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映画『リトル・ボーイ 小さなボクと戦争』舞台挨拶に、作家・志茂田景樹さんが登壇!志茂田さんが語る子どもと平和。
2016年08月14日(日曜日)

8/27(土)より映画『リトル・ボーイ 小さなボクと戦争』が全国順次公開されるのに先駆け、作家であり、よい子に読み聞かせ隊隊長の志茂田景樹氏をお招きした舞台挨拶付試写会が、8/14(日)に行われました。

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本作は、第二次世界大戦中に戦地へ向かった父を無事に連れ戻したいと願い、弱い自分に打ち勝つために奮闘する少年ペッパーと、その家族を描いた物語。

広島に投下された原子爆弾が"LITTLE BOY"と呼ばれていたことを知ったメキシコ出身のモンテヴェルデ監督と脚本家のポーティーロは、父子の愛を軸に、少年の視点で戦争と平和を切り取りました。さらに、日系人との交流を通してアメリカと日本それぞれの信念、戦争下にあった差別主義をも描き出していきます。

この日行われたイベントにお招きした志茂田景樹さんは、第二次世界大戦を体験し、戦場に赴いた兄の帰りを待ちわびたご経験をお持ちということで、ご自身の戦争体験やペッパー少年のような自分らしい生き方についてなどのお話を伺いました。

― まずは、映画の感想からお聞かせください。

志茂田 戦時下のアメリカを舞台にしていますが、改めて戦争というものは色々なことを引き裂くんだなと思いました。国と国、民族と民族、妻と夫、親と子、親友同士も引き裂く。人々は不条理な戦争で引き裂かれるけれど、本当の愛と信念の力が生まれる。敬虔な信仰者は紙の御業、無神論者は信念の力と思うわけですね。いずれもそこから生まれるものは、人にとって一番大切なものになるのだと思います。

― 劇中で司祭さまが主人公のペッパー少年に憎しみの目をしていちゃだめだ、というセリフがありますね。

志茂田 僕は、人間が持っている愛が1%あれば99%の憎しみは消えると思っています。

― 志茂田さんご自身も戦争を体験されていらっしゃいますね。戦地に行ったお兄さんのお話しを伺いましたが、その間の心の支えは何だったのでしょうか?

志茂田 僕には15歳離れた兄がいました。昭和20年、僕が5歳なる年に20歳になる兄です。まだ兄が戦争に行く前に窓ガラスの曇りを使って僕にカタカナを教えてくれていました。その後ひらがなをすべて覚えきらないうちに兄は兵隊として満州へいきました。

軍事郵便は遅れることがなかったため、父、母、姉2人には手紙が来ていたので、僕は習ったカタカナで手紙を書いたら兄から葉書が届いたのです。本日現物をもってきたので読み上げます。

「忠男(※本名:下田忠男)、兄ちゃんは忠男の書いたカタカナを読みましたよ。満州に行くときお酒に酔って忠男に敬礼をしたね。忠男は飛行機乗りになりなさい。早く兵隊さんになって敵のB29を落としなさい。お母さんとお父さんのいうことをよく聞きなさい」

勇ましいこと言っていますが、本心ではないのです。本当は戦地から早く帰りたいのです。検閲があるため、都合の良くない内容は墨で消されてしまいます。B29について勇ましいことを綴った後に、お父さんお母さんのことを綴ったことで僕にはわかりました。

その年の8月15日から夜半にかけて、兄は戦死しました。ソ連軍が入ってきて、あっという間に蹴散らされたのです。逃げながらの中で8月15日戦争が終わったこと知らなかったのです。この映画を観ながら僕は、兄が戦死したのは幻想ではないか...と思ってしまいました。

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―「よい子に読み聞かせ隊」の活動をされるきっかけはなんですか?

志茂田 1999年8月に結成して、今年で17年になります。当時僕は児童書や絵本は書いてなかったのですが「よい子に読み聞かせ隊」の活動をしている中であるお母さんから、絵本は書いていないのですか?と聞かれて、書き始めました。1996年に小さな出版社を立ち上げて、宣伝のつもりで全国の書店でサイン会を催したのです。書店はショッピングモールに入っていることが多いから、親子連れが多いのです。官能小説を書いていたから、子供たちには不自然だったのですね。立ち寄っても1,2分で去ってしまう。ある時に、あの親子たちに絵本を読み聞かせできたら良いなと思ったんですね。大人向けの小説・エッセイを書くのと違い、子供向けの絵本を書くのはイメージなんです。構想はなくて。イメージが広がらないと書けないんですよ。

― 今作も監督によるオリジナルの脚本ですね。児童書の原作があるような内容ですよね。

志茂田 日本的だなと思いました。甲冑が登場するシーンがりますが、黒澤明映画に影響されているなと。家族愛が濃密に、でも嫌味でなく描かれている。普通戦争映画で引き裂かれるのは恋をしている男女という物語が多いですが、この作品は男女が出てこないから新鮮ですよね。この映画はハードルは低いけれど、観ている途中で考えさせられる。泣くべきところではないけれど、涙が出てきました。不思議な演出効果が出ていますよね。絵で示されるイメージをうまく処理している監督だな、と思いました。

― それでは最後にメッセージをお願いします。

ただただ観てほしい。観ればわかるということです。こういった映画はヒットしてほしいです。僕も今日は「ヤーーーーー」っと(劇中の主人公ペッパー少年と同じ両手で構えるポーズで)念を送ります。

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2016/8/27(土)ヒューマントラストシネマ有楽町、ユーロスペースほか全国順次公開!


少年のひたむきな想いと大きな愛は、遠くの戦場の父親へと届くのだろうか・・・
小さな町に起きた奇跡の物語

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ストーリー
第二次世界大戦下、アメリカ西海岸の小さな町。8歳の少年ペッパーは町の誰よりも背が低く"リトル・ボーイ"とからかわれていた。数少ない楽しみは、唯一の"相棒"である父親との空想ごっこと、父親の大好きな奇術を一緒に見ること。兄のロンドンが徴兵されることを除いて、平穏な日々は続くと思っていた。だが、ロンドンは徴兵検査に引っかかり、代わりに父親が戦場に駆り出されることに――。心の支えである父親の不在に絶望するペッパーだったが、何とかして戦場から父親を呼び戻そうと司祭に助けを求め、すべて達成すれば願いが叶うというリストを授けられる。いちばんの難題である街のはずれ者の日本人との交流に、反発しながらもだんだんと心を通わせていき、ペッパーの"父親奪還大作戦"が始まった。
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予告篇完成
日本公開決定


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リトル・ボーイ 小さなボクと戦争

★2016/8/24(土)全国公開★

『リトル・ボーイ 小さなボクと戦争』

パパは、僕がきっと呼び戻すんだ―。

監督:アレハンドロ・モンテヴェルデ

出演:ジェイコブ・サルヴァーティ エミリー・ワトソン ケイリー=ヒロユキ・タガワ マイケル・ラパポート デヴィッド・ヘンリー エドゥアルド・ヴェラステーギ ベン・チャップリン / トム・ウィルキンソン

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