野坂昭如の小説『エロ事師たち』をもとに、今村昌平監督が日本人の性や家族制度を鋭く抉った重喜劇。真面目にエロに取り組む主人公を小沢昭一が演じ、その年の主演男優賞を総なめにした。キネマ旬報ベスト・テン第2位。
関西の寺の息子・スブやんこと緒方義元は高校卒業後、大阪で真面目にサラリーマンを勤めていたが、ふとしたことからエロ事師の仲間入りをしたのがきっかけでサラリーマン生活を捨てた。「人間の生きる楽しみいうたら、食うこととこれや。そのこっちゃの方があかんようになってみい、もう終わりやで。わいの商売はな、そんな男たちにもう一度夢を取り戻したる、いわば人助けの慈善事業なんや。」と説き、エロ写真、エロ映画、エロ薬などエロのことなら何でも提供していた。スブやんには二人の仲間がいた。8ミリ撮影のベテラン・伴的と、顔のすげ替えエロ写真に抜群の腕を持つカボーである。スブやんは未亡人・春が営む理髪店に下宿していたが、春とできてしまい、彼女の二人の子供・予備校生の幸一と中学3年の恵子も養うことに。こうして一家の大黒柱として働くことになったスブやんだったが、やがて恵子にも手を出してしまう…。