3月17日公開映画『零落』の完成披露プレミア上映会が3月18日(土)に池袋 HUMAX シネマズで行われ、斎藤工さん、MEGUMIさん、ドレスコーズ・志磨遼平さん(⾳楽)、⽵中直⼈監督が舞台挨拶に登壇しました。
⻘春映画の⾦字塔『ソラニン』を世に放った漫画家・浅野いにおさんの衝撃作を、デビュー作『無能の⼈』から10本⽬の監督作となる⽵中直⼈監督が映画化した『零落』が、3⽉17⽇に公開を迎え、翌18⽇、公開記念舞台挨拶が池袋 HUMAX シネマズにて⾏われました。
舞台上には⽵中監督をはじめ、主⼈公の漫画家・深澤薫を演じた斎藤⼯さん、深澤の妻・町⽥のぞみを演じるとともに本作のプロデューサーも務めたMEGUMIさんと、本作の⾳楽と主題歌「ドレミ」を⼿掛け、ライター役で出演もしているドレスコーズ・志磨遼平さんが登壇。上映後の観客を前に、それぞれが作品への思いを語り、⽵中監督は「浅野いにおへのラブレター」、斎藤さんは「現代の『⼈間失格』だ」と⼝にしました。また、明後⽇20⽇に 67歳を迎える⽵中監督へのバースデーサプライズも⾏われ、感激した⽵中監督が照れまくる場⾯もありました。
登壇者が姿を⾒せると、温かな拍⼿が映画館の空間を包み、⽵中監督らも作品を届けられた安堵の表情を浮かべました。そしてまずは主演を務め、漫画家の“極限の業”を演じた斎藤さんが、「原作に出会った時に、本当に事故のように衝撃が⾛って、⾃分のことを⾔っているというか。⾃分の現在地というか、⼼のアウトラインみたいなものが映って描かれてしまっている気がしたんです」と告⽩し、続けて「撮影の期間は、普段は⼈に⾒せないような⼼情で⽵中組の中を漂っていたので、何か皆さんの⼼に、どこかグサリと刺すような何かが宿っていたら、皆さんに訪れていたらいいなと願うばかりです」と述べました。
そして以前より「⼤⼈の⻘春期にまっすぐ向き合った作品」とコメントしていたMEGUMIさんは「男性というのはそこ(⾃分の弱さ、傷に向き合うこと)にすごくフォーカスをして、そこの時間にたっぷりいるんだなというのを普段の⽣活からも思ってはいたんですけど。この作品でやっぱりそうなんだなとめちゃくちゃ感じました」と感想を漏らしながら、「⽵中監督と飲んだ際、【レジェンドの迸るエネルギー】に感動して酔った勢いで「私がお⾦を集めます︕」と⼝⾛ったのがきっかけでした」と今作での映画初プロデュースに臨んだきっかけを明かし、「無我夢中でついていくような勢いで、勉強させていただきました」と述懐。
すると斎藤さんからは「現場ではいつも⽵中監督のそばにMEGUMIさんの姿があって。ちょうど役(深澤の妻・のぞみ)でピンク⾊の髪をされていたので桃⾊の守護天使のようだった」、⽵中監督は「いつも僕の好きなお菓⼦を差し⼊れてくれて」と撮影現場での様⼦が明かされ、MEGUMIさんは「現場では毎⽇何かしら⼩さな問題が起きるので解決しながら進んでいく感じでした」と当時を振り返りました。
以前より、映画製作現場における⼥性の⽴場向上についても⾼い関⼼を寄せている斎藤さんも、「MEGUMIさんはプロデューサー業も本当に素晴らしくて感動しました。その後も正式にプロデューサーとしても所属されていて、⼥性としてのMEGUMIさんがそういったことを先⽴って先頭に⽴ってやってくださることで、この業界がより良い⽅向へ進化していくんじゃないかとその背中を⾒ておりました」と⼒のこもった⾔葉を送りました。
また⽵中監督は本作を「これは浅野いにおというひとりの作家、たったひとりの観客のために作った映画です。その作品の共犯者として、みんなのタイミングが合ってこの作品が撮れたと深く思います。趣⾥さんにしても、⽟城ティナさんにしても、みんながこの映画に必要な⼈たちでした。斎藤⼯は斎藤⼯にしかできない深澤薫を作った。その妻を演じたMEGUMIはいつも僕を⾒守り、⾮常に難しいキャラクターを演じてくれた。浅野いにおさんに向けた、僕のラブレターです」と語った。そして「ドレスコーズの志磨くんが、最⾼のエンディング曲を作ってくれた」と、それだけでひとつの映画のような世界観のあるMVも印象的な主題歌「ドレミ」についても話題が及び、本作への書下ろしとなった「ドレミ」には、⽵中監督からあるリクエストがあったと志磨が明かしました。
