四国を舞台に利を求めて無理を通そうとする親分たちに抗して、やくざの掟を守り任侠道を貫く男の物語
梶岡清太郎は、縁あって四国高松の博徒・石津親分の許に身を寄せ、親子の盃を交わした。石津は、高松一円の組の寄り集まりである連合会の会長であり、高松の主だった所をおさえる実力者だった。同じ高松で女郎屋を副業にしている三木本、善通寺の笹井はスキあれば石津にとって代わろうと機会を狙っていた。三木本のシマで勧進博奕の賭場が立った日、招かれた石津と清太郎は三木本の嫌がらせに遭い、また、流れ者の女札師、洗い髪のお蝶のイカサマにひっかかり恥をかかされ、遂に清太郎が匕首で三木本を刺す羽目に陥った。槙山親分の思慮ある扱いで事は何とか収まったが、清太郎は一年の所払いに処せられた。清太郎の放浪が始まった。人夫となって働いたり、稼業内にはワラジを脱がず全く独りの旅であった。――その間、石津親分は連合会会長を辞退していたが、その空席を埋める会合の席上、連合会のみならず、関西の親分衆もいる中で、石津はまたもや三木本の罠に落ち、たまりかねて匕首をふるって三木本、笹井に斬りかかったが、三木本の子分たちの手によって殺された…。