昭和41年度第1回文部大臣グランプリ受賞作品。泥沼から這い上がろうとする非行少女が、身体障害児との愛情により力強く生き抜こうとする姿を描く感動大作!
山梨女子少年院に収容されていた非行少女の村上早苗は、弁護士の原田修一郎が身元引受人となって引き取られ、原田家のお手伝いさんとして働くことになった。原田の好意で、早苗は東京服装学院に入学した。ある日、早苗は通学途中で出逢った昔の仲間のトシ、葉子、まさみたちから恋人だった宏の近況を知らされ、一瞬顔色が変わったが、今はもう昔の自分ではないと自分自身に言い聞かせた。その時、早苗が昔よく行っていた喫茶店に出前に来ていたラーメン屋のサブこと、神崎三郎に出逢った。今は建設会社に勤め、工事現場で働いているという三郎に逢ってから、早苗は何故か明るい気持ちになって来た。洋裁学校から帰ると「出ていけ!」という子供の声が飛んできた。カッとした早苗は反射的に子供の顔を平手打ちした。原田は早苗に、息子の幸男が脊髄性小児まひであることなどを話した。一度は原田家を出て行こうとした早苗だったが、原田が幸男を身体障害者施設の恵友学園に入学させ、その送り迎えを早苗に頼んでからは、最初は早苗と行くことを拒んでいた幸男も、早苗のきびきびとした態度に惹かれ、いつの間にかなついていくのだった。早苗もいつしか幸男に愛情を感じるようになった…。