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僕らの時代を作ろう!― 『マイ・バック・ページ』 初日舞台挨拶が行われました!
2011年05月28日(土曜日)

妻夫木聡さんと松山ケンイチさんが遂に初共演を果たし、若き鬼才・山下敦弘監督が新境地に挑んだ作品 『マイ・バック・ページ』 が5月28日(土)公開初日を迎え、キャスト・監督による初日舞台挨拶が行われました。

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本作は、川本三郎さんのノンフィクションをベースに映画化した社会派青春ドラマで、日本映画界屈指の才能たちが、激動の時代に翻弄された若者たちの姿を描き出します。

初日、初回上映をご覧頂いた直後の会場に、妻夫木聡さん、松山ケンイチさん、忽那汐里さん、韓英恵さん、中村蒼さん、そして山下敦弘監督が登場し、舞台挨拶がスタートいたしました。

― まずは、今の気持ちを踏まえて一言ずつご挨拶をお願いします。

妻夫木 初日にたくさんの方に来て頂き、本当に嬉しく思います。みんなでじっくり作り上げていった作品ですので、1つ1つを噛みしめて観て頂きたいなと思っています。ひとりでも多くの方に、この思いが伝れば嬉しいです。

松山 雨で来られない方もいるかと思いましたが、たくさんの方に来て頂き、嬉しく思います。この作品では、情熱やハングリー精神をどのキャラクターからも感じることが出来るので、この年代を知ることは、とても大事なことなのではないかと思っています。

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忽那 年齢層の幅広くたくさんの方にお越し頂いて、とても嬉しいです。憧れの山下監督、そして、ここにいらっしゃるキャストの方々とこの作品に参加出来、また、皆さんにご覧頂くことが出来て、光栄です。

 朝早く、雨の中お越し頂きまして、ありがとうございます。この作品は歴史のお話ですが、若い人にも観て頂きたいなと思っています。

中村 お越し頂き、ありがとうございます。この作品に参加出来たことをすごく光栄に思っています。人それぞれ思うところのある作品だと思いますので、思ったことを大事にして頂けたら嬉しいなと思います。

山下監督 朝からこんなに重い映画をご覧頂き、本当にお疲れ様でした(笑)。原作を貰ってから4年たちましたが、その間の思いを全て詰め込みましたので、それは多分映画から伝わるのではないかなと思っています。

― 皆さん映画はいかがでしたか?(お客様からは大きな拍手!)ニコニコしながらたくさんの拍手を頂きましたが?

妻夫木 決してニコニコできる終わり方ではなかったと思うのですが(笑)、嬉しいですね。これまで上映前のお客様にご挨拶してきたので、このように直にお客様の反応を味わえるのは、この作品では今日が初めてで、お客様の顔を観るのが心地良いです。

松山 皆さんがにこやかでいられるのは、やはり最後に妻夫木さんが見せる表情と、エンディングに流れる「My Back Pages」の曲があるからじゃないかなと思います。決して明るい映画ではない本作の最後を締め括る、最高のエンディング曲だなと思います。

― 本作では、妻夫木さん演じる沢田が、松山さん演じる革命家の梅山と出会ったことによって人生が変わっていきますが、皆さんにとって人生を大きく左右するような運命的な出会いや出来事などはありましたか?

妻夫木 僕にとっては役者になったことが一大事というか、運命的な出会いだったなと思います。元々役者をやろうと思っていなかったので、「誰でも出来るだろう」 と、この世界をナメていたんですよね。でも、いざやってみたら何も出来ずに挫折し、それが悔しくて、そこからがむしゃらに頑張ってきました。運命的な出会いって、ひょんなことだと思うんです。自分がそう感じたら、それは運命的なものに変わる。結局は、「自分自身の気の持ちようで、いくらでも人生は変わるんじゃないかな」と、今はそんな気持ちでいられます。

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松山 僕も、仕事ですね。僕は16歳で上京しましたが、20歳くらいまではバイトがメインで、「バイトするために東京に来ているのか?自分は役者と言えるのか?フリーターなのか?」 と、悩んだり、葛藤したりしました。色々な出会いがあり、20歳の時に大きな仕事が決まったのですが、それも継続してきたからこそなのではないかと思うんです。中には、人生コロッと変わったりすることもあるかもしれませんが、だいたいは徐々に変わっていく。継続している人に、そういうチャンスは来るのかなと思いますし、今出来る選択の中で、悔いのない選択をしていくことが重要なのではないかと思います。

