絶賛公開中の映画 『ゴール・オブ・ザ・デッド』 トークショーに歌舞伎役者でゾンビフリークの片岡亀蔵さんが登場し、ゾンビ愛溢れる楽しいお話で会場を沸かせてくださいました!
▲「ゾンビっぽく!」とのリクエストに応えてくださる亀蔵さん
FIFAワールドカップの代表選手も発表されサッカー熱がますます加速しているところですが、本作はサッカー大国フランスから上陸した、スポーツマンシップに全くのっとらない禁断のゾンビサッカームービー。サッカーにちなみ 《前半戦》 《後半戦》 とし、それぞれ別の監督が撮るユニークな構成に加え、シニカルなゾンビ映画 『ショーン・オブ・ザ・デッド』 を彷彿とさせるコメディ要素も満載です!
この日は、本作 『ゴール・オブ・ザ・デッド』 と、松竹さんの 『大江戸りびんぐでっど』(5/31~1週間限定上映)のコラボ企画として、"片岡亀蔵 in トーク・オブ・ザ・デッド ~私の愛するゾンビと存鼻~ 映画 『ゴール・オブ・ザ・デッド』 トークショー" が行われました。果たして、亀蔵さんのゾンビ愛とはどれほどなのか・・・?
とその前に、亀蔵さんとMCの衣裳がかぶる珍事が!これには関係者も驚いていたとか。
MC 亀蔵さん、お揃いになっちゃいましたね(笑)。これ、最初から準備していたわけではなく、たまたまなんですよね!
亀蔵 ゾンビトークと言ったら、こういう格好かなぁと思ってたら・・・同じこと考えてましたね(笑)。これは僕らが作ったわけじゃなくて、実際に売ってたんですよ。もう10年前くらいかな?
MC 『死霊のえじき』 や 『ランド・オブ・ザ・デッド』 の頃ですかねぇ。
亀蔵 「ゾンビの新作だ!」 と僕らの間で盛り上がっていた頃に発売されたのですが、もうないでしょうね。
MC ということで、お客様もしっかり目に焼き付けていただければと思います(笑)。
MC ところで、歌舞伎役者の亀蔵さんが、なぜゾンビが好きなのか皆さん気になると思うのですが・・。
亀蔵 基本的に、映画が好きなんですよ。
MC 一番好きな映画は何ですか?
亀蔵 『ゴッド・ファーザー』 です。これはやはり金字塔ですよね。で、次が 『ゾンビ』。一番好きな映画とスケール的にかなり違いますよね(笑)。
MC かたやアカデミー賞を獲り、かたやノミネートもされませんからね。映画を好きなのは分かりましたが、ホラー映画の中でも何故ゾンビ映画に傾倒していったのでしょう?
亀蔵 SF映画があまり好きではないんですよ。意外なことに全く興味がなくて。そういうSFのCGよりも、ゾンビ映画の手作りな感じや、痛そうとか目に刺さるとか、血や内臓なんかが好きなんですよね。ゾンビではないですが 『食人族』 を観て、食べてみたいな・・と思いました。
MC 何のことだか分からない方も多いと思いますが、昔 『食人族』 というフェイクドキュメンタリーがあったんですよね。
亀蔵 それで何故ゾンビ映画が好きかですが、3、40年近く前に初めて観た時に、なぜか印象に残ったんですよね。スプラッター作品が登場する前は、ニセモノのゾンビ映画みたいな作品が結構あったんです。今だったらコレも観て、アレも観て・・という中にホラー作品も入りますが、当時お金もない中で選んで観るとなると、そういう作品一辺倒になったんですよね。何か気持ち悪いとか、人が行かないものに興味があって、それがだんだんゾンビをみると落ち着く感じに変わってきました。居心地がイイ感じです(お客様爆笑)。
MC そう聞くと、亀蔵さんお疲れなんじゃないか?と言われそうなので念のため言っておきますが、亀蔵さんは映画が好きなんですよ。中でも特にゾンビが好きというだけで、ヘンな趣味があるわけじゃないですからね(笑)。ジョージ・アンドリュー・ロメロの 『ゾンビ』 を観てから好きになって、これまでに様々なゾンビを観られたわけですよね?
亀蔵 その無駄な時間が大事ですよね。やはり無駄玉も打っとかないと。そうすると 『ゾンビ』 のレベルの高さがよく分かる。たくさん観ると、『ゾンビ』 は相当上の方に君臨していますよね!
