帰郷
ききょう
動乱のキューバから日本へ、十年ぶりに帰国した実の父をめぐる娘の葛藤を描く。大佛次郎の原作を吉永小百合主演で映画化した感動の文芸大作。
雑誌社に勤める守屋伴子には外交官の父がいたが、赴任先のキューバで動乱に巻き込まれて死んだことになっていた。伴子の母・節子は大学教授の隠岐達三と、伴子を連れて再婚した。隠岐は名の売れた教授だが世間体を人一倍気にする男で、絵を売ることを趣味にしていた。ある日、伴子は原稿を依頼するために女画商で有名な高野佐衛子の画廊を訪ねた。初対面の佐衛子はなぜかまじまじと佐衛子の顔をみつめると、明日自宅まで取りに来てほしいと言うのだった。その日、神田の古本屋に父の達三と行った伴子は岡部雄吉という大学院生と知り合った。雄吉は伴子に向かってズバズバとものを言ったが、伴子はかえって好感を抱いた。翌日、伴子は原稿を受け取りに佐衛子の豪華な邸宅を訪れたが、佐衛子はハバナで伴子の実父・恭吾に会ったことがあると告げるのだった。佐衛子にはキューバで知り合った恭吾に強烈に惹かれた過去があった。しかも革命に協力した恭吾を心ならずも裏切って、政府軍に密告したことが深い傷跡となって残っていた。伴子と初めて会った時、恭吾にあまりにも似た容姿から直感的に感じ取っていたのだ。このことは伴子にとって本当に意外な話だった。伴子にはその人の記憶がまるで無い。父と呼んだ記憶が無いのだ。そのうえ、父は日本に帰ってきたという。伴子はまだ見ぬ父への慕情が募りつつも、父と会うべきかどうかためらうのだった。
日本 製作:日活
日活
1964
1964/8/14
カラー/97分/シネマスコープ・サイズ/10巻/2658m
日活
【東京都】千代田区(神田、共立講堂、私鉄)/大田区(羽田空港、田園調布駅)/文京区(本郷通り・東大前附近)/▲多摩川 
【神奈川県】横浜市(新子安辺り、山手の丘) 
【奈良県】奈良市(奈良駅、奈良公園)/斑鳩町(法隆寺) 
【海外】▲キューバ(ハバナ、グワナバコウ漁港)