懸命に介護する看護師と生きる気力を失った青年、二人に芽生えた絆は言葉ではなく心で結ばれていた。函館の街に舞い降りた恋の奇跡を描くラブストーリー。
北海道、函館。看護師の奏は、事故によって失明し声も失ってしまった青年・笙吾を介護していた。笙吾は事故が原因で心を完全に閉ざしていたが、奏の献身的な介護とリハビリによって再び生きる勇気を取り戻しつつあった。そしていつしか二人は互いに言葉ではなく心で通じ合う特別な存在になっていた。しかしある日、笙吾は車に撥ねられ、奏の目前で息絶えてしまう。泣き崩れる奏。二人の平穏な日々は長く続かなかった…。一方、笙吾は別の場所で目を覚ます。不思議なことに身体には傷一つない。全く別の人間として数日間だけ再び生命を与えられたのだ。目も見え声も出せるその姿で、笙吾は奏に「ある想い」を伝えようと走り始める。