「観客のみなさんが作品を観たままの感情を持って家に帰ってもらえるための曲が必要かなと思いました。それと、⽵中さんからビートルズの『 Don't Let Me Down 』みたいなイメージはどうかなというお話があって。たぶん深澤は⾃分にがっかりしている⼈なので。そこから歌詞を考えたのと、あとタイトルはひっかけて『ドレミ』ってやると⽵中さんが笑うかなと思ってつけました」と誕⽣の裏エピソードを語りました。
続いて「ハッピーバースデートゥユー」の⾳楽が流れはじめ、3⽉20⽇に67歳の誕⽣⽇を迎える⽵中監督へのバースデーサプライズが。斎藤さんから⽵中監督に、⽵中監督の⾐装にもぴったりな花束が贈られ、ふたりはがっちりと抱擁。⽵中監督は、「⾃分が67歳になるなんて思ってもみなかった。素敵なメンバーに恵まれた。スタッフとキャストも含めて、この『零落』という作品に向き合えたことは⼀⽣忘れないでしょうね」「どんなにおじいちゃんになっても絶対忘れない。ありがとう、本当にありがとう」と、照れ隠しに声⾊を変えながらも、嬉しそうな笑顔を⾒せていました。
また最後に改めて斎藤さんと⽵中監督から締めのメッセージが送られ、斎藤さんが「志磨さんとお話したときに、僕らは“みっともない代”をもらっているとおっしゃって。⼈に⾒せないようなものを、そのみっともなさを歌う、表現することでご飯を⾷べていると。それは本当に僕もそうだなと」と話し始めると、会場の観客も⼀層真剣に⽿を傾け、「僕はこの作品は現代の『⼈間失格』だと思っていて、残っているものって、本質を突いた、ある種ネガティブなもので受け⼿とつながるようなプラトニックな装置が多いなと思って、この『零落』もそういった装置だと思います」と真摯に語りました。
そして、最後に⽵中監督が「この『零落』という本と、ふと⽴ち寄った本屋で出会い、この美しい漢字を⾒て、絶対に映画にしなきゃいけないと思ったんです。この漢字が、夜の歩道橋に筆⽂字で浮かび上がったら、どんなにキレイだろうと。それに向かって撮りました。そして直感的に浮かんだ俳優たちに集まってもらって、出来上がりました。みんなの声⾊が積み重なってひとつのハーモニーを作っている映画になりました。いろんなものを感じられる映画です。1回だけでやめないで、2回3回、4回と、繰り返し⾒て、そして⽿を澄まして観てください」と⾔葉を送り、本編中でも流れるドレスコーズの楽曲「スーパー、スーパーサッド」が鳴り響くなか、⼤盛況で終了しました。
『零落』絶賛公開中!
8年間の連載が終了した漫画家・深澤薫は、自堕落で鬱屈した空虚な毎日を過ごしていた。SNSには読者からの辛辣な酷評、売れ線狙いの担当編集者とも考え方が食い違い、アシスタントからは身に覚えのないパワハラを指摘される。多忙な漫画編集者の妻ともすれ違い、離婚の危機。世知辛い世間の煩わしさから逃げるように漂流する深澤は、ある日“猫のような目をした”風俗嬢・ち ふゆと出会う。堕落への片道切符を手にした深澤は、人生の岐路に立つ……。
©2023 浅野いにお・小学館/「零落」製作委員会
映画『零落』関連ニュース
*完成披露プレミア上映会舞台挨拶開催!
*完成披露プレミア上映会開催決定! 浅野いにお描き下ろしイラスト使⽤のムビチケ販売!
*本予告&ポスタービジュアル解禁!主題歌決定!
*場面写真&第二弾キャスト発表
*映画化決定
★2023年3月17日(金)全国公開★
監督:竹中直人 脚本:倉持裕
原作:浅野いにお「零落」(小学館 ビッグスペリオールコミックス刊)
出演:斎藤工
趣里 MEGUMI
山下リオ 土佐和成 吉沢悠 菅原永二 黒田大輔 永積崇
信江勇 佐々木史帆 しりあがり寿 大橋裕之 安井順平 志磨遼平/宮﨑香蓮
玉城ティナ/安達祐実
配給:日活
©2023浅野いにお・小学館/「零落」製作委員会