ロスト・ラブ あぶら地獄
ろすとらぶあぶらじごく

一度転落した歌手が、歌手としての目的を果たすため一度決意した結婚を捨て、再びデビューするまでを描く愛のドラマ。

さびれた雪国の温泉町。デビュー当時の面影も見られない冬見くみ子と新人歌手・峰のり子のドサ廻りの興行が続いていた。キャバレーでの罵声にも、くみ子は再起への女の意地で必死に歌い続けた。心が荒みきったそんな時、似た境遇の男・順一と知り合った。二人は現在の境遇を互いに癒し、ごく自然に惹かれていった。温泉宿の一室、くみ子にとって久しぶりに得た幸せなひとときだった。歌への未練を捨て切れないくみ子の部屋は、デビュー当時のポスターがかすかに昔のおもかげを残していた。華々しくデビューした新人歌手のり子は着実にスターの座を歩み、くみ子にまわってくる仕事ははのり子の穴うめばかり。マネージャーとのいさかいもあり、歌への情熱が薄れていったくみ子は、安らぎを得られる唯一の人・順一を想いうかべた。順一との再会で、くみ子は同居生活を決意。二人だけの生活が始まった。それは平凡で幸せな生活、安らぎの世界だった。そんな幸せな二人に、不幸がまぎれこんできた。順一の友人の蒸発と、その妻・美代子の上京だ。美代子の生活を助けるため麻雀にこる順一、それを助けるためクラブで歌うくみ子。皮肉にも、クラブで歌うくみ子の歌が再び認められ、レコード会社での吹き込みが行われた。予想以上の出来ばえに、長いトンネルから抜け、再起に賭け望みを得た輝やかしいくみ子の顔がそこにあった。 順一も彼女の再起を喜ぶ一方で、別れの時が来たことを知った…。

日本
製作:日活 配給:日活
1974
1974/5/4
カラー/80分/ワイド・サイズ
日活