MC 色々観ることによって、ロメロの 『ゾンビ』 はやはりすごいな・・と戻ってこられるわけですね!色々ご覧になっていると、様々なゾンビが出てくるじゃないですか?海の中を泳ぐとか、喋るとか、恋をするとか、走るとか・・。
亀蔵 もうある意味、小道具にされてますよね。ゾンビというものをこうしたら面白い、こうしたら残酷だってね。それに人じゃないから殺しやすい(笑)!
MC そうですよね!そうやって色々なパターンのゾンビが出てくる中で、今回はサッカーにゾンビが出てくるわけですが・・。
亀蔵 タイムリーですよねぇ。
MC 今上映しないとこの映画は今後は日の目を見ないだろうな・・と思い、何とか上映することにしたわけですが、今日のトークショーに亀蔵さんをお招きするにあたって本作を観ていただこうと思っていたら、何と・・
亀蔵 初日に観に行きました(お客様爆笑)!!仕事があったので1回目じゃなかったのが、ちょっと悔しいです。。
MC では(来場者プレゼントの)クリアファイルも手にされて・・
亀蔵 はい!クリアファイルもいただいて、ご満悦です(お客様爆笑)。
MC 嬉しいですねぇ。本当にありがとうございます!色々なゾンビ映画をご覧になった中で、本作はいかがでしたか?
亀蔵 (こういう作品を)すっごい楽しみに観に来られる方って、そんなにいない・・・ですよね?
MC このポスターを観て、「これは傑作だ!」 と思って来られる方はいらっしゃらないと思います(笑)。
亀蔵 ですよね。なので、この手の作品というのは、登場人物が落ちていくところや残念なところ、世の中うまくいかないな・・などと色々な人生を楽しんだらいいんじゃないかなと。そして、そういう作品を観に来た自分を褒めるか、はたまたどう思うか?世の中無駄なことがたくさんありますが、ゾンビ映画をたくさん観ていくと、そういうことを思わない感覚が鍛えられてきます。
MC 深いですねぇ!まさか 『ゴール・オブ・ザ・デッド』 からそんな自己啓発的なお話に持っていかれるとは想像もしていませんでした。ところで亀蔵さんの好きなシーンはどこでしょう?
亀蔵 『ゴール・オブ・ザ・デッド』 ですから、やはりポスターにもあるシュートしてるところ。スカッとするところです。
MC ぜひ皆さんもこのポイントでスカッとしていただけたらと思います。一方で、5/31からリバイバル公開される 『大江戸りびんぐでっど』 ですが、これは亀蔵さんがゾンビを歌舞伎でやりたいと仰ったのですか?
亀蔵 僕がゾンビ好きということは皆さん知ってましたが、たまたま宮藤官九郎さんが 「ゾンビの歌舞伎なんだけど、大丈夫?」 と持って来られて、面白いのでやることになりました。
MC 歌舞伎は綺麗なものを観られるというイメージがあるのですが、これは・・・
亀蔵 きったないですよぉ、これは(笑)。これは歌舞伎座が新しくなる前のさよなら公演だったんです。なので、もう舞台に血をたらしてもいいよね・・ということでやりました。それで初日に演出で頭から血を飛ばしたら、前の席に座っていたご婦人が3人スーッと帰っていきました(笑)。こんなの観に歌舞伎座に来たんじゃないという感じだったんでしょうね。
MC 僕、その気持ち分かります。歌舞伎座で、まさか血がピューッと飛んでくるとは思わないですよ(笑)。でも 『大江戸りびんぐでっど』 では、存鼻(ゾンビ)が派遣されるということで、ゾンビ本来の "ブードゥ呪術で蘇らせて人間の奴隷として使う" みたいなところをちゃんと社会風刺でやっているわけですよね。
亀蔵 そう、すごくレベルの高い話ですよ。
MC それにしても歌舞伎でゾンビをやることに、皆さん同意されたのですか?
亀蔵 面白がってる人と嫌がってる人がいましたよね。でも、歌舞伎の人ってわりと何でも楽しむんですよ。しかもこれを25日間やったんです。一回公演じゃないですから!
MC ゾンビということは、あの特有の動きをするワケじゃないですか?それを25日間やるってかなり大変ですよね?
