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(順不同)

夏帆ちゃんの中に静かに滾る熱がたまらない。
モノクロの中に舞う朱と共に一途な熱を感じて欲しい。

YOU(タレント)

その道が間違いだと分かっていながら選んでしまうことが人生にはある。
正解だけ選んで生きていけたら
どんなに楽だろう。
でも一度火のついた魂はもう引き返すことを許してくれない。
塔子の決断が私に問いかける
あなたは自分の人生を生きているのか?と。

宇垣美里(フリーアナウンサー)

一言で言うと‟問題作”。
人によってはハッピーエンドであり、バッドエンドでもある。
若い人にも、大人の人にもちゃんと観てほしい。

加藤浩次(芸人)

女の醜さや情念までを曝け出すような塔子と、
片や鞍田の佇まいは淡雪のように美しい。
夏帆と妻夫木聡、二人の表現力に
終始魅了された。
美しくも残酷な物語だ。

岩井俊二(映画監督)

衝動だけで生きている二人ではない。
『Red』は、家族がそばにいても、ひとりぼっちのひとたちの恋愛映画だ。

山下敦弘(映画監督)

スノードームの中で愛という自由を探す女と男を見ているようで、キレイな映画だ。
その透明なバリアを打ち破って生きるのは、観客のあなた自身。

筒井ともみ(『失楽園』脚本家)

幸福な言葉の中にいる女より、不幸に堕ちゆく女の方が自由に見えるのは何故か。
人は昇ることしか許されないのか。幾つもの問いが奇妙に繋がった気がした。

鈴木涼美(文章家・元AV女優)

恐竜が出てきたり魔法を使ったりしないけど、
あんなにヒリヒリする恋は、
馴染みの後輩と結婚した私にとっては憧れのファンタジーです。

椿鬼奴(芸人)

次から次へと引き込まれる色気に感情を振り回されました。
心に潜む何かが動き出す怖さを知りました。

横澤夏子(芸人)

愛と欲望と意志に境界線はあるのだろうか。
いずれにしてもそれらは美しくておそろしい。
雪の上に落ちた血みたいに。

井上荒野(作家)

惚れた男に行先を訊ねたことはなかった。
男と女に「これでいい」はあるのか。
三島有紀子の撮る美しい映像は常に、女の生き方を残酷に問うてくる。

桜木紫乃(作家)

これまで夫とも子供とも姑ともなんの問題もなく上手くやってきた女性が
「自分とは何か」と言うことに目覚めて新しい恋人との関係をジワジワと深めていく。
大人の男女の関係、愛と言うものを真正面から描いた映画で心がうずく。
こんなにも大真面目でリアリティのあるセックスシーンを見た事がない

田原総一朗(ジャーナリスト)

恵まれた日々から突如として燃え上がる想い。
覆い隠すように包み込む雪景色。
静かすぎる世界のなかで、
雪崩はもう始まっている。

今日マチ子(漫画家)

耽美に不倫の情事を描く。
それだけじゃないでしょう?
絵も音も美しかったけれど、
残ったものは女の生き様。
「女が意思を持つ」
という事なのかな。
男性にかわいいと言われたい。皆に良き妻、母と言われたい。
でもそれだけでは、幸せにはなれないのかもしれない。

安藤裕子(シンガーソングライター)

子供の頃、病院で聞かれる
「今の痛みは十段階のうちの幾つ?」という質問がとてもとても怖かった。
わたしにとって9であるこの痛みは、人によっては1かもしれない。
わたしはとりわけ痛みに弱い人間かも知れない、そう思うと何も言えなくなった。
「人はどれだけ惚れて死んでいけるかじゃないの」
そんな台詞を突き付けられ、主人公塔子の、
恋によって赤く染まる首筋を見せつけられて、
「今までのわたしの恋は十段階評価で幾つだったのか」
なんてことを考えずにはおられなかった。
わたしが、そしてあなたが今まで経験したそれは本当に恋だったのか。
『Red』を観終わったあと、その答えを、わたしたちは知ることになるだろう。

狗飼恭子(作家・脚本家)

夭逝した天才ジェフ・バックリィがカバーした「ハレルヤ」。
この曲が示唆する背徳と不穏の影を、画面に差し込む赤の光が抑えの効かない熱情で彩る。
ふたりの愛の行く末を、音と色に託した三島有紀子監督の情動の海に溺れた。

中井圭(映画解説者)

小説は視覚的要素を伴わない。
映像化された『Red』が“映画”たらしめる所以は、言葉を伴わない<視線>の映画であり、繊細な音響設計が心象風景を想起させる<音>の映画だからだ。
映像表現を文学的なアプローチで解体させた三島有紀子監督の演出、ここに極まり!
人よ、愛の御前では愚かであれ。

松崎健夫(映画評論家)

こんなに、非常識で、反社会的で、不道徳で、エロティックかもしれない映画が、
映画自体が、必然の航程、道行きを知っていて、何の迷いもなく行くべきところを知っていて、ひたすらそこを目指して燃えて走っている。
だからなんのやましさもない。
純真純粋そのものである。
映画自体が恋愛の営みで震え続けている。

あがた森魚(歌手)

闇の向こうにある光が現実には自分を救わなくても、
意志を持って走り抜こうとする主人公に、
いまの時代の映画の登場人物として、おおいに共感した。

切通理作(批評家)

三島有紀子、彼女を21世紀日本のジェーンㆍオースティンと呼びたい。
淡々としたタッチで人生の機微の深みをつかむ。

洪相鉉(全州国際映画祭プログラミングアドバイザー)