遥か彼方の空に、風に吹き流されて舞う凧がある。その凧を鉄格子の窓から見守る一人の男、大島竜次がいた。母村田きよの仇を斬る怒りの剣で悪を滅し、その足で警察に自首して出たのである。竜次服役中、大島組は芝浜組によって縄張りは荒され、見る影も無くなっていた。その大島組を、長屋住まいをしながら、晴子と辰らが留守を守っていたが、芝浜からは度々の脅しがあった。また、芝浜は有りもしない借金のかたに晴子の身体を狙っているが、辰たちはそんな芝浜の仕打ちに怒り、晴子の止めるのも聞かず芝浜へ殴り込みをかけた。不意打ちをかけられた芝浜組が白鞘を抜き殴り込んで来た辰たちに応戦している時、頬かぶりした男が玄関先に現われ、喧嘩の仲裁に入った。出所したばかりの竜次であった。芝浜は一応喧嘩を止めることにしたが、竜次を亡きものにしようとたくらむのだった…。