「……あぁ、これは。 随分と懐かしく愛おしい……違う世界の僕らの物語だ」
これは、「if-もしかしたら-」の、ここではないどこかの国の物語。
「黒兎王国」と「白兎王国」。 「黒」と「白」。 背中合わせの別の世界。
本来は並び立つ「対」であるはずの2つの世界は、運命のいたずらか、出会うことをせず。 未完成のまま、不安定な状況が続いていた。
周辺諸国の災いに心を痛める「黒兎王国」の若き王・始。 宰相の春をはじめ、王を慕って奮闘する側近の駆と恋、王子の葵とその護衛官の新は、 来る世界会議および始の在位15周年記念舞踏会の準備に追われていた。
時を同じくして「白兎王国」では魔王を自称する隼の提案で、 国王の海、王子の涙、護衛官の陽と郁、そして元軍人で文官の夜が 「黒兎王国」への“ピクニック”に出かけようとしていた。
「黒兎王国」と「白兎王国」、対の存在が邂逅し、生まれるものは――。