イベントレポート

<最新一覧へ戻る

4/29 公開 『八日目の蝉』 完成会見が行われました!
2011年02月28日(月曜日)

今年のゴールデンウィーク初日4月29日より全国公開となる映画 『八日目の蝉』 が完成し、井上真央さん、永作博美さん、小池栄子さん、森口瑤子さん、そして原作者の角田光代さん、メガホンをとられた成島出監督による完成会見が、2月28日(月)に行われました。

110228y00.jpg

『八日目の蝉』 は、直木賞作家・角田光代さんの傑作ベストセラー小説を 『孤高のメス』 の成島出監督が映像化したもので、誘拐犯に4年間育てられたひとりの女性の生き様を通じ、女として生まれたことの哀しみと、それを生き抜く強さを描いた衝撃のヒューマン・サスペンス。主演に井上真央さんをお迎えする他、本作が出産後復帰第一作となる永作博美さん、そして小池栄子さんや森口瑤子さんなど日本映画界屈指のキャストが集結した、本年GW注目の話題作です。

― まずは一言ずつご挨拶をお願いします。

成島監督 この映画は、本日初めてお会いする角田さんの原作を読ませて頂き、どうしても自分が映画化したいと思ったところから始まりました。原作との出会い、そして今日ここに並んで頂いた素晴らしい女優さんたちとの出会いがあって、本日このように完成報告ができることを本当に嬉しく思います。

110228y1.jpg 110228y2.jpg

角田 映画のお話は実現しないことが多々あるので、今回も実現しないのではと思っていたのですが、本当に素晴らしい映画にして頂き、すごく嬉しいです。


井上 私も角田さんとお会いするのは本日が初めてなのですが、とても力のある素晴らしい原作だと思いました。原作では希和子の方に感情移入していたため、誘拐された方の秋山恵理菜役ということで、どう感情表現し、どう恵理菜と向き合えば良いのか、日々壁にぶち当たり苦戦しながら演じさせて頂きました。無事に完成したことを本当に嬉しく思います。愛と生命力に溢れた作品になっていますので、多くの方に観て頂きたいと思っています。どうぞご期待下さい。

110228y3.jpg


小池 監督の熱い熱い想いが詰まったこの作品に、千草役として呼んで頂いたことをとても嬉しく思います。今まで演じたことのない役どころで、井上さん演じる恵理菜と共に、自分の過去と向き合いながらどう未来に進んでいくか?この壁をどう乗り越えていくか?大変難しく苦労しましたが、井上さんに助けてもらいながら、良い撮影が出来たと思っています。親とは?家族とは何だろう?ということを自分自身に照らし合わせて観られるような、とても愛に満ち溢れた作品になっており、涙が止まりませんでした。ひとりでも多くの方に観て頂きたいと思います。

110228y4.jpg


森口 私は、書店に原作の「八日目の蝉」が並んだ時に夢中になって読んだひとりです。自分を可愛がってくれる大好きなお母さんから4歳で突然離され、母性の欠片もないようなお母さんの元に、今までとは違う世界に飛び込んだ薫は、どのような気持ちだったのだろうと考えると、涙が止まりませんでした。今回、秋山恵津子役のお話を頂き、本作に参加させて頂いたことを誇りに、大変幸せに思っております。この映画を通して、色々な方たちに出来るだけたくさんのことを感じて頂ければと思っております。

110228y5.jpg


永作 迷宮の中、何か見えるのか?見えないのか?幻想か分からないわずかな光に向かって、どうにか進んでいったような撮影でした。私のお相手は、0歳から始まって4歳ということで、大人の思うようには動いてくれない相手でしたので、新しい体験でのお芝居が出来たような気がしています。思うようにならない分、結果としてドキュメンタリーのような迫力のあるシーンにもなりましたので、そんなところも楽しんで頂けたらなと思っております。

