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【SUSHI TYPHOON】 『極道兵器』 永井豪氏×山口雄大×坂口拓 ドリームジャンボ・トークショー!
2011年08月13日(土曜日)

銀座シネパトスで上映中の【SUSHI TYPHOON】レーベル 『極道兵器』 公開記念ドリームジャンボトークショーが8/12(金)に行われ、山口雄大さん、坂口拓さんの両監督と、原作者の故・石川賢さんが所属していたダイナミック・プロダクション設立者であり、漫画家の永井豪さんが登壇し、故人の思い出や撮影秘話、執筆秘話などの楽しいトークを繰り広げて下さいました。

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北米を中心とした海外をターゲットに、2010年より脈々と世界の映画祭やマーケットに浸透させてきた、新たな日本映画レーベル 【SUSHI TYPHOON】 の 4週間限定まつり上映もいよいよラスト1週間。7/23(土)には、まつり上映の初日ということでほろ酔いで舞台挨拶にのぞんだ両監督でしたが、この日のトークショーは少々様子が違います。MCに 「酔ってる?」 と冗談で聞かれると、「今日のゲストでお酒飲んでここに立てるわけないじゃないですか!今日だけはありえません!!」 とキッパリ。そんな多少緊張気味のおふたりの前に永井豪さんが姿を現すと、会場からは大きな拍手が起こりました。

永井さん 『極道兵器』が映画化されたことをすごく喜んでいます。これだけの低予算で、よくあそこまでスケールの大きい映画を表現できたなと。それだけでも非常に驚いています。漫画がもっている無茶苦茶なテイストが映画でもすごく出ていたのが嬉しかったです。石川賢が生きていたらすごく喜んでいたと思います。皆さん応援して下さい。

山口監督 試写の時に、石川賢さんのご遺族が 「おやじが生きていたら喜んだと思います」 と握手して下さったんです。感動しましたね。豪先生には、「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」にもわざわざ本作のために来て頂いて、今日もこうしてお越し頂き、本当にうれしいです。

MC 永井先生のお気に入りシーンはどこでしょう?

永井さん クライマックスの女性の・・・シーンですね。あれをやって頂いたのが、なによりも嬉しかったです。

山口監督 夕張で豪先生に命名して頂いた“おっぴろげ”シーンですね!

坂口監督 あのシーンは、最初の脚本の段階からどうしても入れたかったんですよね。

山口監督 あんなに面白い武器というか、兵器はない!あれこそは石川賢イズムだと思って、どうしても本編にいれたいと思ったところから話を作っていったくらい大事だったんです。

永井さん あれがあるとないとじゃ、全然違うと思います。それにその他のアクションも凄かったですし、間にみせる影絵のアクションシーンも新しいアイデアでよかったですね。変化に富んでいて、全体を締めてくれたなと思います。

山口監督 アクションのバランスを考えてのことでした。最初は実際に殴るアクションがあり、兵器に移行し、最後はおっぴろげがあるので、そこにいくまでにどういうことをしたらいいかあれこれ考え、同じアクションであっても見せ方を変えることでバランスをとろうした結果、あの影絵の手法が生まれました。

永井さん それは、すごく成功していると思いますね。

山口監督 ありがとうございます。それともうひとつ、海外で上映する作品であるということも念頭において、襖と影絵と音楽も日本風に太鼓にして・・というところは意識しました。海外でも盛り上がってくれて、作った甲斐がありました。

永井さん オープニングの南米のジャングルのシーンはどこで?

山口監督 御殿場あたりの山の中で(笑)。よく見るとひとつも南米っぽくないのですが、最初のカットだけ南米っぽい草を出しているんです(笑)。

坂口監督 それと外人でごまかされているんです(笑)。

永井さん 結構騙されるものですねぇ(笑)。

坂口監督 オープニングは、当初はそこで全部クレジットを出して、最後は爆破シーンで終わって、エンドロールなしのつもりだったんですよね。

山口監督 昔の日本映画っぽくしようと思っていたんです。しかし、昔とは色々な事情も違い、それは難しかったのでエンドクレジットをつけることになりました。で、つけるなら面白くしようと思ったのと、海外では石川賢さんの原作自体知らない方が多いので、この映画は石川賢さんの漫画原作であることをハッキリ分からせたかったところもあって、賢さんの漫画をコラージュしてマーベル風のエンドクレジットにしてみました。

永井さん よかったです!

