの?」 と結構言われるのですが・・・

MC え?そんな人います?!柳楽さんがどこに出てたか気がつかなかった方いらっしゃいますか?(会場をみまわして)ゼロですよ!

柳楽 あ、すみません・・。アイヌと和人のハーフという難しい役だったのですが、北海道のアイヌの方と撮影中も撮影に入る前も会わせていただいて、それは五郎を演じる上ですごく支えになりました。

MC どんなことを教えていただきましたか?

柳楽 何か言葉で教えるということではなく、一緒にお酒を呑んだりという感覚的なことの方が重要というか、言葉で聞くよりも僕は色々感じることが出来ました。

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MC 柳楽さんにとって 『許されざる者』 は、どのような位置づけの作品になりましたか?

柳楽 大先輩の方と共に過ごせた時間もそうですし、李組でハードルの高い役柄に挑めたことは貴重な時間でしたし、間違いなく特別な1本になりました。

MC 撮影中は、何度も何度も寒い中 「怒鳴れ」 だの 「走れ」 だの色々あったようですが、今だから監督に言いたいということはありますか?

柳楽 言いたいことは・・・感謝しています。つまらなくて、すみません(笑)。でも、本当に感謝しています。

― 佐藤浩市さん、お願いします。

佐藤 本日は、ありがとうございます。僕が演じた一蔵を模して、本作のキャンペーンの間ずっと帽子を被っていたのですが、帽子って意外にラクなので、これからも続けようかと思っています。関係ない話ですみません(笑)。"許されざる者" という言葉の響きがすごくよくて、この 『Unforgiven』 という映画に 『許されざる者』 と邦題をつけた当時の宣伝部の方にまずはお礼を言いたいです。ただ、誰しも欲望を抱いて背中に業を背負って生きていると、多かれ少なかれ、みんな "許されざる者" なんじゃないかな?と思います。ですから 「許されたのは誰なんだろうか?」 を観ながらお客様に考えてもらう映画なんじゃないかなと思います。僕は当然、"許されざる者" ですけどね(笑)。

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MC 役者としてのキャリアが長い佐藤さんのフィルモグラフィーの中で、本作をどのように捉えられていらっしゃいますか?

佐藤 僕はこれから後何本の作品に巡り会えるか分かりませんが、少なくとも僕の50代の後半を何か決めてくれるような作品ではないかなと思います。李相日と渡辺謙と一緒に 『許されざる者』 という映画をやるということは、それだけでも自分自身の中で当然血湧き肉躍る思いがありましたので、直感として、これからの僕の何十本かを決める1本になるんだろうなと思いました。

― 渡辺謙さん、お願いします。

渡辺 この映画ほど、上映後に喋りにくい映画はありません。なぜなら、一言ひとことが今まで作り上げた2時間15分を壊してしまいそうな気がする、そんな映画だからです。しかし、映画としてこんなに大きな幕を開けられたと思うと嬉しく思います。ありがとうございます。

MC 渡辺さんは企画の段階から関わっていらっしゃるということですが、本作はご自身のキャリアの中でどのような位置づけでしょうか?

渡辺 自分の中の方向性を模索している時期ですので、そういった意味では、この映画に関して僕は李相日監督にすべてを委ねたつもりです。もちろん企画の段階から李監督や石田プロデューサーともお話をさせていただきましたが、基本的には 「李相日監督がみたいもの。描きたいもの」 に、どこまでいち俳優としておいつけるのか。心の全部をさらけ出して、俳優として対峙した映画です。

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MC 昨年の9月から撮影されたということで公開まで長いスケジュールだったと思いますが、こうして多くの皆さんに足を運んでいただき、今どのようなお気持ちですか?

渡辺 撮影開始からちょうど一年経ちましたが、とにかく掛け値なしに李相日を旗頭にして、キャスト、スタッフが死に物狂いでやった映画です。そんな映画がこうやってお客様に届き、これからお客様に育てていただくんだなと、そういう実感を今すごく感じています。

― では、最後に渡辺謙さんからもう一言メッセージをお願いします。

渡辺 先ほどもお話した通り、作り上げたものを壊してしまいそうで、これ以上喋らない方が良いと思うような映画です。とにかく今僕たちから吐き出せるものは全部吐き出しました。受け止めてやってください。そして、ぜひこの映画を育てていただければと思います。今日は、ありがとうございます。

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2013/9/2 ジャパンプレミア
2013/8/1 完成報告会見



許されざる者

★2013年9月13日(金) 全国ロードショー★

『許されざる者』

世界が注目する日本映画、誕生

【監督】 李相日

【出演】 渡辺謙 柄本明 柳楽優弥 勿那汐里
小池栄子 近藤芳正 小澤征悦 三浦貴大 滝藤賢一
/國村隼 佐藤浩市

© 2013 Warner Entertainment Japan Inc.



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