牡丹と竜
ぼたんとりゅう

子供のためにテキヤの親分に命を売った男が、親分の娘の愛と露店商人のために身を挺して働く姿を義理と人情で描いた活劇。

昭和の初期。人斬りの竜と呼ばれた竜一は、大場の親分をたたき斬った。それと時を同じくして、女房おりんが子供の竜夫を残して死んだ。枕元の真赤な牡丹の花を形見代わりに、竜一は竜夫を連れて流浪の旅に出た。竜夫の急病で金に窮した彼は、ある町のテキ屋の親分・船越平蔵に自分を売った。竜一の一途な姿に平蔵は大金を与え、竜夫は助かった。その恩義に報いようとする竜一に平蔵は、やくざをやめてテキ屋の商売をやれとすすめ、竜一も決心した。竜一を頼もしく見つめる平蔵の娘・お弓は、死んだおりんにそっくりだった。竜夫の面倒をお弓がみることになり、竜一は震災後の東京新宿にやってきた。頼ってきた平蔵の仲間である神源一家は既になくなり、テキ屋の幸次郎や金次ら若手が新しい露店商組合の設立に一生懸命だった。一方で、黒沼組が勝手にショバ代をとり立て、善良な商人を苦しめていた。竜一は、幸次郎や金次と意気投合した。黒沼組の嫌がらせは酷くなり、腕っ節の強い竜一は彼らをやっつけたが、幸次郎たちから「やくざの真似をしてはならぬ」とたしなめられ、その後は黒沼組の暴力で血まみれになりながらも耐え抜いた。幸次郎は、竜一とともに近くのテキ屋・花川親分に黒沼へのとりなしを依頼した。二人に好意をもった花川の頼みで、黒沼は渋々申し出を受け入れた。組合事務所の建設も進み、平和が訪れたようにみえたが、陰険な黒沼は他所のならず者を使って暴れた。また、黒沼の客人・猪熊が竜一の素性を見破り、黒沼に密告した。彼は、数年前殺された某親分の仕返しに竜一を追っていたのだ…。

日本
製作:日活 配給:日活
1970
1970/1/15
カラー/8巻/2579m/93分/シネマスコープ・サイズ
日活
【東京都】新宿区/▲大鷲神社(要調査)