110228y6.jpg


― 原作者の角田先生に、ご自身の作品が映画化されたことへのお気持ち、そして映画の感想を合わせてお聞かせ頂きたいのですが。

角田 私は映画は小説と全く別のものだと思っているので、楽しみで楽しみで仕方ありませんでした。そして先週観せて頂き、最初の15分くらいはこのシーンは小説にあったとかなかったとか、小説と比べて観ていたのですが、途中から小説のことなどすっかり忘れ、のめりこむように観ました。泣いて泣いて泣いて・・・次の日は目が半分くらいになるくらい泣きました。(ここにいる)皆さんをみていると、一人ひとりが演じた非常に印象深いシーンが思い出され、この場でまた泣いてしまいそうです。小説が持っているテーマを映画ではもう一回り大きくし、「魂の解放」というようなことを扱った非常に大きなテーマを持った映画になったのではないかと個人的に思いました。「本当に素晴らしい作品をみせて頂き、ありがとうございました」と、皆さんに言いたいです。

― どの役も難しかったと思いますが、撮影を振り返って、そして映画が完成しての今のお気持ちを改めてお聞かせ下さい。

小池 本当に難しく、監督の非常に高い要求に付いて行くのに必死で、無我夢中で演じたのを覚えています。私演じる千草は、タイトルでもある“八日目の蝉”の意味というものをとても大事なセリフとして言わせて頂くので、その部分でもとても緊張しました。八日目まで生きた蝉は、それが不幸なのか幸せなのかといのが大きなテーマだと思いますが、私は演じてみて、八日目まで生きて他の人には見られない美しいものや楽しい経験が出来ることは、とても素晴らしいことではないかなと思いましたし、井上さんと共に演じながらラストに向かってそういった気持ちが自分の中で盛り上がっていったことを覚えています。本当に難しく、でも本当にやりがいのある役でした。監督の熱いご指導に感謝しています。

井上 監督はじめ、キャスト、スタッフが本当に作品を愛しており、その中で恵理菜という重要な役をやらせて頂くことに日々責任を感じていました。今の自分に何か出来るのか?自分と向き合うこと、そして恵理菜と向き合うことに苦戦した日々でした。撮影で永作さんとお会いする機会が全くなく、どのようなお芝居をされているのか分からない中、ずっと小池さんと一緒でしたが、小池さんのお芝居に対する姿勢が本当に素晴らしく、私はずっとそこに頼ってばかりでしたが、そうやって悩みながらもこの役と向き合えたことはとても良い経験になったと思いますし、終わった時は本当に「ようやく解放された」と正直思うほどでした。母である方や女性はもちろん、男性にもぜひご覧頂きたいと強く思います。

110228y7.jpg

永作 ここまでしっかり罪を犯すという役をやらせて頂いたのは、きっと初めてではないかと思うんですね。ですので、心理的なものを探ることがすごく大変だったのと、溢れんばかりの愛情も表現しなくてはならない。その両サイドのふり幅にとても悩み、悩んでも分からなかったというのが本当のところです。しかし、0歳と4歳の本当に素直な感情をぶつけられ、またあらゆる女性の性(さが)をしっかり背負った方々にしっかり追い詰めて頂いて、結果希和子が出来たような気がします。もう精一杯で、どういう芝居をしたかは正直覚えておらず、何故ああなったとか、何故こういう行動になったかというのは、客観的にみられるようになったら言えるのかもしれませんが、今は観て頂いた方に何かを思って頂ければ嬉しいです。本作には、色んな性を背負った人間がたくさん出てきます。人生何があるか分かりませんが、その先に光を見出すのは自分しかいないというところに辿り着けるというか、エネルギーをもらえるような作品になっていると思います。そして、中島美嘉さんのエンディングテーマには、作品で表現しきれなかった言葉や感情がたくさん表現されていて、私はそこでまた号泣しましたので、最後までしっかり観て頂けたらなと思っております。

森口 私も一言で言ってしまえば「難しかった」なのですが、映画での恵津子という役は、原作とは少し違った切り口で描かれており、先ほど「母性の欠片もない」とお話しましたが、そうではなくて、娘のことが可愛すぎるからこそ、愛情が溢れ出過ぎているからこそ、秘めて秘めて押さえ込むような演技が本当に表現しきれなかったと言ってしまいたいくらい難しかったです。小池さんも監督に付いて行くだけで精一杯だったと仰っていましたが、私も本当に監督に導き出して頂いたことばかりで、とても感謝しております。全ての出演者がすごい人生を体験して、苦しんで、悩んで、でもこの映画では、逃げている人が誰もいないように感じます。自信を持って本当に素晴作品だと思います。