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MC 永井先生には、石川賢さんのお人柄などもお聞きしたいのですが。

永井さん 不思議な魅力がある、誰にでも好かれる人でしたね。慎重で照れ屋で、人に嫌われるようなことは絶対にやらないし、人の陰口も絶対に言わないし、僕も大好きでした。喋る時は擬音をたくさん使って、面白おかしく話をするんです。もっともっと付き合いたかったので、残念で仕方ないですね。

MC 僕たちは永井先生や石川先生の漫画で育ち今こういう世界にいるのですが、小さい頃に読んだイメージからすると、すごく怖い人なんじゃないかなと思っていました。

永井さん 作品に関しては、悪役や残酷なシーンを嬉々として描いていましたね(笑)。でも本人はめちゃめちゃ優しい男でね。人前にもあまり出たがらず、若干引っ込み思案なところもあって、私とは正反対でした。でも、お酒を飲むと饒舌になって、どんな話でも、日常的な会話でも、彼が話すと全部マンガチックに聞こえて面白かったんです。

さて、この日はせっかく永井さんがいらっしゃるので・・・ということで、「今後映画化したい作品は?」との質問がMCから飛び出し、山口監督が「『手天童子』をどうしてもやりたいんです。本当に大好きなんです」 と答えると、観客の皆さんからは大きな拍手が沸きあがる場面も。

山口監督 物語がどんどんエスカレートする感じが、当時子供ながらすごく印象的で、あれは初めての体験でした。

永井さん あれは導かれるように描いたんです。最初は何も考えていなかったのですが、鬼が赤ん坊をくわえている映像が突然見えたんですよ。何だろう?分からないけど描いてしまえ!と思って始めちゃってね(笑)。その後も追い詰められて、頻繁に鬼の夢をみるんですよ。そのうち僕の守護霊のお坊さんが鬼を握りつぶしてくれたんだけど、次はもっとでかいのが出てきて襲ってくる。そこで、目が覚めたらコイツを描いてやるぞ!と思って描くんですね。そんなふうに鬼にたたられて、本当に恐ろしくて、苦しんだ作品なのですが、お祓いをしたら鬼が消えて、最後までやりとげることができたんです。最終回を喫茶店で描いていたとき、なぜか涙が出てきて止まらなかったので、もしかしたらあれは単なる鬼でなく、前世に関係あることだったのかもしれないですね。

このエピソードには、山口監督、坂口監督はもちろん、会場のお客さまもシーンとなって聞き入り、山口監督は 「気軽に映画化したいとか言える作品じゃなかったですね・・・」 とポツリ。それでも「ちゃんとお祓いして、やってみたい!」 と、改めて気持ちを強くした様子でした。

「手天童子」に限らず、永井さんはいつでも最初から先のストーリーやラストなどは考えずに執筆を開始するそうです。「先がみえていると、楽しんでその作品の中に入っていけないんですよ。だから、このキャラクターがどういう運命を辿るかは自分でも分からない方が面白くて、描いているうちに殺す予定のない人が死んでしまって、こりゃマズイってなったり(笑)」とニッコリ笑う永井さん。これには 「そう聞いてはいたけど、本当にそうなんですか~!!」 と、両監督もビックリしていました。

MC では、最後にもう一言ずつメッセージをお願いします。

永井さん この作品を観ると、石川賢の他の作品もどんどん映画化してほしいと思うと思います。とんでもない傑作がたくさんありますから、ぜひ提案して頂いて、またこういう集まりが出来たら嬉しいです。

坂口監督 『極道兵器』 は来週からお昼の時間帯の上映になります。あと1週間ですが、よろしくお願いします。

山口監督 先ほどは永井先生の原作でというお話だったのですが、石川先生の原作ですと「魔界転生」をやりたいと思っています(会場からは再び大きな拍手)。「魔界転生」は何度も映画化されていますが、あれだけハードな「魔界転生」は石川賢バージョンしかないので、それをぜひやってみたいと思います。あと、1週間『極道兵器』と、『デッドボール』 という作品も上映していますので、よろしくお願いいたします。

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日本人よ!
これが “世界” が観たかった日本映画軍団だ!

SUSHI TYPHOON

★2011年7月23日(土)~8月19日(金)
銀座シネパトスにて4週間限定まつり上映!★


◆『極道兵器』
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(C)2010 石川賢 / ダイナミック企画・極道兵器製作委員会


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