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【続報】1/29公開 『冷たい熱帯魚』 特別試写会にて “吹越満×園子温×三池崇史” 夢の対談が実現!
2011年01月21日(金曜日)

お待たせいたしました!1/29(土)公開『冷たい熱帯魚』トークショーの【続報】をお伝えいたします!

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【速報】でもお伝えいたしましたが、本イベントは 「三池崇史 presents 大人だけの空間」と題したトークショー付き試写会で、「お酒と軽食を楽しみながらのトークショー後、映画を観てもらう」という、まさに“大人だけ”に許された至福のイベント。そのトークショー後の映画が、今回は『冷たい熱帯魚』ということで、主演の吹越満さん、園子温監督が登壇し、三池崇史監督とともにほろ酔いムードの中、“大人向け”のビリ辛トークもまじえつつ、会場の笑いを誘う楽しい時間をお客様とともに過ごしました。

三池監督 今日はようこそいらっしゃいました。喋っていると、突然「終わりですっ」と声をかけられると思いますが、皆さん怒らないで下さいね(笑)。さて、『冷たい熱帯魚』ですが、これはここ何年かにおける驚くべき大傑作ですね。自分と園さんは映画の関わり方や生き方が全然違っていて、自分は商業映画の助監督から監督になり、色々と好き勝手やってきましたが、今は健全な、家族で観らる“PG12”担当です(笑)。ところで、園監督とは初対面ですよね?

園監督 初めて会いました。僕は、すごく緊張していますよ。

三池監督 いやいや、全然緊張していない(笑)。こちらが圧倒されています。普通でないだけでなく完成度の非常に高い映画を作る園子温に、日本映画の作れる幅をどこまで広げてもらえるか?園子温が暴れた後に、俺らはついて行くぞという感じです。

園監督 逆ですよ!三池崇史が森の木を伐採して作った舗装道路を、僕がスポーツカーで走るつもりだったので、心外です(笑)。

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三池監督 園監督は元々詩人で、表現するのは詩であったり、映画であったりと、作ったものが全てじゃないですか。やはり圧倒されますよね。僕ら映画界の人間は、ある程度観客が求めているものを作ることを要求され、一生懸命作っているわけですが、園監督は全然次元が違う。この作品は、日活が立ち上げた「日本映画なめんなよ」という集団の企画なんですよね。日本ではあまり知られていませんが、主に海外を見据えた「スシタイフーン」というプロジェクトがあって、そこには僕もVシネマの頃にお世話になったプロデューサーと、一緒に暴れたプロデューサーがいますが、やんちゃな面を持っている、そんな人たちが生きていける映画界っていいなと思います(笑)。ところで、本作はどんな形でスタートしたのですか?

園監督 元々は「愛犬家殺人事件」という本当にあった事件をリサーチして作った映画で、ある意味ほぼ忠実に作ってあります。しかし、事実は小説より・・・酔っ払っちゃって(笑)、なんだっけ?

吹越 「事実は小説より奇なり」ですね。

園監督 それそれ!そう言いますが、事実は「起・承・転」くらいまでは良いけど、「結」がだらしないんですよ。だから、僕は「転」くらいから「結」まではフィクションにしたいなと思って。・・・で、何の話でしたっけ?

三池監督 この映画のそもそもの始まりです(笑)。

園監督 プロデューサーに「愛犬家殺人事件を映画にしてくれ」と言われたので、しただけです。

三池監督 でもね、何回みても 「これは監督が作った映画だ」 と思うんですよ。

園監督 僕はいつも三池さんの映画をみていますが、三池さんは “監督の技” というものを隠すのがうまいんですよ!ところが・・・

(お酒がまわり、園監督が “舌” 好調になりつつあるところで、吹越さんがうま~い感じに切り込みます)

吹越 ふだんの園さんは、こういう人じゃないんですよ~(笑)。皆さん、“大人” ですから冷静に聞いて下さいね。僕もさっきから冷静に聞かざるを得ない状況にあります。それにしても、今、これってすごい状況なんですよね。ヴェネチア映画祭に今年日本映画が3本いきましたが、そのうちのお2人の監督がここにいるわけですから、ポーカーで言ったら、ロイヤルストレートフラッシュに近い!

園監督 ビールもう一杯くれる?

吹越 急いでお願いします(笑)!

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園監督 ホント言うとね、昔から三池崇史をものすごい尊敬しているの。三池崇史が商業映画をやる前から僕はVシネマを観まくっていて、「コイツと(黒沢)清はすごいな!」と思っていた。

吹越 今日初対面なんですって!(お客様爆笑)

園監督 だから、俺が10年前に商業映画をやり始めた時 「この人を潰せば何とかなるかな」 と思った。要は、「マフィアのボスがコイツだったら、俺がのし上がるには、アイツだけ潰せばなんとかなる!」というような気持ちでずっとやっていましたからね。

吹越 現場にはだいたい監督はひとりしかいませんが、映画監督がふたりいると、どっちの言うこと聞いていいか分からなくなりますよね(笑)。

三池監督 吹越さんは色々なキャリアを積まれ、自分も舞台の演出などをやり、映像の世界では演じる側ですが、演じる側からみて今の日本の監督や企画はどうですか?

