暗い過去を持つ男と、病魔と闘う少年のふれあいを通して生命の尊さを描いた感動作。兄・石原慎太郎の原作を裕次郎主演で映画化した。死と向き合う少年をナイーブに演じているのは子役時代の小倉一郎。
高村家のお抱え運転手・橋本鉄哉が、その家の中学2年生・俊夫の眼がおかしいと気付いたのは二人して天体望遠鏡で星を眺めている時のことだった。望遠鏡のレンズが曇って見えないというのだ。俊夫の病気は脳腫瘍だった。大学病院に入院して手術を行ったものの腫瘍は取り切れず、現代医学では助かる見込みはなかった。だが当の俊夫はいたって明るく、退院後は学校にも通って家でも後れを取り戻してよく勉強した。しかしそれに反して病状は悪化し、右手が次第にきかなくなっていく。そこから俊夫の小さき闘いが始まった。俊夫は密かに左手で字を書く練習をした。俊夫は再手術をすることになり、鉄哉はこのいたいけな少年を助けたい一心から、俊夫に対して冷たい態度をとる者には医師でも主人でも差別なく喰ってかかった。手術は成功し退院できることになった。だが、俊夫は何故か思いつめた様子だった。俊夫は自分の病気が治らないことを看護婦たちの話で知ってしまったのだ。鉄哉は、生きている間に出来るだけいろんなものを見ておきたいという俊夫の願いを聞いて、どこでも連れて行ってあげると約束するのだった。