男への復讐を妖艶な肢体をエサに着々と進めるカマキリのような女と、その亭主に雇われた殺し屋の恋の駆け引きを描く強烈愛欲篇
都会のチンピラに輪姦されたあげく、田舎娘涼子は草むらに転がっていた。一部始終をのぞき見ていた悪徳高利貸しの杉江太一郎は、涼子を抱き上げて身体を舐めまわしていた。数年後――杉江の妻におさまった涼子は、見違えるような豪華なムードを身につけていた。一方、夫の杉江は零細な庶民から法外な金利をむさぼり、暴力団を使って取り立て、恐喝汚職事件を引き起こし逮捕されていた。涼子の胸中は杉江が獄中で死にさえすれば莫大な遺産が自分のものになることを計算していた。夫もいなくて充たされない生活を余儀なくされていた涼子は貴婦人然として、毎夜の如く銀座界隈の高級クラブに出入りしてはボーイハントに精出していた。涼子は昔の忌まわしい事件以来、マゾ的セックスに喜びを感じていた。そしてセックスの代償として金を脅し取り、男というものに復讐していた。そのさまはまるでカマキリのようであった。ある日、精悍な絵描き、それもバーなどでリキュールで絵を描くようなキザな男関根を知った涼子は行きつけのクラブへ誘い、ホテルへくわえこんだ…。