砂の上の植物群
すなのうえのしょくぶつぐん

映像化困難と言われた吉行淳之介の同名小説を中平康監督が映画化。パウル・クレーの絵画を効果的に引用しながら、一人のセールスマンと二人の姉妹の倒錯的な関係をフォトジェニックな映像で描く。

化粧品のセールスマンをしている伊木は、夜のマリンタワーの展望台で見知らぬ少女に声をかけた。あどけない顔に塗られた真っ赤な口紅が印象的だった。少女は伊木を旅館に誘ったが、いざとなると拒み続けるのだった。一週間後二人は再び展望台で会った。今度は伊木が少女を誘い、少女は初めて男の身体を受け入れた。少女は津上明子と名乗った。高校三年生だった。明子は伊木に「あたしの姉さんを誘惑してひどい目に合わせてほしい」と頼んだ。明子の姉・京子はバーのホステスをしていた。明子は親代わりの姉から女の純潔について口すっぱく言われていたが、その姉が知らない男とホテルに入るのを見てしまったのだ。一見淑やかだが底知れぬ女の裏面を覗かす京子は、伊木にむらむらとサディスティックな意欲をわかせた。京子を旅館に誘い込んだ伊木はその肌に青い痣を見つける。数日後、伊木は再び京子を旅館に誘った。「ひどい目に逢わせて!」伊木の荒々しい行為に京子の皮膚は輝いていた。京子は思った通りマゾヒストだったのだ。京子と伊木の歪んだ密会は続けられた。伊木には江美子という妻と一人息子の和夫がいたが、伊木には死んだ親父と江美子が関係していたのではないかという疑惑をぬぐい切れなかった。伊木は父と懇意だった床屋から妻の秘密を探っていたが、ある日思いがけない新事実を聞き出す。

日本
製作:日活 配給:日活
1964
1964/8/29
カラー/モノクロ/95分/シネマスコープ・サイズ/8巻/2593m
日活