博徒無情
ばくとむじょう

やくざの世界の義理と掟と情愛のしがらみを通じて、その中に生きるやくざの情婦のいじらしさ、哀しさ、美しさ、その一途な愛を描いた仁侠アクション

昭和初期、ここ瀬戸内海のとある漁師町――親なしっ子の貧しい漁師生活から抜け出し、東京で博奕渡世に身を寄せていた若い博徒、高見沢村次は、昔恩義を受けた箱田屋の音松親分が殺されたと聞いて生まれ故郷へ飛んで帰って来た。かつて隆盛をきわめた箱田屋はいまや落ちぶれて見る影もなく、貸元の女房ぎんが不甲斐ない息子喜市をかかえて旅館業を営み、一家は倒産寸前であった。「親分を殺ったのは大寺組に違いない、仇はきっとこの俺が…」村次の決意は固かった。が、この村次のあとを追って堅気の娘がピッタリくっついて離れなかった。加代といって、三年前村次が東京で喧嘩をし、メッタ斬りにあった際介抱してくれたいわば命の恩人である。あのとき村次がたった一言、好きだと言ったこと、そして形見に銀かんざしをくれたことが今もなお、加代の心に熱く焼き付いて離れなかった。「俺のことは忘れてくれ!」村次はすがる加代を振り切ると、その足で忘年会帰りの大寺一家親分の勘造に闇討ちをかけた。が、大寺組の客分の赤間竜吉に阻まれ、子分の門太の片腕を斬り落としただけだった…。

日本
製作:日活 配給:日活
1969
1969/6/28
88分/8巻/2451m/フジカラー/シネマスコープ・サイズ
日活
【香川県】高松市(栗林公園)/さぬき市(津田の松原)/多度津町(多度津港)