イベントレポート

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『ツォツィ』ティーンエイジャー試写会@スペースFS汐留

MC:ピーター・バラカンさん
登壇者:石田城孝さん(社団法人アムネスティ・インターナショナル日本副理事長)
林達雄さん(「ほっとけない 世界のまずしさ」代表理事)
清水俊弘さん(日本国際ボランティアセンター(JVC)事務局長)
2007年04月07日(土曜日)

4月14日(土)よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほかにて『ツォツィ』が公開されます。『ツォツィ』はアフリカ映画として初めてアカデミー賞外国語映画賞を受賞した作品です。本作は、若者にこそ伝えたい傑作であるにも関わらず、その「暴力描写」を問題視され、映倫R-15指定を受けました。しかし、多くの日本の識者の方々も『ツォツィ』は生きることの大切さを伝える素晴らしい映画、と高く評価してくださっています。

そこで4月7日(土)に、15歳未満(中学生)を含む10代の方達を集め「ティーンエイジャー試写会」を開催しました。

試写会には、10代の学生たちをはじめ100名以上のお客様がいらっしゃいました。親子で来場している中学生の姿も目立ちました。

この試写会は、3月22日からネット上で募集を開始。映画サイト3媒体と、主催団体の公式サイト、映画『ツォツィ』公式サイトで、中学生~19歳の来場者を募集しました(中学生は大人同伴に限る)。合計で約2,500組(通)の応募があり、抽選で招待しました。

映画の前には、ピーター・バラカンさんが、映画の背景を解説。
上映後には、南アフリカの現状や、アフリカの貧困問題に詳しい専門家(アムネスティ・インターナショナル日本副理事長・石田城孝さん、「ほっとけない 世界のまずしさ」代表・林達雄さん、日本国際ボランティアセンター(JVC)事務局長・清水俊弘さん)が参加してのディスカッションとQ&Aが約50分にわたって行われました。会場からは「映画の舞台になっているような場所は実際にあるのですか?」「そういう場所では教育はどうしているの?」「アフリカの貧困のいちばんの理由は?」など中学生、高校生から積極的な質問が相次ぎました。
私たち大人では到底思いも及ばない素直な視点からの疑問に、専門家たちが沈黙してしまう場面もありましたが、1本の映画を通じて感じたこと、考えたことを話し合うとても貴重な機会になりました。

試写会には沢山のマスコミ取材も入っており、「実際にこの映画を観て、中学生は観るべきではないと思いましたか」との問いに、「たしかに人を殺す場面はあるけれど、中学生は見た方がいい」「暴力よりも、主人公が変わっていく感動の方が印象に残る」「テレビではもっと残酷な場面を流しているから問題ない」などの声が多く、多くの来場者がR-15指定には納得がいかない、という反応でした。その一方で「やっぱり殺人シーンは中学生には怖すぎる」という声も少数派だがありました。

主演のプレスリー・チュエニヤハエは来日の際に「各国の事情はあるだろうが、とても残念なことだ。この映画は決してバイオレンスを売り物にしていないし、一番のメッセージは償いと希望。南アフリカでは、オスカーを持ち帰った後、ツォツィと同じような境遇にある孤児達が暮らす孤児院で上映会をやった。その時、上映中にひとりの子供が立ち上がり、スクリーンを指差して、あれは僕だよ!って叫んだんだ。その感動は忘れられない。だから映画の登場人物と同じティーンエイジャーに見て欲しいと思っている」と語っています。

webmasterのつぶやき

私たち大人が思うよりもずっと、10代の人たちは世界に目を向け、自分の言葉でものを考え、日々積極的に情報を吸収しているんだな、と改めて思いました。そして、その素直な視線と鋭い洞察力には、本当に私たちが言葉を失うことも。『ツォツィ』という1本の映画を通じて13歳から50代の大人まで、年齢性別関係なく、話ができるというのは素晴らしいことですね。



『ツォツィ』
4月14日(土)よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー
監督:ギャヴィン・フッド
キャスト:プレスリー・チュニヤハエ

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