― 永作さんにとって出産後初仕事でしたが、母になったことでこの作品に取り組むことでの気持ちの変化があったのかと、劇中でご自身の髪を切られたことについてのお気持ちをお聞かせ下さい。

永作 子供の扱いを多少なりとも知っていたことは、この作品ではとても良かったような気がします。赤ちゃんとのシーンが本当に多く、何も分からない赤ちゃんはどうしても泣きます。あやしても泣き止まない時もあります。そのやめるタイミングや、赤ちゃんがどれだけ嫌なのかなどが、多少なりとも分かっていた分、赤ちゃんのストレスは少なくて済んだのではないかなと思います。赤ちゃんの扱いを全く分からなかったら、たぶん今回の作品とは全く別のものになっていたような気がします。髪に関しては切る以外の選択肢がなかったので、さっぱりして良いかなと。そういう機会でもないと切る機会はそうそうないので、結果今すっきりしています。

― 皆さん難しかったと仰っていますが、具体的にどこが一番大変でしたか?

井上 誘拐された過去を持つということなので、台本を読んでいる時も、演じている時も、どうしても暗い方、暗い方にいってしまう部分がありました。しかし監督は「恵理菜からの生命力を感じたい」と初めに仰っていたので、どのように生命力というものを表現すれば良いのか?常に前向きでいる姿勢というものを恵理菜を通してどう演じれば良いのか?というところが難しかったかなと思います。

小池 具体的なシーンのお話ではありませんが、千草の佇まいであったり、歩き方であったり、セリフが自分の身体の中にちゃんとおちて本当の心からの叫びとして出ない限りは、監督はそこをちゃんと見抜かれる方なので、それはお芝居をする上では当然だと思いますが、中々OKを頂けず、「何がいけないんだろう?どこが違うんだろう?」ということの日々戦いであったりとか、千草像を作るにあたって今まで経験したことのない難しさがありました。

110228y8.jpg

森口 嫉妬や憎悪など、爆発しそうな感情をものすごく抱えている女性で、爆発しているシーンばかりだったのですが、それがただただ爆発しているだけでは、観ている方に「ただのヒステリックな女性」と思われてしまうので、憎悪なり、愛情なりを私自身が心の中でしっかり感情として捉えていなければならず、毎回毎回自分に帰る作業が大変でした。

永作 「自分の役が背負ってきたものの背景に、自分が届いているのか?」ということ、それは角田さんの原作に出てくる人物像のハードルが元々高いこともありますが、自分がそれに届いているかが心配でした。それを全く自分では判断出来ないところが難しかったのだと思います。それだけ人間性が高い役をみんなが任されたのだと思っています。

― 監督にはキャスティング理由を、女優の皆さんにはオファーを受けた時のお気持ちをお聞かせ下さい。

成島監督 結果このキャスティングで撮れたことが、本当に良かったなと思っています。原作を読み、奥寺さんの脚本を読み、プロデューサーとキャスティングの話をした時、直感というか、この方々でいけたらいいねというお話をして実現出来ました。井上さんは映画を観てすごく目に惹かれたのですが、これまでやったことのない役をやったら、きっとすごいことになるだろうと思いました。永作さんと小池さんは、舞台や映像を色々とみて、熟練度の高さをすごく感じていたので、逆にそこをひっくり返したらどういうことが起こるのだろう?と思いました。永作さんは実生活でも母になったということもあり、どのような化学反応を起こすか?と思いつつ、しかし出産後間もないので受けて頂けないだろうと思っていたのですが、お忙しい中受けて頂くことが出来ました。小池さんは、原作の千草のようにズケズケと言うだけだったら無難にこなせるのでしょうが、ズケズケと同時にオドオドがある小池さんをみたいと思いました。森口さんは以前映画でご一緒し、そこでは美しいマドンナ役だったのですが、やはり真逆をやって頂くとどんなことが起きるのかなと思いました。ということで、結果がみえていた人は誰もおらず、映画が完成するまでドキドキしながら、しかし楽しみながらキャスティングの結果を待っていました。

