傷だらけの天使
きずだらけのてんし

歌謡界で大活躍の西郷輝彦が自らの原作ストーリーを映画化。正義の怒りと血潮をたぎらせる激情の男を描いた歌謡巨篇。

鹿児島-澄んだ青い海を指宿市に向かう汽船の上で、少年院から出てきたばかりの八郎と母・夏子は薩摩半島をじっと見つめていた。2年前、高校生だった八郎は与太者に喧嘩を売られ、相手に重傷を負わせてしまい少年院送りとなった。彼の家は指宿で旅館をしていたが、父の死後没落し、母は元の使用人の家に厄介になっていた。しかし幼なじみの佳代は今も密かに八郎を愛しており、彼が帰ってくる日も波止場へ出迎えようとしたが、両親に引きとめられてしまった。八郎の家とは反対に、ホテル業で成功した佳代の両親は、娘を市の有力者の息子と結婚させようと考えていた。過去を忘れようと漁業組合で働く決心をした八郎は、その帰り、思い出の浜辺で佳代に会った。幼い日の思い出話は八郎の胸にほのぼのと明るい灯をともしたが、彼が一番聞きたかったのは、佳代の兄・章治と婚約していた姉・澄子の自殺の原因だった。八郎は、雨宮家へ出向き佳代の両親に真相を迫ったが「章治は外国に行っていて詳しいことは判らない」と突き放された。母・夏子に肩身の狭い思いをさせていることに気づいた八郎は、よその土地に仕事を見つける決心をした。少年院時代の友人とともに東京に出た八郎は自動車工場で働き、近く夜学にも通うことになった。それを知った佳代は、八郎への気持と両親の冷たい仕打ちに心を痛め、東京へ追いかけてきた。佳代を迎えた八郎は、嬉しさと同時に当惑してしまった。指宿から佳代の両親と秘書の飯野が説得にやってきたが、佳代は応じなかった。秘書の飯野は元暴力団員で、姉が死んだ日に姉を送った運転手だと聞いた八郎は愕然とし、姉の自殺の謎を解く手がかりをつかんだ気持になった…。

日本
製作:日活 配給:日活
1966
1966/12/24
カラー/79分/シネマスコープ・サイズ/7巻/2146m
日活
【東京都】千代田区(東京駅新幹線ホーム、日比谷公園)/大田区(羽田空港)
【鹿児島県】指宿市(長崎鼻、うなぎ池、山川港)/鹿児島市(鹿児島大学付属熱帯植物園)/錦江湾(=鹿児島湾)