血と海
ちとうみ

乱婚による血縁関係の因果でしめった漁村を背景に、明るく逞しく現実に向って生きる若い男女を中心にドライなタッチで描く異色作。

志摩半島の突端、静かな漁村にナミの家がある。六十を過ぎたトマばあさんを中心に、ナミの母親であるクラ、それに姉のサキと、いずれも女ばかりの四人家族だ。トマは高齢とはいえ村一番の海女として元気に振る舞い、十六歳の若いナミもトマに負けず立派な海女に成長していた。男手二人を海で失い、一家の稼ぎはもっぱらトマとナミ頼りだったが、ある日ナミはトマと口論してへそを曲げ、海女から養殖真珠の仕事に鞍替えしてしまった。気が強くて美人のナミは若い漁夫たちから大変人気があった。中でもナミに一番熱をあげていた庄作は彼女をデートに誘うが、即座にふられてしまった。というのも、ナミは漁業組合に勤める真面目な雄司に恋愛中だったのだ。一方トマはナミが海女をやめてから、姉のサキを一流の海女に仕立てようと本腰を入れ始めた。しかしサキは生れつき知能が低く不器用で、なかなか思うようにことは進まなかった。トマはそんなサキの様子を見ては「因果な子や…血の祟りや…」と、口癖のように言うのだった。

日本
製作:日活 配給:日活
1965
1965/10/1
モノクロ/8巻/2560m/94分/シネマスコープ・サイズ
日活
【三重県】志摩市(志摩半島・安乗岬、安乗中学、英虞湾)
※オール志摩半島ロケ