水で書かれた物語
みずでかかれたものがたり
妻と俺とは兄妹なのだろうか?!豊満な母親の肉体から成長した男の不安と焦燥。複雑な近親相姦にレンズを向けて描破する日活の異色話題大作。
松谷静雄は二十七才。大学を卒業し、銀行に勤める平凡なサラリーマンだ。母と二人、気儘な生活を送っているようだが、静雄はどこか普通の男と違っていた。少年時代から孤独で内向的な性格だったが、それは彼だけの責任とは言いきれなかった。静雄には、今も若く美しい母・静香にまつわる忌わしい秘密の苦い記憶があった。静香と死んだ父・高雄との結婚は不幸だった。肺を患った父は病院暮らしが長く、十七才で嫁いだ母は、琴曲の師匠として生活を支えていた。静雄は、子供心にも自分の家庭が普通とは違うことに気づいていたが、橋本伝蔵の存在を知ったときにハッキリした。彼は町の有力者で、静雄を銀行に入社させたのも伝蔵の力、いま住んでいる家も伝蔵の持ち家だ。父の死後、母子二人が無事に過せたのは、伝蔵の援助があったからだった。この松谷家と伝蔵の関係が、噂にならないわけはない。静雄は子供心にも病身の父を憐み、伝蔵を憎んでいたが、美しい母を憎むことは出来なかった。かえって、そういう母であればこそ静雄は好きだった。ある日、伝蔵が娘・ゆみ子との結婚をすすめてきた。子供の頃から遊び友達であった彼女が、以前から静雄を愛しているらしいのは分っていたし、彼自身もゆみ子を好きだった。
しかし、静雄は二人が決して結婚出来ないことを知っていた…。
日本 製作:中日映画社
日活
1965
1965/11/23
モノクロ/120分/シネマスコープ・サイズ/11巻/3288m
日活
【長野県】上田市(大輪寺、ほていや百貨店)
【栃木県】日光市(中禅寺湖)