吹越 『冷たい熱帯魚』に関して言うと、オファーをを受けた時に 「本当に嬉しかった!」 と言える状況ではありませんでした。なぜなら・・

園監督 下北の喫茶店でキャスティングを悩んでいたら吹越さんが入ってきたので、「吹越さんあいてる?」「あいてるよー」「じゃ、よろしくー」と、それで決まっちゃったんですよね。

吹越 そう(笑)。僕は自分の舞台の打ち合わせで行ったら、園さんがいたので邪魔しないようにと思い、出て行く時に「園さん、どーも」と挨拶したらキャスティングされました。

園監督 ある意味、三池的ノリなんだよね。三池の映画を観ていると・・

吹越 呼び捨てになっちゃいましたが、三池=三池さんという意味です(笑)。

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園監督 三池の映画には、そういうノリを感じるよね。いい加減なマジメっていうか。で、吹越さんを選んだ時も 「じゃ、オマエ」みたいないい加減な感じがするでしょ?でも、違うんですよ。そのいい加減さが、面白いものを生む!

吹越 それは、僕も分かります。

三池 この映画を観てもらうと、そういう偶然の出会いがこんなにも傑作を生むのか。 「なるほど」と、分かってもらえると思います。この映画は、前半でんでんさんが引っ張るんですよ。で、・・・

園監督 それ以上内容言わないでね。

三池監督 あ・・えっと、金魚食うんですよ。

吹越 それは、ない(笑)!

園監督 実はね、クランクイン前のある日家に戻ったら、フィアンセが家具もろともいなくなっていたんですよ。だからクランクイン直前は酷い状態で、歌舞伎町で自らホストに殴られたりして、ボコボコになりながら台本を書きました。一緒に脚本を作ってくれた高橋ヨシキにも喧嘩を売りましたが、彼は大人で「一緒に映画を作ろうよ」と言ってくれて、それで出来上がったんです。

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三池監督 やはり、映画は狂人が作るべきですね(笑)。例えば、今、勝新太郎さんみたいな役者が当時の才能のまま20歳くらいでいても、誰も見向きしないはず。そういうはみ出したヤツらが生き辛い世の中になっているのに、園子温は勝手に生きている。今後、園子温がどの道をどう行くのか、すごく楽しみです。映画を作って豊かな暮らしを目指しているようでは、やはりダメですよね。俺は、穏やかな老後を迎えたいと思いますが(笑)。で、園さんのように詩人になりたい。

園監督 ふーん。良かったね(笑)。そういえば、三池さんは僕のために句を詠んでくれました。「園子温 ああ園子温 園子温」って。

三池監督 これは、名句なんですよ!この映画は、観終わった後、皆さんの頭の中を1ヶ月は巡ってしまうくらいの凄い作品です。映画ってすごい。監督という仕事をやっていて良かった。やろうと思えばこれだけのことが表現出来るんだと、この映画を観て思いました。

園監督 三池さんは、インタビューで「僕には映画に愛はありません」とか言ってますけど、今喋っていることはすごい映画愛に満ちているじゃないですか!

三池監督 これは映画愛というより、『冷たい熱帯魚』愛に満ちているんですよね。イベント開いたから言っているわけじゃなくて(笑)。本当にすごいんですよ。役者もすごいし・・

スタッフ 監督、そろそろ・・・

三池監督 わっ、でたー(笑)!唐突なんですよ。この間はね、(ビールの)おかわりいかがですか?と言いに来たので「え?もう1杯いいんですか?」と聞いたら、「お時間ですからもう1杯楽屋で飲んで下さい」と(笑)。

園監督 じゃあ、最後に言わせて頂きますけど、俺は常に三池崇史を尊敬して生きてきたから、俺のためにもあと3度、いや6度はすごい映画を作ってほしい!これからもどんな映画を撮ってもらえるのか本当に楽しみで仕方がない!で・・・何かすごい良いこと言おうと決めていたんですけど、(酔っ払っちゃって)全然思い浮かばないや。

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三池監督 (笑)。では、その良い事は、次回またこのメンバーで集まった時にでも聞きましょう。ということで、今日はありがとうございました。


初対面とは思えないほど、息の合ったトークを繰り広げた園監督と三池監督。お酒の影響もあり、時に暴走するトーク内容の中にも、お互いをリスペクトし合う気持ちと、映画愛が満ち溢れていました。そして、そんなほろ酔いならぬ、後半に向けてマジ酔い?気味になりつつある監督たちをあたたか~くフォローする吹越さん。3人の和やかな雰囲気が客席にもしっかり伝わり、集まった“大人”の皆さんを存分に楽しませたことは言うまでもありません。


三池監督の『十三人の刺客』とともに、第67回ヴェネチア国際映画祭で大絶賛された2011年最大の問題作 『冷たい熱帯魚』 は、いよいよ来週末1月29日(土)より公開となります!

【初日舞台挨拶の開催】も決まりましたので、ぜひ衝撃の最高傑作を劇場でご覧下さい。

いい加減でマジメな大人って、ちょっとカッコいい!
そんな園監督の『冷たい熱帯魚』。覚悟をきめて、しっかりと受け止めて下さい。


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ヴェネチアが沸いた!
園子温、最高傑作にして金字塔的作品誕生!

『冷たい熱帯魚』 [R18+] 

★2011年1月29日(土)テアトル新宿ほか全国順次ロードショー!★


監 督 : 園子温
脚 本 : 園子温 高橋ヨシキ
出 演 : 吹越満 でんでん 黒沢あすか 神楽坂恵 梶原ひかり 渡辺哲


★その他の日活ラインナップもご期待下さい★

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