レディ・ジョーカー

■ 解説 - Description

今年、撮影所創業50周年を迎える日活が石原プロモーションの協力を得て放つ渾身の野心作

日本映画の歴史を背負って、これまで数々の名作傑作を生み出しながら、長い歩みを続けてきた名門・日活が今回、撮影所創業50周年を期して、石原プロの特別協力を得て、製作に挑んだ―2004年最高最大の話題作。

現代社会の闇を裂いて起きた衝撃の企業誘拐事件

大胆不敵にして用意周到な計画のもと、業界最大手のビール会社社長の誘拐が実行に移された。犯行に及んだのは、熟練の犯罪プロではなく、意外なことに社会の片隅に生きる名も無い男たちだった。―彼らの狙いはいったい何か。一見、平穏に見える日常の水面下、人々の足許に音もなく忍び寄る現代社会の闇、見えない罠。バブル崩壊後の<不況・不安・停滞・混乱>が渦巻く日本。この作品は、さまざまな社会犯罪事件をベースに、そこから激しくも悲しい壮大な人間ドラマを紡ぎだし、困難な時代を生きる人々を大いなる感動に誘う。

映画化絶対不可能<高村薫・原作>に挑む問題作

社会派文学の旗手・高村薫が1997年に発表し、今日まで64万部の大ベストセラーとなって、現在も着々と部数を伸ばして気を吐く圧倒的巨編「レディ・ジョーカー」。<グリコ・森永事件>に想を得て書き綴られたこの小説は、そのスケール、その深遠な主題、その衝撃的なドラマ展開を以って、映画化絶対不可能とされていたもの。これを実に5年に及ぶ歳月を費やして、構想、脚本、製作準備を経て、遂に映画化を実現させた超大作である。

■ あらすじ - Plot

事件をめぐる犯行グループ・大企業・捜査陣の火花散る葛藤

<レディ・ジョーカー>と名乗る5人の犯人は、競馬場で知り合い親しくなった男たち。小さな薬店の老店主、中年のトラック運転手、信用金庫の職員、町工場の若い旋盤工、下積みのノンキャリア刑事というメンバー。そしてトラック運転手には、重度の障害をもったレディという12歳の娘がいる。彼らは身のうちに抱えた恵まれぬ境遇を生きながら、それぞれ異なった心境と理由で犯行に参画し、最大手のビール会社社長を誘拐する。この事件を巡って、犯行側の心情と動き、被害者である企業内部の混乱、そしてさらに捜査陣の執念と組織的矛盾などが絡み合う三者三様の人間像。併せて社会的強者と弱者の葛藤、理不尽な差別の問題、裏社会の不気味な存在までをも描ききって、原作とは違った意外なクライマックスに突き進んでいく。

■ キャスト - Cast

古巣日活で32年ぶりの主演・渡哲也を筆頭に充実の演技陣集結

渡 哲也 (物井 清三)

1941年12月28日・・・兵庫県出身
1965年日活入社。同年映画「あばれ騎士道」でデビュー。1971年「関東破門状」を最後に日活を離れる。1975年「仁義の墓場」でブルーリボン主演男優賞、毎日映画コンクール主演男優賞を受賞。その後「大都会」シリーズ「西部警察」などTVを中心に活躍。1996年「わが心の銀河鉄道 宮沢賢治物語」で20年ぶりの東映作品に出演。近作は1997年「誘拐」1998年「時雨の記」2000年「長崎ぶらぶら節」また100万枚売り上げた「くちなしの花」他歌手としても活躍。

徳重 聡 (合田 雄一郎)

1978年7月28日・・・静岡県出身
2000年「21世紀の裕次郎を探せ!」で応募総数52005人の中からグランプリに選ばれる。2002年「オロナミンC」のCMでの芸能界デビュー。本作が映画デビュー作。秋には「弟」(ANB系列)で若かりし頃の石原裕次郎を演じる。

