義理と掟と情愛のしがらみに、しのび耐え、仁侠の世界に生き抜いてゆく女やくざ姐御の姿を描く活劇。
意地と度胸で売り出した磯島組の大幹部、紺野淳一には思われ思って一緒になった愛という恋女房がいた。やくざの道を守り義理人情に厚い淳一は、親分の磯島宇太郎に跡目を継ぐように頼まれたが、二代目の正輝が刑務所から帰るまではと辞退していた。こんな調子の淳一なので、自然と敵も多くなっていた。なかでも、淳一とは同格の影山は面白く思わず、ことあるごとに子分を差し向けては、淳一の身内に嫌がらせをしていた。しかし、肝っ玉の据わった淳一は、影山を疑おうともせずに兄貴、兄貴とたてていた。ある晩、愛と仲睦まじく晩酌を楽しんでいた淳一は、三人の殺し屋に襲われたが、気丈な愛の助けで命だけはとりとめた。だが、愛は指を二本も切り落としてしまう重傷を負ってしまった。