新・どぶ川学級
しんどぶがわがっきゅう

会社対組合の解雇反対闘争が長期化する中で、子どもたちの教育を守るために労働者によって作られた「どぶ川学級」。この実在した私塾を舞台に、素人教師と問題児が苦境にもがきながらも力いっぱい生きる姿を描く。
 

どぶ川学級に通う子どもたちの中に、中学3年の千恵子と中2の正夫の姉弟がいた。二人の父はベテランの鋳物工だったが、争議で職場を離れて以来長いこと床についており、母親が朝から夜遅くまで働いて一家の生活を支えていた。家計が苦しい状況にあって進学するか就職するか、千恵子が態度を決めなければならない日、父が救急車で運ばれてしまう。多感な年ごろの正夫は、父が胃潰瘍だという母の話を信じていたのに、耳にしたのは「精神病院に入れられた」という衝撃的な一言だった。俺の親父は狂いやがった…。この思いが正夫を非行の道に走らせた。そんなある日、どぶ川学級に啓一という少年が入ってきた。彼は千恵子や正夫たちのような争議中の貧乏家庭とは違い良家の一人息子だったが、優秀校に進学し将来は外交官にという親の期待に押しつぶされそうになっていた。どぶ川の先生・須藤は啓一を受験ノイローゼから解放しようと、子どもたちと一緒に江戸川べりのマラソンに誘った。一方、グレてどぶ川学級に寄り付かなくなった正夫を何とかしようと子供たちは授業参観を企画するが、正夫は参観をメチャメチャにしてしまう。須藤は正夫を叱るが、正夫は「家なんか無い方がいい。なんで勉強、勉強って言うんだ、どうせ高校に行けねぇのによ。俺なんか生まれてこなければよかったんだ」と涙を浮かべて絶叫するのだった。その夜、家を飛び出した正夫は廃屋で啓一に出くわす。啓一は産卵する鮭のようにひたむきな人生を送りたいと正夫に語るのだった。しかしその翌朝、啓一は自殺してしまう。

日本
製作:日活 配給:日活
1976
1976/3/13
カラー/113分/シネマスコープ・サイズ/10巻/3096m
日活