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『凶悪』 完成披露試写会にメインキャスト "山田孝之×ピエール瀧×リリー・フランキー" が揃って初登壇!
2013年09月04日(水曜日)

今年最大の衝撃作にして骨太なエンターテイメント作品との呼び声が高い映画 『凶悪』 の完成披露試写会が、9/4(水)新宿ピカデリーにて行われました。

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映画 『凶悪』 は、死刑囚の告発をもとに雑誌ジャーナリストが未解決の殺人事件を暴き、真犯人逮捕への道筋をつけたという実在の事件を題材とし、日本中を驚愕させたベストセラー・ノンフィクションを、個性溢れるキャスト陣で映画化した衝撃作。死刑判決を受けながら自らの余罪を告発する須藤(ピエール瀧)が、雑誌記者の藤井(山田孝之)へ "先生" と呼ばれる全ての事件の首謀者・木村(リリー・フランキー)の存在を伝えることから物語が始まります。

凶悪な二人に対峙する主演・山田孝之さんの存在感、ピエール瀧さんとリリー・フランキーさんの狂気なまでのヒールぶりは、公開を前に既に大きな話題になるほど。そんなメインキャスト3人が揃って舞台挨拶に登場するのは、この日が初めて。さらには、山田さん演じる藤井の妻を演じた池脇千鶴さん、メガホンをとられた白石和彌監督も登壇し、いったいどのような話が飛び出したのでしょうか?

― まずは、一言ずつご挨拶をお願いします。

山田 どうも、山田です。この後、パーティーや楽しい食事会が入っている人がいたらたぶん楽しめなくなると思いますが、僕はこの映画の宣伝をするにあたり、そういう予定の前には観ないようにと再三言ってきましたので、もし友人との食事会がつまらなくなったりしても責任は取れません(笑)。そういうつもりで観てください。

ピエール 須藤役をやりました、ピエール瀧でございます。最近は、朝から寿司屋の格好で皆さんを困らせておりますが、今回は死刑囚でヤクザという役です。皆さんのお口に合いますでしょうか(笑)?ご覧いただく前に言うのも何ですが、ハッピーなところがひとつもない映画ですので、何かにつかまりながらご覧になってください。よろしくお願いします。

リリー どうも、リリー・フランキーです。僕、ちょっと前にここ(新宿ピカデリー)にウッディ・アレンの映画を観に来たのですが、帰りのタクシーで家に着く直前に 「財布落としてる!」 と気づいて、急いでピカデリーに取りに来たんです。そしたら、ウッディ・アレンの映画を観に来ているような善良なお客さまは、財布をちゃんとカウンターに届けてくれていたんですよ。でも、今日はこういう映画なので・・・たぶん財布は戻って来ないと思います(笑)。皆さん、財布をお忘れのないように。それから、今日はこうして(中吊り広告の)セットも作っていただきましたが、カメラマンの人の画角にほとんど入ってないと思います。たまには入れてあげてください(笑)。よろしくお願いします。

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池脇 池脇千鶴です。今日は観に来てくださいまして、ありがとうございます。私は、(この作品に)そんなに関わっていない感じがすると言いますか、2日間くらいの撮影でした。ちょっと怖い作品なのですが、ゆっくり楽しんでいってください。

白石監督 こんばんは、白石です。ようやく皆さんに観ていただくことが出来て、感無量です。散々 「怖い」 とか 「凶悪だ」 とか言われていますが、本質的には映画の力そのものを信じて、確かに観た後ハッピーにはならないかもしれませんが、それも含めて 「こういう映画もあるよね。面白かったよね」 と言える映画を作ろうと思い、歯を食いしばって必死に作りました。今日は、楽しんで帰ってください。

― 先ほどリリー・フランキーさんにも触れていただきましたが、中吊り広告をイメージしたセットの舞台挨拶はご経験がないと思いますが、いかがですか?

リリー 何だか観光地に来たみたいですね。

山田 顔出しパネルみたいな感じですかね。

ピエール たしかに今までないですねぇ。若干の悪ふざけかなと(笑)。

― 本作では、それぞれが今まで演じてこなかったような役柄だったような気がしますが、キャスティングはどのように考えられたのですか?

白石監督 まさに仰るとおり、見たことのない役で、画面の中で躍動していただくような感じに出来ればなと思ったんですね。山田さんは、ふだん凶悪な役やコメディが多かったので、自分の中に正義をもって突き進んでいく役を見たかったですし、瀧さんとリリーさんに関しては、色気のある良い大人のイメージだったので、それをぶち壊して凶悪な役を僕自身が見たいなと思いました。そして、基本山田さんとのお芝居だけでしたが、ひとりの強い女性としてそこに池脇さんがいてくれればなという思いで、皆さんにお願いしました。

― キャストの皆さんは、今回のご自分の役を知って、実際に脚本を読んでみてどのように感じられましたか?

