肉体の門
にくたいのもん

肉体をさいなむ非情のムチ。それは女でしかなし得ない性の残虐だろうか。敗戦日本の性を完璧に描破した肉体文学の力作を映画化。

敗戦に虚脱し、疲れきった男たちの間に、毒々しい悪夢の花を咲かせる女たち。十七歳のマヤが、関東小政のおせんのグループに仲間入りしたのも、たった一人の兄をボルネオで亡くし、外国兵に肌を奪われてからだ。焼ビルの地下には、ジープのお美乃、ふうてんお六、ひとりだけ和服で奥様風の町子と、様々な過去を背負った女たちがあてなき明日のためたむろしていた。今日も闇市では、仲間の掟を破った夜の女が、激しいリンチをうけていた。彼女らの中には、よその女に縄張りを荒させない、ただで男と寝ないという掟が生きていた。一方関東小政の刺青をもつ、おせんは、進駐軍の兵隊を半殺しにした復員姿の新太郎を助けた。すさんだ生活をしていても、小政たちもやはり女だ。たくましい男を見て、彼女らの中に愛に、似た感情が湧いて来た。そんな時、町子が小笠原というなじみの客と、結婚を約束して代償なしに身体を与えていることがバレてしまった。怒り狂った小政、マヤらは、地下室に町子を宙吊りにすると、リンチを加えた。途中、新太郎にさえぎられたものの、すさまじいリンチは、マヤの身体に忘れていた女の生理をよみがえらせ、新太郎に強烈にひきつけられていった。一方、進駐軍のペニシリンをもっていた新太郎は小政の口ききでそれを売り、莫大なお金を受けとるが…。

日本
製作:日活 配給:日活
1964
1964/5/31
カラー/90分/シネマスコープ・サイズ/8巻/2472m
日活
【東京都】調布市(撮影所内煙突を臨む焼跡のオープンセット)