井上 原作を読んで本当に素晴らしい作品だと思いましたし、この作品に携われるならどんな役でもいいなと思うくらい、まず作品に魅力を感じました。恵理菜という役はすごく難しいと思ったのですが、あえてそれを私にオファーして下さったことが嬉しいと思いましたし、何かに挑戦したいという時期でもあったので、その時期にこういった作品に巡り合えたことが運命のように感じ、難しそうではあるけれども裸でぶつかっていきたいなと思いました。

小池 私も、オファー頂いた時には嬉しかったです。引き受けたからには全身全霊をささげ、この作品のことをとにかく毎日考えて、監督にぶつかって頑張ろうという気持ちでした。

森口 私は「嘘でしょ?!」という感じで、本当に原作が大好きで、まさかその映画に関われるとは思ってもみなかったので、本当に嬉しかったのと同時に、好きすぎてすごく心配になりました。

永作 台本を読ませて頂いた時に、避けては通れない役のような気がして、正直休むつもりでスケジュールをあけており、幸か不幸かそこに時間があったということと、角田さんの作品をいくつかやらせて頂いているので縁を感じ、また角田さんの作品が出来るんだなということで、ハードルは高いと思いながらも、思い切って受けさせて頂きました。

― 希和子は逃避行して小豆島で安らぎの日々を過ごしますが、皆さんは最近逃避行したいと思ったことがありましたか?したい場合、どこへ行きたいですか?

井上 小豆島のロケをすごく楽しみにしていたのですが、心情的にすごく難しいシーンがあって、ちょっと小豆島から逃避行したいと思った時期がありました(笑)。小豆島でクランクアップしたのですが、終わった時に初めてようやくその空気や全てのものを受け入れられた気がして、終わった時にはじめて島の魅力を改めて感じられたので、もう一度違う気持ちで小豆島を訪れたいなと思っています。

小池 逃避行はまったくしたくないです。東京生まれで東京大好き、自宅大好き人間で、普段から出不精で遠出もあまりしないので、東京にいて頂ければ、いつでも私に会えると思います(笑)。今のところ逃避行の予定はありません。

森口 私も小池さんと一緒で自宅大好きで出不精なので、逃避行したくはないのですが、撮影が終わって随分経つのに恵津子が時々舞い降りてきて、新しい感情を甦らせたりする時がまだあるんですね。その時はすごく途方に暮れて、どこかに行きたいなと思います。結局行けずに犬の散歩くらいしかしていないのですが(笑)。

永作 私もまったく逃避行したくないですね。というか、色々忙しくて暇がないですね(笑)。

MC ちなみに小説家の方は締切りなどあると思うのですが、角田先生は逃避行したい時はありますか?

角田 日々逃避行したいです。どこか暖かいところへ・・・(笑)。

110228y9.jpg


― 最後に監督から一言ご挨拶をお願いします。

成島監督 本当に渾身のお芝居を皆さんがしてくれました。先ほど泣けるというお話が出ましたが、僕としては最後に白い灰のように燃え尽きる希和子と、最後に脱皮する恵理菜の光と美しい景色というものを同時に表現することに挑戦したかったのです。だから泣けるだけではなく、ある希望というか光を感じて頂けると思いますので、ぜひご覧になって頂ければと思います。


演技派女優が体当たりで難役に挑み、原作者も絶賛の本年ゴールデンウィーク最注目の本作。中島美嘉さんが歌う主題歌「Dear」と合わせて、ぜひご期待下さい!


『八日目の蝉』

★2011年4月29日(金・祝) 全国ロードショー!★

優しかったお母さんは
私を誘拐した人でした

8semi_p1.jpg

出 演 : 井上真央 永作博美 小池栄子 森口瑶子 劇団ひとり 田中泯 田中哲司 風吹ジュン
原 作 : 角田光代「八日目の蝉」(中央公論新社刊)
監 督 : 成島出
脚 本 : 奥寺佐渡子
製 作 : 日活㈱
配 給 : 松竹㈱


★その他の日活ラインナップもご期待下さい★

過去のイベントレポート

新着イベントレポート

PRESENT STAFF
INTERVIEW