菊村淳治は追われている。ボスの岩間を射ち、岩間が情婦にしようとしていた悦子と共に神戸を脱出したのだ。車で神戸から横浜へ――そこから外国船アトラス丸の水夫長楊に頼んで淳治はブラジルに高飛びするはずだった。だが旅費が不足し楊に断られてしまった。折も折、国道で銀行の車がギャングに襲撃され六千万が強奪された。その事件を聞いた淳治はニヤリとした。犯行は関口組の仕業に違いなかった。関口をゆすれば金が出る、淳治はさっそく関口組の根城であるナイトクラブ“エース”に乗り込んだ。岩間を射って淳治が逃走したという情報は関口の耳にも入っていた。関口は強奪した六千万を岩間と取引してドルに替えてもらおうと思っていた矢先だった。そこで取引を有利にするために淳治を消そうとしたが、どっこい消されるほど淳治は甘くなかった。先手を打って拳銃を関口に突きつけ、まんまと隠してあった札束を奪った。そこまでは淳治の計画はうまく運んだ。ところが暗い路地で射ち合ううちにパトロールに発見され、しかもそのうちの刑事の一人が偶然にも旧友の水田だったことから一瞬淳治の心に隙が生じ、不覚にも水田に肩を射抜かれて逮捕されてしまった…。