実は映画「精霊流し」を担当するはずではなかったのです。直前までNHK「精霊流し」を作っていて、放送も無事終わって少し休もうと考えていた矢先に、「映画の方もやってよ」と言われ、困ったなというのが本音でした。
だから最初のうちは映画の台本を読んでも、頭の中にまだテレビ版「精霊流し」のストーリーが残っていて、個人的には相当混乱していました。
どんな作品でもスムーズに撮影に入れることは皆無です。やはり「精霊流し」もクランクインまでに、そしてインしてからもいろいろと苦労しました。やはり時代設定が60年代ということで、撮影場所を探すことが大変でした。本当は全て長崎でと思っていたのですが、(そのほうが経済的にも効率が良いので)やはり無理があり一部を北九州市で撮影せざるを得なくなりました。
そして夏の場面が多い話(当たり前です。精霊流しはお盆の行事ですから)なのに諸処の事情で、春の早い長崎でもまだ寒さの残る2月から3月にかけて撮影せざるをえなかったことです。特に今年は例年よりも寒さが厳しく、とても大変な思いをされたスタッフ・キャストの皆さんにはこの場をお借りしてお詫び致します。
しかし、出来上がった作品はそのようなことは全く感じさせない素晴らしい作品になっています。それはひとえに監督を始めとするスタッフ、主演の内田朝陽君はじめ気持ちよく参加して頂いた俳優の皆さん、そして何よりもこの映画にエキストラ、或いは裏方として様々な面で協力して頂いた長崎の皆さんのお力があったこそです。この場をお借りして感謝致します。
思い返せば、昨年の5月からドラマ・映画の準備・撮影他で一年以上もの長い間、長崎に何度も訪れ、仕事を離れたところでも様々な方と親しくさせていただきました。私たちの仕事はどれ程ハードが進んでも、やはり人と人とが集まって作る物です。そういう意味でも今回、長崎でこのような映画が作ることが出来てほんとうに良かったと思っております。
最後に今回のロケで、私がいつも言っていた標語があります。
「長崎は人は良いけど、天気は悪い」
おまけです。「精霊流し」は最後のタイトルまでしっかり観てください。特にキャストタイトルです。そうすると絶対もう一度観たくなります。
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