5/26(土)よりテアトル新宿、有楽町スバル座ほか全国公開される映画『海を駆ける』の完成披露イベントが、5/7(月)新宿テアトルで行われました。
本作は、『淵に立つ』で第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門の審査員賞を受賞した、今や世界の映画人が注目する深田晃司監督の最新作。
深田監督は、2011年東日本大震災後に大学研究チームの震災復興リサーチに参加し、2004年スマトラ島沖大震災で津波による壊滅的な被害を受けつつも復興を遂げた街バンダ・アチェを訪れた際、本作のアイデアを想起したと言います。自然は時に豊かに美しく、時に脅威となり人を飲み込み、また人間の生活は自然と共にあるという様を、インドネシアの美しい海、そして国籍や宗教を越えて育まれる若者たちの友情を通して描くファンタジー。
完成披露試写会舞台挨拶には、主演のディーン・フジオカさんはじめ、太賀さん、阿部純子さん、鶴田真由さんら豪華キャストと深田晃司監督が登壇。撮影中のエピソードや見どころ、海外での苦労や撮影について語って頂いただいたほか、深田監督がフランスの芸術文化勲章の1つ"シュバリエ"を受勲することが決定し、フランス、インドネシア、中国での本作上映が決定したことが伝えられると、会場からは大きな拍手が起こり、ディーンさんも満面の笑みで「おめでとうございます!」と深田監督へメッセージを贈りました。
ディーン・フジオカ
― まずは一言ご挨拶
映画では全裸で登場しますが、今日は服着てきました(笑)。僕にとってこの映画はチャレンジングな作品でした。アチェでオールロケをすると聞いたときは、最初は気が狂ってるなと...(笑)。アチェという場所は、もともとインドネシア政府と内戦をやっていて、僕の家族はジャカルタにいるのですが、(彼らと)アチェの話になるとインドネシアだけど外国のようなイメージで「そんな危ないところに何をしに行くんだ」なんていう感想だったんです。もちろんアチェには映画を作るシステムなんてないのですが、僕自身、いつかインドネシアで映画作りをしてみたいとは思っていました。祖国日本で深田監督の作品で、こんなプロジェクトが実現していく中、いい意味で狂った人たち、いわゆる同志たちとこのような作品に関われて誇りに思います。作品の中でラウになれたことは不思議な体験でした。
― 鶴田さんと太賀さんのインドネシア語に対して
セリフを覚えて言うだけじゃないから、それぞれの難しさがあったと思うんですよね。現場で二人の姿を見て鳥肌が立ちました。
©2018"The Man from the Sea"FILM PARTNERS
― 映画を観て感じたことは
アチェにいる人はみんな(地震の)被害者で、傷ついていない人はいないけれど、(ロケで)アチェの人たちの明るさに触れて、未来に対する希望を感じたんです。この宇宙をどの角度から見るかで、希望も生まれれば絶望も生まれる。この作品はひとつのゲージというか目盛りというか、視点の多様性みたいなものだと思います。
― 他国での上映決定に対して
ずっと前から、僕はやるんだったら一人でも多くの人に観てもらいたいし、(その人自身に)自分と関係があると思ってもらいたいと思っていました。何をやるにしても、そうあるべきだと思っています。この作品がいろんな国で公開が決まったことは本当におめでたいことだと思っています!
太賀
― まずは一言ご挨拶
僕にとっての思い出深い作品なので、今日を迎えられて嬉しいです!
― アチェでの撮影について
僕自身、深田さんとは3度目で、回を重ねるごとに緊張感が増すというか、毎回自分の中で新しい引き出しを開ける、開けてもらう作業があるんですね。今回はインドネシア語が自分の中でキーで、日系インドネシア人の役を演じて、インドネシア語にゆかりがない中、まっさらな状態から始めました。とても難しかったです...。もうやるしかない!という気持ちで練習を重ねて、現地のスタッフに細かい指導をしてもらいました。あと、吸収できるものはなんでも吸収しようと思って、ディーンさんにインドネシア流の食事の食べ方も教わりました。クランクインしてから、ノールックでスリーフィンガーでご飯を食べられるようになりたいと思って、そういうアプローチも楽しかったです。今回の役を通して、自分の役者の幅も広げてもらって新しいチャレンジになったと思っています!
