丹下左膳余話 百万両の壺(丹下左膳餘話 百萬兩の壺)
たんげさぜんよわひゃくまんりょうのつぼ
28才で夭折した天才監督・山中貞雄の現存する1本にして日本映画屈指の名作。それまでの殺気溢れる丹下左膳ものとは異なり、時代劇ホームドラマというべきテイストで、左膳像をユーモラスかつ人情味いっぱいに生まれ返らせている。
伊賀の国に代々伝わるこけ猿の壺。柳生の里城主・柳生対馬守はその老臣・一風宗匠から、この壺に百万両を埋めた絵図面が塗り込められているという秘密を聞く。だが時すでに遅し。単なる古ぼけた壺だと思った対馬守は、弟の源三郎が司馬道場へ婿入りする際に引き出物として与えてしまった後だった。慌てた対馬守は寵臣・高大之進と壺の奪還を策し、大之進を江戸にいる源三郎のもとに使わした。兄の使者としてやってきた高大之進はこけ猿の壺の返還を迫るが、源三郎は兄への意固地から撥ねつけ、壺は源三郎の妻・萩乃の命によって与吉の手から屑屋に売られてしまう。再び高大之進が金百両を持って壺を譲り受けたいとやって来た。けちな兄が大金を出すことに不信を抱いた源三郎は大之進を痛めつけて壺の秘密を告白させる。だがその時、壺は転々として、七兵衛のせがれ・ちょい安の金魚入れとなっていた。七兵衛は矢場の女に惚れて夜ごとお藤が開く矢場へと通っていたが、つまらぬ事から地廻りのやくざに殺されてしまう。矢場の用心棒をしていた丹下左膳は子供嫌いのお藤とともに、一人残された幼いちょい安の面倒を見ることになる。一方、壺を探しあぐねた源三郎は矢場通いを始め、そこで左膳とちょい安に出会う。
※現存92分
日本
製作:京都撮影所 配給:日活
1935
1935/6/15
モノクロ/94分/スタンダード・サイズ/11巻/2571m
<ご注意>
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日活