亀蔵 大変です!映画を観ても何とも思わないと思いますが、これは舞台なのでを25回の公演の前に稽古を1ヶ月やっています。ゾンビを舞台でしなくてはならないという部分の考えが、浅はかだったんですよね・・。映画ならカットがかかれば元の体勢に戻れますが、舞台はそういうわけにいきません。ゾンビの人は20分なら20分ずーっとゾンビのままでいなくてはなりませんから、ひと月終わる頃にはどの形が真っ直ぐか分からなくなりました(笑)。
MC それは・・大変ですよね。とはいえ、ゾンビ好きな亀蔵さんとしては、また機会があれば歌舞伎でゾンビをやりたいですか?
亀蔵 そうですね。海外のミュージカルでは豚の血なども使ってやっているので、次はそんな感じで・・
MC ブロードウェイの小劇場ならいいですけど、歌舞伎座でそれは不可能に近いと僕は思います(笑)。稽古中は、やはり亀蔵さんがずっとゾンビの稽古をつけていたのですか?
亀蔵 ゾンビリーダーでした。普通はこうしてて、獲物をみつけたら手をあげる・・と教えたら、「何でそんなの決まってるの?」 って。「普通ゾンビはね・・」 と言ったら、「普通ゾンビの話をしないから。ホンモノは見たことないんだから」 といわれました(笑)。
MC そりゃ空想のものですからね(笑)。
亀蔵 ロメロはこうだけど、この人はこうだとか真剣に教えてたら、気持ち悪がられました・・。
MC そうでしょうねぇ(笑)。そんな中で稽古をつけ、ここはという見どころのシーンはありますか?
亀蔵 予告編にもあった障子から手が出てくるところですね。『死霊のえじき』 の頭のところの・・
MC たぶん皆さん分からないですよね(笑)。
亀蔵 あそこは大変で好きなシーンですが、舞台で演じているとみられないんですよ。
MC そうですよね!こうやって映画になって 「ああ、こう見えていたんだ」 と分かるわけですね!そんなゾンビ好きな亀蔵さんに質問です。亀蔵さんにとってゾンビとは?
亀蔵 もはや 「なりたい」 です。ずーっと退治してる側は辛いじゃないですか。だったら噛ませてなっちゃった方がいいかなと。ある程度は頑張るかもしれないですが、多勢に無勢だったら 「ちょっと噛んで!」 とお願いしてゾンビになろうかな。すみません、月並みな言葉で。
MC 月並みって(笑)。亀蔵さんにとってゾンビは 「なりたい」 ですか・・・なれるといいですね(笑)。最後に、亀蔵さんから両作品について一言お願いします。
亀蔵 『大江戸りびんぐでっど』 は、よくみんな真面目な顔してやってるなと。でも、こういうのはふざけちゃうとつまらないので、やる方は真剣にやるんですよ。それがお客様が笑ってくれることに繋がるんですね。こっちが意識して何かをやっちゃいけないんです。『ゴール・オブ・ザ・デッド』 は・・・こちらも真剣にやってますよね。
MC ポスターはふざけてますが、真剣にやってますよ!
亀蔵 《前半戦》、《後半戦》 となっていますが、そこの意味はまったく分からなかった!
MC そこはサッカーにちなんで・・・という、ただそれだけです。僕もそれ以上の意味は分かりませんでした(笑)。
亀蔵 でも、良いシーンもふんだんにありますし、2時間後には来てよかった!と思いますよ。121分あるんですよね?
MC ゾンビ映画としては長めですね。サッカーをバカにしているようで、実は意外とサッカーを熱く語っていますし、さすがサッカー大国フランスで作られた映画ですよね。
亀蔵 そうそう!それにサッカーとゾンビってないよね。4年後のW杯の時は、もう出てこない組み合わせだと思うので記念碑的な感じでご覧ください!
『ゴール・オブ・ザ・デッド』 5/3(土)ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開
★★日活公式TwitterとFacebookもやってます★★
ゴール・オブ・ザ・デッド
★2014年5月3日(土) ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開!★
『ゴール・オブ・ザ・デッド』まさかのZ杯、開幕! 死んでも負けられない《試合》が始まる!!
監督:バンジャマン・ロシェ ティエリー・ポワロー
出演:アルバン・ルノワール アメッド・シラ ティファニー・ダヴィオ シャーリー・ブルノー
© Capture The Flag Films