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忽那 育ててくれた家族のもとを離れて上京し、祖父母の家に預かってもらったのですが、その後家族が日本に来てくれて再会した時に、それまで自分が当たり前だと思っていたことは感覚が麻痺していたのだと気付き、日本で家族と再会出来たことが、私にとって運命的な出会いです。

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 テレビの中の世界だったことを、今自分がやっているということ。そして、1つの映画を通してたくさんの人と出会いますが、それもこの仕事をやっていなければなかったことだと思うので、それが私の最大の転機というか、運命的な出会いだったと思います。

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中村 僕は、まだまだ知らないことの方が多いので、1つの作品をやる度に新しい考えが生まれてきたり、新しい物の見え方がしてきます。それが運命という大きなものか分かりませんが、僕にとっては大切な出会いで、1つ1つの現場で会った人たちや、その作品で演じた役から貰う新しい見方が、僕にとっては大切な出会いになっているかなと思っています。

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山下監督 脚本の向井(康介)と撮影の近藤(龍人)は大学時代からの同級生なのですが、大学時代に出会った人たちは、いまだにずっと映画に関わっている人たちがいっぱいいます。その出会いで、僕も今映画監督が出来ているのかなと思っているので、大学4年間で出会った人たちの存在が、僕にとっては大きいですね。

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さて、本作は実話がベースになっている映画ですが、妻夫木さん演じる沢田にあたる人物が、原作者の川本三郎さんです。ということで、初日を祝して川本さんからサプライズレターが届きました!

【川本三郎さんのお手紙】

「私の暗い青春の挫折の物語が映画化されるとは、夢にも思っていませんでした。しかし、考えてみれば、人は明るく楽しい話からだけではなく、重い敗北の物語にも、励まされることがあります。

3月11日の大地震の後、日本の社会は劇的に変わったように思います。それまでの浮ついた気分が消え、誰もが他者のことを深く考えるようになった。物事を真剣に考えるようになった。そんな時に、この映画が公開される。何か運命のようなものを感じます。

キャストの皆さん。
妻夫木聡さん、松山ケンイチさんはじめ若い人たちが、あの時代の若者になりきって、学生運動の熱気を描き出してくれたことは、素晴らしく、大きな驚きです。青春とは、2度あるものだと痛感します。1度目は、過去の青春の只中で。2度目は、今現在の中で。若い皆様と60歳を過ぎた人間が、今共通の言葉で話し合えるとは、私にとって奇跡のような嬉しい出来事です。

山下監督、向井さん。
『リンダ リンダ リンダ』をはじめ、数々の心に残る青春映画を作ってきた若い才能。山下敦弘さんと脚本の向井康介さんが、欠点の多い原作を感動的な作品に仕上げてくれました。冴えなかった自分の30代を思うと、おふたりの力は眩しいばかりです。おふたりとも、外見はまだ学生のように若いのに。
先日朝日新聞で、ドキュメンタリー映画の監督・森達也さんが、ラストを「邦画史に残されるべき名場面」と、激賞してくれました。原作者としても嬉しく、ふたりを誇らしく思います。本当にありがとう。

最後に、観客の皆さん。
この映画には、甘い恋愛も、楽しい冒険もありません。シリアスな問題を扱っています。数ある映画の中から、この作品を選んで観に来て下さった皆様に、深く感謝いたします。あの時代の若者達が、どう社会と関わって生きようとしたか。その思いを感じ取って頂ければ、幸いです。そして、この映画が、今困難な時代を生きる皆様の力になることを願っています。ありがとうございました。
2011年5月28日 川本三郎」

― 川本さんからお手紙を頂きましたが、妻夫木さんいかがですか?

妻夫木 今回役作りをする上で、答え合わせをしてはいけないと意識的に思っている自分がいたのか、川本さんに会おうとはあまり思わなかったんですね。だから、撮影中に遊びに来てくれた時と、出来上がったものを観終わって来てくれた時しかお会いしていないのですが、その時に「“良いことだけが人生全てじゃないし、負けることも、人間にとってはとても大事なことなんだな” というのが、うまく表現出来ていたんじゃないかな」と、川本さんに言って頂いて、すごく嬉しかったですね。僕らは、60年代・70年代をリアルに忠実に作ったわけでもなく、学生運動の話を作ったわけでもなく、「こういう男達がいた」 ということを感じて欲しかったんですね。僕たちにしか出来ない、『マイ・バック・ページ』という作品の中での “時代” を作れたと思っています。

