夜明けのうた
よあけのうた

失明を予告されている少女とその恋人の純愛が、愛の焦燥に悶える一人の女優を新しい人生の出発に導く、人間讃歌の青春ドラマ。

華やかなミュージカル公演千秋楽の夜、主演の緑川典子が仕事を終えて一息ついたのは、夜明け間近だった。身体は疲れ切っていたが、それでも作曲家・野上の待つホテルへ真紅のサンダーバードをふっ飛ばした。しかし野上は典子の唇に軽く触れただけで行ってしまった。野上は妻や世間を恐れ、情事の夜は明け方に帰っていく。燃えた身体をおさえきれない典子は、ハイウェイをあてもなく飛ばした。小田原のドライヴ・インで疲労と睡魔に襲われた典子は、居合わせた青年・利夫に東京までの運転を頼んだが、眼病の少女・千加子を連れているのを見て、K医大病院へ車をつけさせた。知り合いの医師に千加子の診察を頼むと倒れるように眠ってしまった典子は、起きたあと千加子の運命を聞かされた。アパートへ帰った彼女を待っていたのは、付き人と運転手の駆け落ちだった。金も盗まれたが「スキャンダルを喋る」という脅迫状に声をあげて泣いた。その十分後、脚本家の真木とプロデューサー神山が新作の出演交渉に来た。岸洋子のヒット曲「夜明けのうた」を脚色したものだったが、内容が野上との情事を暴いているように思え、断わった。むしゃくしゃしてアパートを飛びだした典子は衝突事故を起こした。誰かにすがりつきたい気持ちで野上にかけた電話は、すぐ切られてしまった。孤独の淋しさと、偽りの愛の空しさに、典子はさめざめと泣いた。その夜、踊りまくったナイトクラブを出たところで、利夫と千加子が典子を待っていた。自分の不幸な運命を知りながら、千加子が明るい表情なのが典子には不思議だった。しかし、それは心の暗さを隠すため偽りの振舞いだった。愛するが故に苦悩し、激しく口論する二人の姿に典子は心打たれるのだった…。
日本
製作:日活 配給:日活
1965
1965/5/26
モノクロ/93分/シネマスコープ・サイズ/9巻/2653m
日活
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