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― 映画を観て感じたことは
僕が今まで観たことのない独創性のある映画だと思いました。同時に、この作品はまぎれもなく深田さんの作品だと思う何かがあったと思います!観た後のもやもや感や「どういう意味だったのか?」という言語化されていない気持ちを、言語化する必要のない映画だとも思います。また、観終わった後に心に広がって染みてくる、まるで"するめムービー"のような、味わい深い映画だなと思いました(笑)。
阿部純子
― まずは一言ご挨拶
現場でのことを思い出すと、楽しかった思い出しかないです。ディーンさんは優しく見守って下さるような方でした。キャスト、スタッフの皆さんがいてできた作品だと思います!私自身、この作品に関われて本当によかったです。
― 映画を観て感じたことは
日々の暮らしの中で、不思議だなと思う一瞬一瞬が随所に散りばめられた作品だと思います。
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鶴田真由
― まずは一言ご挨拶
とても無国籍で、インドネシアなのに涼しげで、ちょっとおしゃれで、いったいどこの国の映画なんだろうという不思議な映画に仕上がっています。
― 撮影現場の思い出は
とにかく幸せな現場でした。インドネシアの人たちって、やることはやるけど力を抜くところは抜いて、メリハリがすごく上手なんですよね。それに私たちも影響されましたね。私もインドネシア語を話す役で、台本のページをめくる度にインドネシア語って書いてある。これは帰国子女の人がやったほうがいいんじゃないかなってくらい(笑)。なんで(インドネシア語が)しゃべれるディーンさんにセリフがないんだと思ったり(笑)!あと、自分では完璧にやっていたつもりでも、リハーサルの時に「今のは違う」とか言われると、本番で訳わからなくなっちゃたりして...(笑)。そういうのは苦労しましたが、意味はわかっていなくても、しゃべれる雰囲気でしゃべるのが楽しくなっていきましたね。
― 映画を観て感じたことは
頭で分析しきれないところに、深田さんが描きたいポイントがあるのかなと思いました。お客さまには、もやもや感を持って帰ってもらって、考えてもらいたいという深田さんの思いがあるかなと。注目してもらいたいのは、私とのラストシーンでディーンさんがすごく美しいです。なんてピュアな目をしている人なんだろうと思いました!ディーンさんの美しくてピュアな感じが生かされている感じがしましたね。
©2018"The Man from the Sea"FILM PARTNERS
深田晃司監督
2011年11月に津波に関するシンポジウムで初めてアチェに行った時から作りたいと思っていました。7年ごしに皆さんにお会いできたと思っています。ラウは、この映画の若者たちの人間らしい葛藤を静かに見守っている存在で、文脈では見えない人物にしたいと思っていました。ディーンさんの存在やキャリアや生き方、そのものがラウを演じるうえで後押しになったと思い、ディーンさんにお願いして本当に良かったと思います!最後に、東北の津波を経験した日本の方に、このバンダ・アチェを観てもらいたいという気持ちがありました。映画を観ることで生きることなどを想像させられたり、思想や生き方が見えてくると思います。今回もそういう映画になれば良いなと思っています。
映画『海を駆ける』2018/5/26(土)テアトル新宿、有楽町スバル座ほか全国公開!
国を超え、海を越え、世界が待望する心揺さぶる美しきファンタジー『海を駆ける』に、ご期待ください!
ストーリー
インドネシア、バンダ・アチェの海岸で倒れている謎の男が発見される。片言の日本語やインドネシア語を話すが正体は不明。その謎の男にラウ(=インドネシア語で「海」)と名付けて預かることになった、災害復興の仕事をしている貴子と息子のタカシたち。その周辺で謎の男・ラウは様々な不思議な奇跡と事件を巻き起こしていく―。果たしてラウは何者なのか...
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映画『海を駆ける』関連ニュース
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★2018年5月26日(土)公開★
世界待望!深田晃司×ディーン・フジオカ 心揺さぶる美しきファンタジー!
監督・脚本:深田晃司
出演:ディーン・フジオカ 太賀 阿部純子 アディパティ・ドルケン セカール・サリ 鶴田真由
©2018"The Man from the Sea"FILM PARTNERS