斜陽のおもかげ
しゃようのおもかげ

芸術祭参加作品。太宰治の遺子太田治子の手記から、生活苦と闘い前向きに生きる美しい娘と母を吉永、新珠の初顔合せで贈る感動的ドラマ

太宰治の遺児、それも名作「斜陽」の中に描かれている愛人の子である宿命は、幼い頃から木田町子の多感な心を揺さぶり続けてきた。それは同時に、美しい母かず子との心のつながりの旅でもあった。町子が幼いとき、落日の浜辺で「ハボタン」とやさしく抱き上げてくれた母――そして、井戸に落ちた町子を必死に救おうと、暗い井戸に入っていった和子――また、小学校から高校まで、つねに明朗で、人気者であった町子――しかし、その本当の心は“おもてには快楽をよそおい、心には悩みわずらう”という、父・太宰治の作品にあらわれたイデオロギーをそのまま受け継いでいるかのようだった。そして“斜陽”の子であることに彼女は誇りを感ずることもあったが、成長するにつれ思いは複雑になった。一方、母のかず子は、ある会社に働く賄婦だったが、その純粋な生き方に、仲間から“斜陽さん”と呼ばれ人気があった。ある日、町子の前に大学生の谷山圭次というスポーツマンが現われた。彼は、町子の高校で山岳部のコーチをしているOBだった…。

日本
製作:日活 配給:日活
1967
1967/9/23
92分/9巻/2522m/フジカラー/シネマスコープ・サイズ
日活
【青森県】津軽地方/小泊村/五所川原市(斜陽館)/蟹田町(観潤山)
【東京都】玉川上水の土手、甲州街道、五日市街道