― 最後に、山下監督、松山さん、妻夫木さんから、もう一言ずつお願いします

山下 あの時代を描いたことで無意識的に僕も熱くなり、今まで以上に向き合って作った作品なので、未だに自分の身体から抜けていかない感じがしています。僕は今34歳ですが、僕らもキャストもこの時代を知らない僕ら世代のメンバーが中心となって、本気で作った映画です。あの時代のことを分かったつもりは全くないのですが、強烈な接点を持ってしまったなと思いますし、この先ずっとどこか頭の隅にあって、これからの人生にもっともっと影響を与えるんだろうなと思っています。そう言った入り口になってくれたら、この作品にとって幸せなんだろうなと思います。今日は、ありがとうございました。

松山 最初にも言いましたが、「昔を知る」 ということはすごく大事なんだなと感じていて、例えば戦争のことも、戦争を知らない僕ら世代にとってはすごく重要な知るべきものだと思いますし、そういう意味で、この年代というのも、絶対に知っておかなくてはいけない時代だと思います。戦争とは違い、テレビ番組でもあまり取り上げられない時代ですが、今回、学生運動で活動していた人の話を聞き、もっともっと興味深くなると同時に、逆に分からなくなってしまうようなところもありました。その時代、若者が向き合っていた問題は簡単なことではないから熱中していたのだと思うし、まだ解決出来ていない問題として残っているから、中々その時代のことを話せないのかなと感じています。この映画を機会に、学生運動を経験してきた方たちには口を開いて頂きたいですし、若い世代の方も、もっともっとこの時代について興味を持ち、そして、今を生きる自分と向き合って頂けたらなと思います。

妻夫木 監督や松ケンとも話していたのですが、この映画に関しては、どう伝えたら良いのか分からないところが多くて、一言言えるのは、「観て、感じてほしい」という、それしかないんですよね。「あの時代って、何だったんだろうな?」と思っても、やはり答えは出ないのですが、「今の時代には、何が足りないんだろう?」 と思った時に、“人間力” というか、“前に進む力” が今ひとつ足りないのかなと、僕は何となくそう感じました。過去に捉われすぎてはいけないと思いますが、昔を知ることは本当に大事だと思う。でも、それだけじゃダメだと思うんですよね。僕らの時代は僕らが作って行かなくてはいけないし、今はまさに、目の前にある現実、本物、本質を知り、それをじっくり捉えた上で、僕らはどんどん前に進んで行かなくてはいけない時代だと思うんですよ。僕らが60歳、70歳になった頃に、今の僕らの世代の人たちが “あの時代” の話を作るというような、それくらいの時代をこれから作っていかなくてはいけないんだろうなと、改めてそういうことを見つめ直す時期なんだと、特に今感じています。このタイミングで、こういう映画が公開されるのは、多分それも運命的であり、もしかしたら必然だったのかもしれません。なので、僕ら自身がもっともっと今をみつめて、前に進むべきなんだと思うんですよね。そういうキッカケに、ちょっとでもこの映画がなっていたら嬉しいなと思います。って、そんなデカイ映画でもないのかもしれないのに、すげーデカイこと言っちゃってるんですけど(笑)。でも、一歩踏み出すキッカケになったらいいなと思いました。良いことも、悪いこともあると思いますが、一度しかない人生だから、みんなと前に進んでいけたらいいなと思っています。ぜひこれから、僕らの時代を作りましょう!ありがとうございました。

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『マイ・バック・ページ』

★5月28日(土)全国ロードショー!★

その時代、暴力で世界は変えられると信じていた――

妻夫木聡 × 松山ケンイチ 遂に初共演!
監督・山下敦弘が挑む新境地!

日本映画界屈指の才能たちが<実在の事件>を基に描く、
衝撃と感動のドラマが誕生!!


出 演:妻夫木聡 松山ケンイチ 
    忽那汐里 石橋杏奈 韓英恵/中村蒼/長塚圭史 
    山内圭哉 古館寛治 あがた森魚 三浦友和
監 督:山下敦弘
脚 本:向井康介
原 作:川本三郎「マイ・バック・ページ」(平凡社)
主題歌:「My Back Pages」真心ブラザーズ+奥田民生(キューンレコード)

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©2011映画「マイ・バック・ページ」製作委員会


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