山田 自分のキャラクターとしては、最初の登場から映画の後半にかけて気持ちの変化がすごくあるので、そこが難しく大変でもあるのですが、やり甲斐もあるだろうし、演じるのは楽しいだろうなと思い 「ぜひ」 という感じでした。実際にあった話ではありますが、あくまで映画の台本として読むと、脚本もすごく面白かったです。

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ピエール 僕はヤクザで死刑囚、そして人もバンバン殺しているという役ですから、監督からお話をいただいた時に 「須藤の気持ちにはなれませんよ。それはムリです」 と先におことわりしておいたんです。監督が 「それでも!」 と説得してくださったので、「そこまで言うなら監督のせいで」 ということで受けました(笑)。かなりナーバスになりがちな役でしたので、皆さんお口に合いますでしょうか・・・。

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MC すごくアクの強い役を演じられて、撮影が終わって帰った時などはどのようなご気分でしたか?

ピエール 役に引っ張られるということは、幸いなかったですね。空き時間はリリーさんと「どうぶつの森」をずっとやっていましたし。と言うと不真面目に聞こえるかもしれませんが(笑)。

リリー お陰でね、ウチにはりんごの木とナシの木をもらいました。

ピエール ふたりで "おでん鍋" ももらいに行きましたし・・・という話はいいですね(笑)。まあ何とかなったかなという感じです。

リリー 脚本が素晴らしく面白くて凄くドキドキしましたが、実際にあった事件が下敷きになっている繊細なお話なので、「犯人役を僕とピエール瀧で考えている」 と聞いた時は 「この監督はふざけているのかな?」 と思いました。瀧が言ったみたいに 「これ、俺らで大丈夫なのかな?何があっても監督のせいだな」 と思いながらやっていましたが、時間の経過とともに何となく僕らもそんな気分になれたので、よかったです。何とか監督に形にしていただいたと言う感じですね。

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池脇 こちら(山田さん、ピエールさん、リリーさん)は事件側の人で、私はその事件に巻き込まれていないというか、たぶん観ている方と同じ視点で、一番人間らしい、普通の人に近い感覚で物語をみていただける立場なのかなと思いました。脚本は本当に面白かったですし、それを超えてくれた作品だと思いました。私は撮影でお会いしていない方々ばかりなのですが、皆さんどんな感じで撮影されていたのかな?と思ってしまうくらい後味が悪いと言いますか、ゾッとする怖いものでした。

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― お話は人間のダークな部分がたくさん描かれていますが、撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?

山田 思い返すと、意外と笑いが起きている現場だったなと思いますね。映画の中でやっていることは結構どぎついのですが、それはそれでちゃんと映画のものとして捉え、そういうものだからこそ現場には一体感があったのか、ワイワイとやっていました。

ピエール やっている時はもちろん役と向き合うのですが、ダークな話なので、それをずーっと引きずってしまうと 「何しているんだ、俺は?」 という感じにもなってしまう部分が、演じる側にもスタッフ側にもたぶんあったんだと思います。なので、せめて撮影の時に楽しいところを見つけて、そこで笑いだったりドキドキするものを共有しないと、ある意味やってられないという部分もありますので、笑いのある雰囲気だったのだと思います。一番ピークになるわるーいシーンがあるのですが、そこを撮っている時は、僕もリリーさんも、そして監督もスタッフの皆さんも、何かそれに引っ張られるように熱がグーンとあがっていく感覚があって、あのシーンは手ごたえがあったというか、みんなが想像していたものよりも上のものが出来たという感触があったので、そういうところに喜びを見出しながら、みんな工夫してコツコツと作っていった感じですかね。

リリー ご覧になる前なのであまり言えませんが、思ってないことがどんどん空気感として出てくると言うか、そういう残虐なシーンがたくさんあるのですが、映画を観終わった後の感想は、意外にも 「藤井家のヘビーさの方がキツイ。この夫婦の家には、絶対にディナーに呼ばれたくない」 と(笑)。それくらいこの夫婦は肝になっていると思うのですが、あんなに大変な撮影が2日間だったんですね?2日間でブラジルロケまでして、大変でしたね。最後UFOまで出てきて。

池脇 はい(笑)?

MC 池脇さんは、藤井家での山田さんとの演技の緊迫感はいかがでしたか?

池脇 私の携わったシーンは皆さんみたいに和気藹々ということは一切なく、地獄の2日間だったなということだけ覚えています(笑)。

― 本作は 「骨太で硬派で力強い。まさに日本映画のあるべき形のようなものを感じる」 と、他の映画監督やマスコミからも絶賛の声が多く聞かれると思いますが?

