いもうと

喧噪とした現代に、二人だけで寄り添って生きる、兄と妹の哀歓を描く青春映画。藤田敏八監督が、秋吉久美子主演で描いた『赤ちょうちん』に続く青春映画第2弾。

小島ねりは同棲していた耕三と別れ、たったひとりの肉親である兄・秋夫のところに鎌倉から帰って来た。 秋夫は亡くなった両親のやっていた食堂の名前が入った小型トラックで、学生相手のモグリの引越し屋を結構うまくやっていた。翌朝早く、耕三の妹いづみが訪ねて来た。彼女は鎌倉でブティックを営み、耕三とねりもそこに住んでいた。いづみは、ねりの突然の家出は小姑みたいな自分に原因があるのではないかと案じてやって来たのだった。しかし耕三も何処か行ってしまったのだという。家出のわけを執拗にたずねるいづみに、ねりはろくな返事をせず、ついには口論となった。いづみは鎌倉へ帰り、兄妹ふたりの生活が始まった。若い男と女の体臭のむせかえる生活でもあった。ねりの心から耕三が消えてはいなかったのだろう。耕三のかつての仲間たちから情報を集めたり、耕三の次兄夫婦の顔色を遠くから垣間みたり、あるときは鎌倉に耕三の両親をも訪ねた。秋夫は妹としてと同時に、一人の若い女性としてねりが愛おしくてならなかった。やがて秋夫はねりに花嫁衣装を買ってやり、鎌倉のアパートで耕三を待つように諭すのだが…。

日本
製作:日活 配給:日活
1974
1974/8/14
カラー/92分/ワイド・サイズ/9巻/2505m
日活