イベントレポート

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『幕末太陽傳 デジタル修復版』 公開記念 立川談幸師匠による"居残り佐平次”
2011年12月14日(水曜日)

日活創立100周年記念特別上映作品 『幕末太陽傳 デジタル修復版』 公開記念イベント「立川談幸師匠による"居残り佐平次"」 が12/10(土)、11(日)に日江戸東京博物館中村座にて行われました。

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「幕末太陽傳」の主人公の名前は、佐平次。当映画は、古典落語の「居残り佐平次」や更に「品川心中」「三枚起請」など数々の噺を一本の物語に紡ぎ上げた作品であり、多くの落語家が「落語種を映画にして唯一成功した作品」との太鼓判を捺し、喜劇を生業とする様々なジャンルの文化人たちに愛され続けている川島雄三監督の代表作です。

立川談幸師匠は、故・立川談志師匠の唯一の内弟子。談志師匠が愛し、彼が得意とした "居残り佐平次" は、映画の軸になっている噺のひとつでもあります。当映画も談志師匠が大好きな作品で、映画祭のゲストで語ったこともあるほどでした。"居残り佐平次" を、彼の唯一の内弟子である、談志師匠への思いをこめて、談幸師匠に演じて頂きました。

<立川談幸師匠のお話>

江戸時代を舞台にした映画『幕末太陽傳』というものがありますが、落語が10席ほど話に組み込まれています。映画を見てから落語をお聞きになるのも良いかと思います。1957年の映画ということで、フィルムが劣化していますが、デジタル修復化が出来たそうで、このたび日活が配給するとのことです。

「廓話」イコール艶っぽい話と取られますが、この映画は性描写も出てこないし、廓話は欲望も含め人間のすべてが出ます。例えば、左幸子と南田洋子の喧嘩のシーンなど、人間模様が表れやすいというところが面白いと思います。作品の素晴らしさもさることながら、役者もすごい。それぞれの個性を上手く発揮しています。若い人にとってはそれが新鮮に映ると思います。談志師匠もこの作品は大好きでした。

談志師匠は "佐平次" に自分の気持ちを投影させて、"佐平次" のどこでも自分の才覚で生き抜いているバイタリティのあるところを気に入っていると思いますし、師匠の持ち味でもあると思います。さらに、志ん朝師匠の流麗な話し振りから学び、両者の良いところ(居残り佐平次)取りをさせて頂きました。

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今改めて思う談志師匠の魅力は、落語というものは昔から型を重んじるものであって、型破りは評価されてこなかった中で、それをやって評価されているところ。今、風俗を含め江戸がわからなくなっているので、(型を重んじるよりも)人間を描くということに重きを置いています。伝統のある中で、それを過去完了に終わらせないというところが魅力です。また人の気持ちをつかむのも上手。

師匠がお亡くなりになってからの心境については、実感がわきません。亡くなる知らせを受ける前、ちょくちょく談志師匠が夢に出てきていました。それが亡くなった知らせを聞いた23日以降、めっきり出なくなりました。でも、昨夜、今日自分が「居残り佐平次」を演ずるにあたってなのか、夢に出てきました。「俺、これから死ぬんだ」と言っていました。会ったのは8月が最後、筆談で放送では言えないことを書いていて(笑)。あれが最後だとは思っていませんでしたが、今でも心の整理はつきにくいです。

師匠は舐めかけのアメを小袋に入れてとっていたとTVで見ましたが、師匠は何でも大切にとっていました。楽屋にある食べ物などすべて持って帰っていましたし、宴会の席のものもタッパに入れて持って帰っていました。縁があって来たんだから、大切にしようという想いだと思います。それは物でも人でも何に対しても言えたと思います。

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©日活

銭がなくとも、その身ひとつで時代を駆ける!
江戸時代末期の品川で起こる波瀾万丈、悲喜こもごもの人情物語

『幕末太陽傳 デジタル修復版』

★2011年12月 テアトル新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー!★

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半世紀の時を経ても色褪せない傑作が、最新技術で銀幕に甦る!

監督:川島雄三
出演:フランキー堺 南田洋子 左幸子 石原裕次郎 芦川いづみ


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