吉川 晃司 (半田 修平)

1965年8月18日・・・広島県出身
1984年「すかんぴんウォーク」で鮮烈に主演映画デビュー。シリーズ3部作に出演。その後、音楽活動を中心に行い、今年はデビュー20周年になる。2000年「漂流街」で俳優としての活動を再始動する。平山監督とは「ユー・ガッタ・チャンス」で助監督として出会い、今作で再会となった。

國村 隼 (平瀬 悟)

1955年11月16日・・・大阪府出身
1989年「ブラック・レイン」1997年「萌の朱雀」1998年「愛を乞うひと」2000年「顔」2001年「殺し屋1」「真夜中まで」2002年「笑う蛙」2003年「ALIVE」「IKKA:一和」「KILL BILL」2004年「半落ち」今後は「ヴィタール」「血と骨」「ローレライ」などの作品が控えている。

大杉 漣 (布川 淳一)

1951年9月27日・・・徳島県出身
1978年「緊縛いけにえ」で映画デビュー。1993年「ソナチネ」1997年「ポストマン・ブルース」1998年「HANA‐BI」「犬、走る DOG RACE」2002年「たそがれ清兵衛」2004年「eiko」「村の写真集」今年は他に「NIN NIN忍者ハットリくん THE MOVIE」「Jam Films Sブラウス」が控えている。

吹越 満 (高 克己)

1965年2月17日・・・青森県出身
1990年「つぐみ」1996年「ガメラ2」1998年「SF サムライ・フィクション」2000年「ホワイトアウト」2001年「RED SHADOW赤影」2002年「ミスター・ルーキー」「たそがれ清兵衛」

加藤 晴彦 (松戸 陽吉)

1975年5月13日・・・愛知県出身
2000年「アナザへブン」「月」2001年「回路」(カンヌ国際批評家連盟賞受賞)2002年「AIKI」(ベネチア映画祭出品)他<TV>1994年「アリよさらば」(TBS)2001年「早乙女タイフーン」(ANB)2003年「刑事★イチロー」(TBS)他多数。2000年エランドール新人賞、2003年「AIKI」にて全国映連男優賞を受賞している。

菅野 美穂 (城山 佳子)

1977年8月22日・・・埼玉県出身
1995年「大失恋」「エコエコアザラク」1998年「落下する夕方」1999年「富江」「催眠」2002年「化粧師 KEWAISHI」「Dolls」<TV>1995「走らんか!」(NHK)2000年「愛をください」(CX)2003年「大奥」(CX)「幸福の王子」(NTV)2004年「愛し君へ」(CX)

辰巳 琢郎 (城山 武郎)

大阪市出身。京都大学在学中に「劇団そとばこまち」を主宰。1984年、卒業と同時にNHK朝の連続テレビ小説「ロマンス」で全国区デビュー。以来、知性・品格・遊び心と三拍子揃った俳優として幅広い分野で活躍。映画出演は、1992年「橋のない川」1995年「ゴジラVSデストロイア」2000年「破線のマリス」2003年「手紙」2004年「石井のおとうさんありがとう ―石井十次の生涯―」など。※琢郎の「琢」の字は、「、」が入る旧字体です。

岸部 一徳 (白井 誠一)

1947年1月9日・・・京都府出身
1990年「死の棘」1993年「ぼくらはみんな生きている」「病院で死ぬということ」1999年「鮫肌男と桃尻娘」2000年「顔」「新・仁義なき戦い」「助太刀屋助六」2003年「ぷりてぃ・ウーマン」「ゲロッパ!」「座頭市」2004年「東京原発」他に「ラブドガン」「69 sixtynine」が公開される。

長塚 京三 (城山 恭介)