白石監督 素直に嬉しいなと思いますし、やはり中々骨太な映画がないので、ぜひいつかやりたいとずっと思っていました。こういう形で出来たことは僕の誇りですし、『凶悪』という映画を撮るための3週間は今思い出しても、やはりすごく至福の時間だったなと思います。

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― 絶賛の声に関して、キャストの皆さんはどのように感じていますか?

山田 たくさん取材を受ける中で本当に評判だと聞いているものの、こういう題材ですからバカみたいに大ヒットする映画だとは思いませんが、それでも本当に観てもらいたいですね。「観なくていいの?」 という感じです。「暴力や重たいものは映画に求めていない」 みたいなことじゃなくて、「観る勇気がないのか?」 と言いたい。「観なさい」 というか 「観ろ、コノヤロー!」 という感じです(笑)。

リリー たぶん、今のところが記事になると思いますよ。

山田 いつもそうなんですよね(苦笑)。

ピエール 今のが面白くて質問を忘れてしまいましたが(笑)、すごくダークな一面というか、井戸を掘ってさらにその奥みたいなところを見せつけるような映画って、日本映画には最近なかったような感じがします。皆さんもご覧になった後それを実感されると思うのですが、それが何なのかは明確に言葉に表しにくいんですよね。その表しにくさを人と共有したいがために 「あの映画、ちょっと観た方がいいよ。アナタもあの感じ味わってみない?」 と、人に薦めたくなりますし、「あれは何なんだろう?」 とディスカッションするのが楽しい後処理の仕方だと思います。おひとりで観た方は明日の朝くらいまでドヨーンとしますので、ぜひ覚悟なさってください(笑)。

リリー 友達が試写に行って、3回くらい入れなかったとか。それって、すごくないですか?たぶん5人くらいしか入れないところで回していると思うのですが(笑)、そういう評判が評判を呼びまして、観てない人まで 「すごくイイ」 と言い出したりして。監督は 「骨太な映画を作りたい」 ということで、肝の据わったストイックな作品作りをされる方なのですが、無欲で撮っていたはずの監督に最近欲が出てきた感じがして、またそこも凶悪な感じがします。

ピエール それは、良いことですね。

リリー 良いことですね。この映画はちょっとドンヨリしますが、ちょっとしたエンタメ感というか、観終わったあと友達に 「あれ観た方がいいよ」 と、半笑いで薦めたくなる感じがあるんですよ。ただドヨーンとしたまま帰すだけではない、という監督の落としどころが良いなと。

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池脇 私の周りの人も面白かったと言ってくれますし、他の俳優さんの 「俺もやりたかった」 という声を聞きましたので、私は出演できて幸福だったなと思っています。ただ、自分の親にはちょっと薦めにくいような、腹にズーンとくるようなものがあるので、覚悟してご覧ください。

リリー R15+だから、15歳以上だったら大丈夫ですよ。

池脇 そうですね(笑)。

ピエール (客席を指して)キミらは高校生?(お客様「舞台挨拶だけ見にきました!」)それは、賢明な判断だ(笑)!

リリー それは本当に申し訳ないねぇ。でも、(制服の)コスプレしてきた28歳とかでしょ?

ピエール リリーさん、相手学生なんだから(笑)。

リリー でもこの映画の舞台挨拶を嗅ぎつけてくるなんて、見込みあるねぇ。犯罪者予備軍ですよ(お客様大爆笑)。

ピエール これで 「お目当ては監督だった!」 とか面白いのにねぇ。

リリー こんな味のある映画が若年層にも響いているということで、ヒットの予感がしますねぇ。

ピエール なんか、すみませんね。こんなキャッキャとはしゃぐような映画じゃないので、舞台挨拶もやりにくいんですよ(笑)。

リリー 舞台挨拶もそうだけど、朝の番組でも言いようがないよね。朝を迎えた人に薦める映画じゃない(笑)。

― お話が楽しくなってきたところですが、最後に白石監督からもう一言メッセージをお願いします。

白石監督 色々な言われようですが(笑)、やはり僕はこの映画を良い映画だと当然思っています。映画の観方って色々あると思うのですが、やはり感情に素直に観てほしいんですね。で、観ているうちに自分の中にある感情が思わぬ方向に行って、最後にはきっと今まで感じたことのない感情を映画からパスされるというか、そのパスされたものの置き所を探すのに少し時間がかかると思うのですが、「その感情はどこから来てどこに行ったのか」 と自分と向き合って、映画を観終わった後も楽しんでいただければなと思っています。今日はありがとうございました。

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凶悪

★2013年9月21日(土) 全国ロードショー★

『凶悪』

すべては、ある死刑囚の告白から始まった

監督:白石和彌

出演:山田孝之 ピエール瀧 リリー・フランキー

© 2013「凶悪」製作委員会



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