「小さき闘い」より 敗れざるもの
ちいさきたたかいよりやぶれざるもの

暗い過去を持つ男と、病魔と闘う少年のふれあいを通して生命の尊さを描いた感動作。兄・石原慎太郎の原作を裕次郎主演で映画化した。死と向き合う少年をナイーブに演じているのは子役時代の小倉一郎。

高村家のお抱え運転手・橋本鉄哉が、その家の中学2年生・俊夫の眼がおかしいと気付いたのは二人して天体望遠鏡で星を眺めている時のことだった。望遠鏡のレンズが曇って見えないというのだ。俊夫の病気は脳腫瘍だった。大学病院に入院して手術を行ったものの腫瘍は取り切れず、現代医学では助かる見込みはなかった。だが当の俊夫はいたって明るく、退院後は学校にも通って家でも後れを取り戻してよく勉強した。しかしそれに反して病状は悪化し、右手が次第にきかなくなっていく。そこから俊夫の小さき闘いが始まった。俊夫は密かに左手で字を書く練習をした。俊夫は再手術をすることになり、鉄哉はこのいたいけな少年を助けたい一心から、俊夫に対して冷たい態度をとる者には医師でも主人でも差別なく喰ってかかった。手術は成功し退院できることになった。だが、俊夫は何故か思いつめた様子だった。俊夫は自分の病気が治らないことを看護婦たちの話で知ってしまったのだ。鉄哉は、生きている間に出来るだけいろんなものを見ておきたいという俊夫の願いを聞いて、どこでも連れて行ってあげると約束するのだった。

日本
製作:石原プロモーション 配給:日活
1964
1964/10/30
カラー/92分/シネマスコープ・サイズ/9巻/2521m
日活
【東京都】世田谷区(砧・小田急タクシー営業所、池尻・自衛隊中央病院)/渋谷区(渋谷病院前道路、宮益坂、代々木西原町カナダ大使官邸、東急文化会館内五島プラネタリウム、同屋上、国立競技場)/港区(赤坂・氷川神社、三田・慶應義塾中等部、青山五丁目バス停傍歩道橋附近)/千代田区(麹町・全共連ビル前)/文京区(都電東五軒町停留所前熊谷組工事現場)/中央区(銀帝ビル屋上からの俯瞰/新宿区(新宿伊勢丹パーキング/台東区(上野・国立博物館)/三鷹市(東京天文台)【神奈川県】横浜市(横浜港)