1945年7月6日・・・東京都出身
1974年フランス映画「パリの中国人」。1990年「宇宙の法則」1992年「ザ・中学教師」「ひき逃げファミリー」1996年「絵の中のぼくの村」「瀬戸内ムーンライトセレナーデ」1997年「恋と花火と観覧車」「東京夜曲」2002年「笑う蛙」2003年「魔界転生」今年は他に舞台「偶然の男」の公演が控えている。

斉藤 千晃 (レディ)

1990年10月22日・・・鹿児島県出身
2000年[CM]鹿児島「山形屋デパートお中元」「山形屋デパートお歳暮」[写真集]「summer school」 2001年[舞台]ジョーズカンパニー「ココ・スマイル2」in帝国劇場(主演:ココ) 2002年[TV]NHK「利家とまつ」~加賀百万石物語~(豪姫役)TX女と愛とミステリー「私はやってない~痴漢えん罪殺人連鎖~」 NHK連続テレビ小説「まんてん」(日高満天の子供時代) 2003年 ANB「保険調査員ハナコ 時価一億円の女」(桃木春菜役) 2004年[映画]「赤い月」(森田美咲役)

■ スタッフ - Staff

現代社会にうごめく人々と情念を描きつくす気鋭のスタッフ陣容

平山 秀幸 (監督)

1950年・・・福岡県出身
日大芸術学部卒業後、様々な映画の助監督を務め、1990年『マリアの胃袋』で監督デビュー。1992年『ザ・中学教師』で日本映画監督協会新人賞を受賞。1995年から始まった『学校の怪談』シリーズは良質のエンタテイメントとして広く支持された。1998年に発表した『愛を乞うひと』はモントリオール世界映画祭国際批評家連盟賞他国内外で高い評価を得た。近作に2001年『ターン』、2002年『笑う蛙』『OUT』、2003年『魔界転生』など。

鄭 義信 (脚本)

1957年・・・兵庫県出身
1990年『ザ・寺山』にて岸田戯曲賞を受賞。劇団の戯曲や演出を手掛けるとともに、多くの映画脚本も執筆。崔洋一監督との共同脚本『月はどっちに出ている』では、日本アカデミー賞などあらゆる映画賞を総なめにした。主な脚本担当作品として1996年『岸和田少年愚連隊 Boys BE AMBITIOUS』、1999年『豚の報い』、2002年『刑務所の中』。平山監督とは、高い評価を得た1998年『愛を乞うひと』2002年『OUT』などに続く今作。今後、『血と骨』『お父さんのバックドロップ』の公開が控えている。

高村 薫 (原作)

1953年・・・大阪府出身
国際基督教大学を卒業後、大阪で貿易商社勤務。 1990年に『黄金を抱いて翔べ』で第3回日本推理サスペンス大賞を受賞してデビュー。1993年に『リヴィエラを撃て』で日本推理作家協会賞、同年『マークスの山』で第109回直木賞を受賞。その他の作品に1991年『神の火』、1992年『わが手に拳銃を』、1993年『地を這う虫』、1994年『照柿』、1999年『李欧』2000年『半眼訥訥』がある。近作は2002年刊行の『晴子情歌』。現在『新リア王』を日本経済新聞に連載中。

【受賞歴】
◎「黄金を抱いて翔べ」
・・・第3回�日本推理サスペンス大賞(1990年)
◎「リヴィエラを撃て」
・・・第11回�日本冒険小説協会大賞(1993年)
・・・第46回�日本推理作家協会賞(1993年)
◎「マークスの山」
・・・第109回�直木賞(1993年)
・・・第12回�日本冒険小説協会大賞(1994年)
◎「レディ・ジョーカー」
・・・第52回�毎日出版文化賞(1997)
・・・第10回�咲くやこの花賞(1993年)

「レディ・ジョーカー」製作委員会 (製作)

日活
東映
毎日新聞社
テレビ朝日
葵プロモーション
スポーツニッポン
日本出版販売

企画・製作/日活
特別協力/石原プロモーション
配給/東映


(C)2004「レディ・ジョーカー」製作委員会